加藤教授の投資講座 新社会人に贈る「マネー知識」

加藤康之の投資講座-入門編-

「なぜサラリーマンは株式に投資すべきなのか?」

提供元:THEO by お金のデザイン

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新年度に入り、街では真新しいスーツを着た新入社員の姿をよく見かけます。

新しく社会人になってTHEOを始めたという人も少なくないと思います。そこで、今回から3回シリーズで、投資することの意味について基本に立ち戻って考えてみたいと思います。

ここでは具体的な例としてTHEOを取り上げます。THEOは、グロース、インカム、インフレヘッジという3つの機能ポートフォリオを組み合わせて運用されており、投資の3大基本要素を運用商品として実現しています。したがって、投資の基本を説明するのに最適と言えます。

第1回目の今回はグロースポートフォリオを取り上げます。グロースポートフォリオはTHEOの中では資産の成長という機能を担っており、成長をもたらす世界中の株式に広く分散投資されています。

株式というと株価が上がった下がったなど日々の価格変動ばかりに注意が行きがちですが、今回は短期的な株価の変動ではなく、株式投資そのものの意味について考えてみます。

株式なしで富豪なし

さて、米国の雑誌Forbesは毎年世界の富豪ランキングを発表しています。それによれば、2018年の長者番付トップ3は以下のようになってます。

1.ジェフ・ベゾス氏(アマゾンCEO)
2.ビル・ゲイツ氏(マイクロソフト会長)
3.ウォーレン・バフェット氏(バークシャー・ハサウェイ会長兼CEO)

1位、2位の人は皆さんもよくご存じですね。1位はアマゾンの創業者ベゾス氏で、2位はマイクロソフトの創業者ゲイツ氏です。このブログを読んでいる人でアマゾンもマイクロソフトも使っていない人は皆無に近いと思います。2人とも大成功した実業家です。3位のバフェット氏は知らない人もいるかもしれませんが、世界で最も有名な投資家です。

この3人に共通するものは何だと思いますか。

その答は株式です。ベソス氏もゲイツ氏もその巨額な資産のほとんどは彼らが創業した会社の株式なのです。つまり、少ない自分のお金を元に株式会社を創業し、その会社を大成功に導き、会社の価値、つまり、株式の価値を大きく高めて富豪になったのです。

一方、バフェット氏はベゾス氏やゲイツ氏のような実業家が新しく事業を拡大するときに必要な資金(資本とも言います)を提供する投資家で資本家とも呼ぶことが出来ます。資本を提供するとは具体的には会社が発行する株式を買うことです。実業家がその資本を使って会社を成長させるのに伴い株式の価値も上昇し、資本家も実業家と一緒に資産を成長させることを目的としています。大資本家であるバフェット氏が保有する資産の大半も株式なのです。

つまり、上記の3人は株式を使って富豪になったわけです。もちろん、事業に失敗すれば株式の価値はなくなり富豪どころか破産のリスクもあったわけです。しかし、富豪になるためには株式が不可欠だったとことも確かです。

サラリーマンと富豪の差

次に身近な一般のサラリーマンについて考えてみましょう。

毎月決まった給料をもらっているサラリーマンは生活も比較的安定していますが、富豪になるチャンスは大きいとは言えません。それは、実業家や資本家にあってサラリーマンにないのが株式だからです。

アマゾンの株価は1997年の上場時には2ドル(権利落ち修正株価ベース)に満たなかったのですが、現在(2019年4月初め)では約1800ドル近くになっており、約1000倍になっています。

もちろんこれは歴史的に見てもかなり極端な例です。まさにアメリカンドリームです。平均的に見ると株式の世界平均(MSCI社の世界株価インデックス)は同期間で約4倍になっています。アマゾンの例とは比較になりませんが、それでも大きな成長です。

一方、厚労省の毎月勤労統計によれば同期間の日本の賃金上昇率は約13%という低水準に甘んじています。最近は人手不足のため一部の業種で賃金の上昇も見られますが、日本では経済規模の縮小傾向やAIの導入などもあり大きな今後大きな上昇が見込めるかどうかは不透明です。給料の上昇だけでは株式がもたらす成長との格差を埋めることは今後も難しいと思われます。

実はこれを理論的に示した人がいます。それはフランスの経済学者ピケティです。数年前にその著書「21世紀の資本」(Le Capital au XXIe siècle 日本語版はみすず書房から2014年刊)を出版して大きな話題になり日本でもベストセラーになりました。

ピケティは世界的に富める人と貧しい人との資産格差が拡大していること実証してみせました。その時ピケティは格差が拡大した理由を説明する数学的なモデルとしてr>gという式を示しました。このrは株式価値の上昇率であり、gは給料の上昇率と考えることが出来ます。つまり、世界的格差をもたらす要因の1つは株式所有の有無にあるのです。

サラリーマンは資本家たれ

どうもサラリーマンにはあまり夢がない話になってしまいました。

もちろん、サラリーマンも捨てたもんではありません。サラリーマンとして自分の好きなことに熱中している人、大きな舞台で自分の夢を叶えている人もたくさんいます。筆者も30年間にわたりサラリーマンを勤めましたが、やりがいのある仕事や同僚に恵まれいろいろな夢を実現することが出来ました。

ただ、株式による資産の格差は何ともしようがありません。それでは、実業家でも資本家でもないサラリーマンはどうすればこの格差を埋めることが出来るのでしょうか。

答は簡単です。株式に投資して資本家になればいいのです。

アマゾンやマイクロソフトのような会社を自分で作るのは難しいかもしれませんが、資本家になり株式に投資することは難しくありません。少額から可能です。もちろん、投資した会社がうまく行くかどうかは分かりません。次のアマゾンやマイクロソフトを見つけるのはプロでも簡単な話ではありません。下手な会社に投資してしまうと資産を失ってしまうかもしれません。

しかし、優れた会社を発掘する自信のない人は特定の会社に投資するのではなく、多くの銘柄に分散して投資すれば良いのです。アマゾンのような大当たりにはなりませんが、株式会社の平均的な成長を資本家として享受することが出来ます。多くの銘柄に分散投資されたETF(上場投資信託)とはまさに一般のサラリーマンが手軽に資本家になるための道具なのです。

株価は毎日変動しますし、過去を遡れば10年に1回程度は金融ショックによる暴落も起こっており心配になるかもしれません。しかし、自分は資本家だと認識して、実業家に寄り添って長期的に会社とともに成長するのだと覚悟を決めれば短期的な変動はあまり気にならなくなるでしょう。株式市場は暴落後もその後回復していることは過去の歴史が証明しています。

「株を買う」のではなく、企業に資本を提供する「資本家になる」という意識が重要です。もちろん、一般のサラリーマンが提供できる資本は巨額ではありません。したがって富豪はやはり夢かもしれません。しかし、わずかな金額でも資本家として資産を増やすことは出来るのです。

少額の長期積み立て投資が将来大きな資産に成長することは過去のブログで示しました。資本主義社会で生きているサラリーマンが資本家にならないことは何とももったいない話なのです。

以上

<著者プロフィール>

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加藤康之
首都大学東京特任教授 京都大学客員教授/(株)お金のデザイン アカデミックアドバイザー

東京工業大学大学院修士、京都大学博士。
野村證券(株)執行役・金融工学研究センター長を経て京都大学教授。専門は投資理論、金融工学。2016年から年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)経営委員。

 

※本稿において、記載された意見・見解は、筆者個人のものであり、株式会社お金のデザインの公式見解ではありません。
※本稿は、2019年4月28日にTHEOBlogに掲載された文章です。

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(提供元:THEO by お金のデザイン)

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