山あり谷ありの平成30年間。それでも資産を大きく増やすルールはあった!
提供元:SODATTE(大和証券)
※この記事は2019年3月29日にSODATTEサイトで公開されたものです。
5月1日に平成から新元号へ。株価など市場はどう反応する?
いよいよ平成も終わりが近づいてきました。改元を一つの区切りとして、何かを整理しよう、何かを始めようと考えている方も多いのではないでしょうか。
では改元に伴って、株式市場には何か大きな動きはありそうでしょうか?残念ながら元号が変わったからといってさほど大きな影響はないと思われます。ただ、前回の改元時とは違い、今回は消費も自粛ムードにならないでしょうし、投資家の皆さんが景気のいい未来へ明るい展望を描いてスタートするのであれば、株式市場もプラスに反応する可能性はあります。
また、元号が変わることで特需が発生するような業界(システムなど)は恩恵を受けそうです。4月27日から5月6日まで10連休となる企業も多そうですから、レジャー関連の企業にも期待が持てるかもしれません。こうした業界に注目されるのもよいでしょう。
一方で平成が終わりに近づくにつれ、特に2018年10月頃から2019年頭にかけて株式市場は大きく荒れました。こうした波乱は、今後も何かしらの要因をきっかけに起きる可能性は十分考えられます。新たな元号になったタイミングで投資を始めようと考えている場合には、明るい展望をもとに成長する株式市場に期待しつつ、何かあった場合の備えとして、地域や業種、時間などを分散させた投資によりリスクヘッジすることも忘れないようにしましょう。
平成の30年間、山あり谷ありで経済はこう変わった
次に平成の30年間の経済の動きを、日経平均株価を参考に振り返ってみましょう。バブル経済の崩壊からデフレ、アベノミクスまで、改めて「時代は大きく変わったのだな」と実感できると思います。
日経平均最高値で始まった平成。バブル崩壊後は金融機関の破綻も
平成元年といえば、1989年。日経平均株価は同年末に3万8,915円(現在に至るまでの日経平均の最高値)をつけるなど、いわゆる「バブル経済」が絶頂だった時代です。不動産価格も実体以上に評価されることが増え、高額商品も売れ、高校生や大学生の就職も好調な時代でした。しかし、そんな浮かれた時代も平成に入ってからは長く続かず、景気は悪化。株価や不動産価格は大幅に下落し、「失われた20年」の始まりを迎えました。
消費税が導入されたのも同じく平成元年で、このときの消費税率は3%でした。投資だけではなく消費にもマイナスの影響が重なり、個人のお金に対する節約意識が強く表れる時代になっていきました。その後、平成10(1998)年までの10年間で、不良債権を抱えた金融機関がいくつも破綻するなど、金融業界も冬の時代に入りました。
ITバブルや、郵政民営化などの規制改革への期待で株価も上昇
ただし、経済はずっと冷え込んでいたわけではありません。アメリカのITバブルの影響が日本にも波及し、平成11(1999)年から平成12(2000)年にかけて日経平均株価は2万円台を取り戻すなど明るい話題も。しかしながら、バブルは再度はじけ、平成12(2000)年4月17日には2万434円から1万9,008円に急落。その後の日経平均株価は低迷が続き、平成14(2002)年後半から1万円を割り込むような状態になりました。平成15(2003)年4月には日経平均株価が7,607円まで下がる状況が見られました。
長引くデフレの脱却を目指し、「聖域なき構造改革」を掲げる小泉政権が生まれたのは平成13(2001)年です。前述のように平成15(2003)年までは株価は下落を続けましたが、「郵政民営化」をはじめとする規制改革に期待が高まり、株価は上昇基調へ。平成19(2007)年7月には1万8,261円まで戻します。その後、平成20(2008)年のリーマン・ショックに伴って世界同時株安が生じ、日経平均株価も同年10月には取引時間中に一時6,994円まで下がりました。
政府主導の政策などで経済は上向き基調が鮮明に
平成21(2009)年3月、日経平均株価がバブル後最安値の7,054円(終値ベース)となるなど、景気回復への悲観論が漂いました。さらに平成22(2010)年にはギリシャ財政危機に始まったユーロ不信が深刻化、平成23(2011)年は東日本大震災の発生と、日本経済にとって非常に厳しい情勢が続きました。
