投資信託のトレンドが分かる!
2019年6月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2019年6月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「2ヵ月連続の資金流入超」
6月の資金流出入動向は約1,500億円の流入超と2ヵ月連続で資金が流入した。国内株式が流出超に転じたことなどから、流入額は前月の約3,000億円から減少した。
資金流入では、今月新たに流入超へ転じたカテゴリーはなく、外国株式、複合資産、不動産投信へ資金が流入した。世界的な金利低下の動きから不動産市況が引き続き好調となり、不動産投信の流入額が増加した。
資金流出では、前月に資金が流入していた国内株式が当月は流出に転じた。また、継続して全ての債券カテゴリー(国内債券、外国債券、エマージング債券、ハイイールド債券)が資金流出超となり、外国債券を除いて流出額は増加した。
個別ファンドの資金流入では、「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) 」(東京海上)が継続して資金(約220億円)を積み上げている。純資産残高は「ひふみプラス」を上回って第4位となった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「全てのカテゴリーのリターンがプラス」
6月の金融市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期利下げが織り込まれるなか、G20における米中首脳会談の実現を通じた対中追加関税の先送り期待が高まり、リスクオンの動きが強まった。
株式市場は、世界的に上昇した。注目された6月のFOMC(連邦公開市場委員会)でFRBの金融緩和的な姿勢が確認されたことによる安心感が株式相場の買い材料となった。また、G20で米中首脳会談が予定されたことから、米中貿易問題が改善に向かうとの期待感が高まったことも株価にプラスとなった。
債券市場は、世界的に長期金利が低下(債券価格は上昇)した。6月のFOMCで金融緩和的な姿勢が確認されたことや、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁が追加の金融緩和の可能性に言及したことなどもあり、世界的に金利低下の動きとなった。
為替市場は、米ドル・円はFRBの早期利下げを織り込むなか、米国長期金利が低下したことで円高米ドル安の動きとなった。ユーロ・円はECB理事会後に円高ユーロ安となる場面もみられたが、米ドル安の動きを受けほぼ横ばい圏で推移した。
これらを背景に、6月の投信市場では、株式カテゴリー(エマージング株式、外国株式、国内株式)を中心に全てのカテゴリーでプラスとなった。FRBの早期利下げ期待と対中追加関税の先送り期待を受け、世界的に株価が上昇した。
他方で、債券カテゴリーのリターンも堅調となった。世界的に長期金利が低下したことで債券価格が上昇した。特にエマージング債券では、FRBの早期利下げ観測を受け金利低下が進み、債券価格が大きく上昇した。
直近3ヵ月、12ヵ月ともに、前月は債券カテゴリーが上位を占めたが、当月は債券カテゴリーに加えてエマージング株式などリスクの高い株式カテゴリーも上位に散見された。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、金価格が上昇したことで金鉱株ファンドが首位にランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定額が大幅に増加」
当月の新規設定は30本と前月(26本)から増加し、設定額も約1,600億円と前月(約710億円)から大幅に増加した。新規設定額が1,000億円を超えたのは3ヵ月振りである。
当月の新規設定ファンドで設定額が最も多かったのは「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」(日興)(約1,140億円)であり、1,000億円を超える大型設定となった。次いで「りそな・リスクコントロールファンド2019-06」(りそなAM)(約280億円)となった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、6月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)