投資信託のトレンドが分かる!
2019年4月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2019年4月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「大幅な資金流出超」
4月の資金流出入動向は約6,100億円の流出超と、3ヵ月連続の資金流出超となった。資金流出額が6,000億円を超えるのは2016年12月の約6,500億円以来で約2年ぶりである。前月に約600億円の資金を集めていた国内株式が資金流出に大きく転じたことで、流出規模が大幅に拡大した。
資金流入では、その他資産のみに資金が流入した。複合資産型は長期にわたって安定的に資金が流入していたが、当月は流出に転じた。複合資産が資金流出超(約50億円)となるのは、2016年12月以来で約2年ぶりである。
資金流出では、国内株式、外国株式などを中心に多額の資金が流出した。国内株式は先月の流入超から大幅な流出超(約2,640億円)に転じた。外国株式は3ヵ月連続の資金流出超(約1,920億円)となり、流出額は大幅に拡大した。昨年末の大幅な株価下落から年初以降の株価が上昇基調で推移したことで、利益確定売りの動きが広がった。
個別ファンドの資金流入では「ピクテ・グローバル・インカム株式F(毎月分配型) 」(ピクテ)(約316億円)が先月よりさらに流入額を増やし1位となり流入額をけん引した。また、当ファンドは着実に資金を集めていた結果、純資産残高で「フィデリティ・USハイ・イールドF」、「フィデリティ・USリート・ファンドB 」を上回り首位となった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「株式ファンドのリターンが上昇」
4月の金融市場は、日米欧の中央銀行が揃って金融緩和的なスタンスを示す中、米中の良好な経済指標が確認されたことで世界経済への過度な警戒感が和らいだ。また、米中貿易協議についても両国に歩み寄りの姿勢がみられ、協議が順調に進展しているとの期待感から世界的に株価が反発した。
株式市場は、米中の良好な経済指標を受けて月初から上昇した。月末にかけては米主要企業の決算発表をこなしながら、ナスダック・S&P500指数が過去最高値を更新するなど堅調な展開となった。
債券市場は、投資家のリスク志向の持ち直しを背景に米国長期金利が上昇する場面もみられた。しかし、日米欧の中央銀行が緩和的なスタンスを継続する中、上昇余地も限られ横ばい圏で推移した。
為替市場は、米ドル・円が若干の円安、ユーロ・円はほぼ横這いとなった。月半ばまではリスク回避的な動きが和らぎ、米国長期金利の上昇とともに米ドル・円は年初来高値を一時更新した。ユーロ・円も月中ではユーロ高が進行する場面もあったが、欧州景気への警戒感も根強く、前月末比ではほぼ横這いで取引を終えた。
これらを背景に、4月の投信市場では、外国株式、エマージング株式、国内株式のリターンが上位となった。米中貿易協議が順調に進展するとの期待感から、株式資産が上昇した。
直近1年間でみると、不動産投信のリターンが堅調に推移している。好調な不動産市況と低金利環境を受け、投資魅力度は依然高いとみられており、株式を上回るリターンを示している。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、株価が堅調に推移したことから、日本株のブル型ファンドが上位を占める結果となった。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定本数・設定額ともに大幅に減少」
当月の新規設定は23本と前月(31本)から減少し、設定額も約192億円と前月(約1,240億円)から大幅な減少となった。
新規設定ファンドの上位は、「GS社債/国際分散投資戦略ファンド2019-04」(AM-One)(約106億円)。9回目の募集であるが、前回3月の設定額(約150億円)を下回った。2位は「マニュライフ・アジア高利回り債券戦略F2019-04ヘッジなし」(マニュライフ)(約28億円)、次いで同ファンドのヘッジあり(約19億円)となり、上位3本で全体の約8割を占めており、いずれも「単位型」の債券ファンドであった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、4月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)