7月2日、制度開始!
ETFマーケットメイク制度導入後の変化(制度開始後3か月間の検証)
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ETFマーケットメイク制度がスタートして3か月が経過。対象銘柄の大部分で注文提示状況(スプレッド)が改善するなど、マーケットメイク制度が浸透してきているが、この傾向が順調に継続しているか、引き続き検証していこう。
「業種別(TOPIX-17シリーズ)」及び「高配当指数」ETFの売買代金推移は…?
マーケットメイク制度は、気配提示状況が改善することを通じて、売買代金や純資産残高の増加に繋げ、ETF市場を活性化させることが期待されている。これまでのレポートでは、特に「業種別指数(TOPIX-17シリーズ)」及び「高配当指数」を対象指標とするETFで、効果が顕著に表れ始めていることを紹介してきた。
下図は、これら二種類のETFについて、制度開始後にスプレッド等に改善が見られた銘柄を対象に、2018年4月以降の一日平均売買代金の推移を示したものだ。
「業種別指数(TOPIX-17シリーズ)」ETFのマーケットメイク対象銘柄は、その大部分で流動性(スプレッド)が改善しているが、7月以降、売買代金も順調に伸びていることが分かる。
元々、業種別ETFは、個人投資家を中心に根強いニーズがあったが、制度開始前は、銘柄によっては板が薄いという弱点があった。これがマーケットメイク制度により流動性が改善したことで、7月以降、個人投資家が積極的に取引を始めた可能性もありそうだ。
●「業種別指数(TOPIX-17シリーズ)」を対象指標とするETFの一日平均売買代金(立会内)の変化
また、世界的に低金利環境が続いていることを背景に、高配当銘柄への注目度がひときわ高くなっており、ETFを用いて手軽に高配当銘柄へ投資できる「高配当指数」ETFの売買代金も、7月以降、増加している。
●「高配当指数」を対象指標とするETFの一日平均売買代金(立会内)の変化
9月に売買代金が伸びたETFは…?
マーケットメイク制度の認知度向上のため、前回、9月7日掲載記事「制度開始後2か月間の検証」では、マーケットメイク対象ETFをいくつか紹介したが、今回は第2弾として、直近9月の一日平均売買代金(立会内)が、前月8月と比べて活況となった銘柄の上位を紹介する。売買代金は様々な要因で変動するため、ここで紹介する銘柄全ての売買代金増加要因が、マーケットメイク制度の影響とは限らない点は留意してほしい。
●9月に売買代金が増加したマーケットメイク対象銘柄上位(8月比)
8月比で売買代金増加率が1位にランクしたのは、冒頭でも紹介した「業種別(TOPIX-17シリーズ)」ETFの一つ、「(1632)NEXT FUNDS 金融(除く銀行)(TOPIX-17)上場投信」だ。東京証券取引所市場第一部に上場する内国株全銘柄のうち、証券、商品先物取引業、保険業、その他金融業に分類される銘柄により構成される株価指数「TOPIX-17 金融(除く銀行)指数」との連動を目指すETFである。
なお、「業種別(TOPIX-17シリーズ)」ETFではこの他、「(1621)NEXT FUNDS 医薬品(TOPIX-17)上場投信」が6位に、「(1628)NEXT FUNDS 運輸 物流(TOPIX-17)上場投信」が7位、「(1622)NEXT FUNDS 自動車 輸送機(TOPIX-17)上場投信」が8位と、それぞれ上位にランクインしている。
また、TOPIX-17シリーズとは異なるが、東証一部上場銘柄の33業種分類の一つ、「電気機器」の銘柄の値動きを表す「東証電気機器株価指数」との連動を目指すETF「(1613)東証電気機器株価指数連動型上場投資信託」も10位にランクインするなど、業種別ETFの売買は全体的に活況を呈したようだ。
売買代金増加率の2位には「(1586)上場インデックスファンドTOPIX Ex-Financials」がランクイン。TOPIX(東証株価指数)を構成する33業種のうち、金融関連の4業種(「銀行業」「証券、商品先物取引業」「保険業」「その他金融」)を除いた29業種で構成される株価指数への連動を目指すもので、8月に続き、9月も売買代金が大きく増加する結果に。
3位は「(1481)上場インデックスファンド日本経済貢献株」。このETFは、設備・人材投資に積極的かつ効率的に取り組んでいる企業を構成銘柄とする株価指数「JPX/S&P 設備・人材投資指数」との連動を目指すETFだ。
4位と5位には高配当企業に着目するETFがランクイン。まず4位は「(1399)上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ」で、流動性基準及び配当利回り基準により銘柄を抽出し、当該銘柄で構成される株式ポートフォリオのリスクを最小化するように銘柄選定及び銘柄のウェイト設定を行う最小分散戦略を用いた指数「MSCIジャパンIMIカスタム高流動性高利回り低ボラティリティ指数」との連動を目指すETFだ。
5位には「(1490)上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ)」。「MSCI ジャパンIMIカスタム高流動性高利回り低ボラティリティ指数」のパフォーマンスをおおむね市場のパフォーマンス(MSCIジャパンIMI指数に調整係数をかけたリターン)でヘッジする、「MSCIジャパンIMIカスタムロングショート戦略85%+円キャッシュ15%指数」との連動を目指すETFである。これら高配当企業に着目するETFも、9月は売買代金が大きく増加する結果に。
9位には、規模別指数のうち、超大型株の値動きを示す「TOPIX Core30」との連動を目指すETF「(1311)TOPIX Core 30 連動型上場投資信託」が入った。
今後も「東証マネ部!」では、マーケットメイク制度の認知度向上に努めていき、随時、効果を検証していく予定だ。
(東証マネ部!編集部)