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Tポイントで“消費から投資”をつなぐ「SBIネオモバイル証券」

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数百円から、有名企業の株を簡単に買える

金融の世界でさまざまな事業を展開する SBIグループ。その大手グループの中核企業であるSBI証券が、Tポイントで知られるCCCマーケティングと提携し、若年層向け・投資初心者向けのサービスをローンチした。「SBIネオモバイル証券(以下、ネオモバ)」だ。

名前の通り、スマホなどの“モバイル”に特化した証券サービス。スマホを通じて、国内企業の株などを買えるもので、最大の特徴は「Tポイントで株が買える」ところにある。

「現金はもちろん、お客さまの保有するTポイントでも、1ポイント=1円として株を購入できます。若い方は日常的にネットショッピングを行っており、そこでは現金とポイントを併用して商品を買う習慣が一般化しています。私たちは、その世界を投資でも実現しようと考えました」

こう話すのは、SBIネオモバイル証券の代表取締役社長を務める小川裕之氏。20代の約8割が保有する(※)Tポイントをフックにすることで、「若年層が“消費”により貯めたTポイントを“投資”に使う、消費から投資の流れを実現できると考えました」と話す。
2017年9月、カルチュア・コンビニエンス・クラブ調べ

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サービスの機能はシンプルで、前述した国内株の取引と、全自動で運用するロボアド(ロボットアドバイザー)の「WealthNavi」による資産運用が可能。通常、投資の分野では、初心者向けの導入商品といえば「投資信託」が上がるものだが、本サービスではあくまで「国内株」をメインにした。

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「投資を知らない方は、そもそも“投資信託”の仕組みがわかりません。であれば、いつも買う商品のメーカーや、誰もが知っている企業など、なるべく身近なところで投資を初めていただきたいと考え、国内の取引所に上場する企業の個別株にしました」(小川氏、以下同)

このような“初心者への目線”は、サービス全体で徹底されている。たとえば、企業の株を買う場合、通常は「100株以上から」など、購入する際の“単元”が設定されている。仮に1株500円の株があったとしても、実際に買うには100株以上、つまり5万円以上が必要となるケースが多く、初心者は手を出しにくい。

ネオモバではこのような単元による取引に限定せず、1株から購入できる仕組みを導入。「数百円で身近な企業の株を買えますし、その金額なら全額Tポイントで“おためし的”に購入することも容易になります」と、小川氏は意図を語る。

普段の消費から、企業のファンとなり投資につなげる

取引の「手数料」にも工夫が凝らされている。証券取引では、1件の取引・約定ごと手数料がかかる手数料体系が多い。しかし、ネオモバでは“実質無料”に近いシステムを構築した。

具体的には、サービス利用料として月額216円(税込。1ヶ月の約定代金が50万円まで)のサブスクリプションモデル(定額制)を採用。ユーザーはサービス利用により期間固定のTポイントを毎月200ポイントもらえるうえ、サービス利用料100円(税抜)につき1ポイント獲得できる。つまり、手数料の負担はほとんどない。

「大切なのは、投資初心者の方が一度の失敗体験で離脱しないこと。失敗を糧にしてこそ、リアルな投資を学べます。となると、一度失敗しても投資を続ける仕組みが必要で、定額制の強みはそこにあります。1株500円の企業株をTポイントで買ったとして、たとえその株が450円に値下がりしても、売れば現金で戻ってきます。株式投資としては失敗でも、お客さまはポイントが“450円の現金に換わった感覚”になるかもしれません。

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であれば、その450円でもう一度投資をするかもしれない。もし、手数料が定額でなければ、手数料が追加でかかることを理由にそれ以上の取引を止める人もいるでしょう。つまり、初心者のお客さまにとって、取引毎の手数料体系というのは失敗体験を乗り越えるチャンスを摘むことになる。そこでネオモバでは、格安の月額制で設定しています」

そのほか、サービス画面のUI/UXも初心者に寄り添っている。たとえば「500円以下で買える企業」などの一覧を表示したり、企業を選んで「1000円分の購入」と設定すれば、サービス画面で何株買えるかを計算したりといったことも可能だ。

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さらに、初心者にとっては、株の保有によって企業から特典をもらえる「株主優待」が大きな魅力になるが、ネオモバでは優待の種類から株を検索できる優待検索機能や、各銘柄の詳細画面で「株主優待あり」のアイコンや、優待に必要な金額などを表示している。

なお、今後はTポイントのデータベースを使ったサービスも考えている。Tポイントの購買データを活用し、たとえば特定のメーカーの商品をよく買う人には、その企業の株をオススメする機能も可能になる。個人情報などの観点から「希望する方のみサービスを享受できるシステムにできれば」とのこと。「ネオモバによって、何気ない消費から企業のファンになり、株主になる。ライフスタイルと投資をつなぐ存在にしたい」と展望する。

サービス自体も、これが「完成形」ではなく、さまざまな進化や変化を見据えているという。若年層・投資初心者が投資を始めるきっかけとして、ネオモバは発展を続けていくだろう。

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(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年5月現在の情報です

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