投資信託のトレンドが分かる!
2019年5月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2019年5月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「4ヵ月ぶりに資金流入超に転じる」
5月の資金流出入動向は約3,000億円の流入超と、前月の大幅な資金流出(6,100億円)から4ヵ月ぶりに資金流入に転じた。米中貿易摩擦が再燃したことから、世界経済の減速懸念に伴う株価下落を捉えた押し目買いの動きが広がった。
資金流入では、前月に資金が大幅流出していた国内株式、外国株式が当月は流入に転じた。また、長期にわたって資金が流入していた複合資産は、前月には流出に転じていたが当月は再び流入超となった。
資金流出では、債券カテゴリーなどを中心に資金が流出した。すべての債券カテゴリー(国内債券、外国債券、エマージング債券、ハイイールド債券)で継続して資金流出超となったが、流出額は縮小した。
個別ファンドの資金流入では、世界的にリスクオフの動きとなる中、「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) 」(東京海上)が着実に資金(約190億円)を積み上げている。純資産残高は上位に迫る勢いで上位5位(約5,720億円)にまで浮上し、直近1年では約1.5倍弱増加した。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「株式ファンドを中心に大幅なマイナス」
5月の金融市場は、米中の貿易協議が合意に至らず、貿易摩擦問題が再燃したことから世界経済の減速懸念が強まり、リスクオフの動きとなった。
株式市場は、世界的に下落した。米国が中国からの輸入品2,000億ドル分への関税引き上げを表明し、中国も米国に対抗する形で追加の報復関税を発動すると発表した。さらに、中国の華為技術(ファーウェイ)と関連企業に対し事実上の禁輸措置を講じたことや、関税を課していない3,250億ドル分の中国製品に対しても関税を課す姿勢をみせるなど、米中貿易摩擦が長期化する懸念が高まったことが株価の下落要因となった。
債券市場は、世界的に長期金利が低下(債券価格は上昇)した。米中関係の悪化による世界経済の減速懸念やリスク資産の下落を背景としたFRB(米連邦準備制度理事会)の年内の利下げ実施が織り込まれる形で、米国を中心に長期金利が低下した。
為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円高となった。貿易摩擦問題に焦点が集まる中、世界経済の先行き不透明感が高まったことから、リスク回避的な円買いが進行した。
これらを背景に、5月の投信市場では、株式カテゴリーを中心に大幅なマイナスとなり、国内債券を除くすべてのカテゴリーでマイナスとなった。米中貿易摩擦が再燃したことから世界経済の減速懸念が強まり、世界的な株安となった。
直近3ヵ月、12ヵ月ともに、債券カテゴリーが上位を占め、不動産投信のリターンが堅調に推移している。好調な不動産市況と低金利環境が継続していることから、株式を上回るリターンを示している。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、第2次モディ政権に対する期待感からインド関連ファンドが上位にランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定額が大幅に増加」
当月の新規設定は26本と前月(23本)から増加し、設定額は約710億円と前月(約190億円)から大幅に増加した。
当月の新規設定ファンドの上位は、「TRプライス世界厳選成長株式ファンドB(資産成長・ヘッジなし)」(Tロウプライス)(約380億円)、「同ファンドA(資産成長・ヘッジあり)」(約170億円)、 「同ファンドD(分配重視・ヘッジなし)」(約110億円)、 「同ファンドC(分配重視・ヘッジあり)」(約53億円)となり、同シリーズ4ファンドで全体の約9割以上を占めた。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、5月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)