世の中の雰囲気は悲観的な傾向を強め、消費は縮小。この頃は1ドル100円を下回る円高に悩まされた時代でもあり、平成23(2011)年10月には1ドル75.54円を記録するなど、デフレが長引く要因の一つにもなりました。
そうした中で明るい兆しのきっかけとなったのは、現在の安倍政権が始めた経済政策、いわゆるアベノミクスです。デフレ脱却を掲げ、大胆な金融緩和、機動的な財政政策を実行。これが平成24(2012)年末からの株価上昇の牽引役となりました。
平成28(2016)年からはマイナス金利政策(マイナス金利付き量的・質的金融緩和)が導入され、銀行の普通預金の金利はほぼゼロに近い状態に。導入後の株価は一時上昇した後に下落、後半にかけて再び上昇と複雑な動きをしたものの、同年終値は1万9,114円と年初の株価を上回りました。
平成29(2017)年はマイナス金利効果や、アメリカをはじめ世界経済の拡大が株価を後押しして、終値は2万2,764円とさらに上昇。平成30(2018)年10月にはバブル後の最高値を更新し、2万4,448円を一時記録しました。ただ、その後は年末にかけて株価は値下がり傾向となり、次の新たな変化を予兆させるような状況の中で、平成という時代が幕を閉じようとしています。
株価回復でも、海外に比べると上昇率は低め
このように平成を30年というスパンで見ると、日本の株式市場は絶頂期からどん底まで経験し、その中でも一時的な上昇と下落を繰り返すなど、投資家にとっては難しい判断が迫られる状況もありました。
海外の株式市場も上げ下げを繰り返しましたが、例えばアメリカの場合、平成元年に当たる1989年の12月末に2,753ドルだったNYダウ平均株価は、2018年12月末には2万3,327ドルと、約30年の間に実に10倍近くの株価となっています。日本は平成元年がバブル絶頂期で、そこから大きく下落したとはいえ、長く低迷した日経平均株価とは大違いの上昇率であることがわかります。
参考までに、日本銀行調査統計局の「家計の金融資産構成」より日米を比較してみると、日本では52.5%が現金・預金であるのに対し、米国では、株式等・投資信託の合計が約48%となっています。つまり、米国の個人はリスク資産への配分比率が日本に比べて高く、その結果、経済成長に伴って資産が増える可能性が高いという状況を築いています。
平成の30年間から学ぶ!それでも資産を増やすルール
もちろん、人によって投資に使える資金は異なると思いますが、日米比較を参考にすると、これからの時代は日本でもリスク資産を利用した資産運用に目を向けることが重要になります。その際には、日本の債券・株式・不動産のほか、海外も含めた投資を検討し、さまざまな資産に分散投資して、中長期の運用で安定的に資産形成を図ることが必要といえるでしょう。
以下は、日経平均株価に毎月1万円ずつ、約30年間投資した場合の資産運用シミュレーションです。期間は日経平均株価が最高値であった平成元年12月の終値3万8,915.87円から平成30年12月まで、毎月終値に1万円ずつ投資した結果を示しています。この場合の積立投資総額は349万円、それに対して評価額は485万6,111円となりました。バブル崩壊という大きなマイナス要因があってもこの結果です(税金や手数料等は考慮しておりません)。
このように毎月一定額を投資する方法は、高値で大量に購入するリスクを避けることができるなどのメリットがあるため、長期で資産形成する場合にはおすすめです。債券と株式、日本と海外など投資する資産を分散するだけでなく、購入するタイミングを分散する「時間の分散」も、安定した運用成果のためには大切な要素なのです。
結局、平成のうちは資産運用を始められなかった……。そんな人は、平成はじっくり準備する期間だったと考え、この30年間で検証できた「資産を増やすルール」に沿って、分散投資による中長期の運用を新たな時代から始めてみましょう。
文:ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太
(提供元:大和証券)
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