キャリアのプロに聞いた、長く稼ぐコツ!

藤原和博氏が語る「長く必要とされる人材になるには」

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人生100年時代、早いうちから貯蓄を増やすのは大切だけど、そもそも長く働ければ、お金を生み続けられるはず。問題は、どうすれば長く(人に必要とされて)働き続けられるのか……。できれば早いうちから、長い人生を考えてキャリアを形成していきたい。

そんな悩みを解決すべく、藤原和博氏に取材。同氏はリクルートでキャリアを積んだ後、「教育」という異分野に挑戦。東京都で初めての民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務めた。

仕事に関する著書も多く、本の中で取り上げた「40代で『キャリアの大三角形』をつくる」「100万人に1人の人材になる」という方法論は多くの人が支持している。

そんな藤原氏に長くキャリアを保つ秘訣を聞くと、「人生でいかに信用を増やせるかがポイント」との回答が。そしてその方法は、やはりキャリアの大三角形にあるらしい。詳しく聞いてみた!

50代までに「キャリアの大三角形」をつくる

最初に、キャリアの大三角形について深掘りしていこう。後にそれが「信用を増やす方法」につながってくる。

「まずは20代で1つの足場を固めましょう。営業でも広報でも、どんな職種でもトータルで1万時間集中してその仕事をする。1日3時間なら10年、6時間できれば5年です。1万時間集中すれば、『100人に1人の人材』になれる。それが足場を固めるという意味ですね」

ここでいう「100人」とは、たとえば街中で無作為に100人を選ぶニュアンス。決して“その職種の中の100人に1人”ではない。なお、1万時間の根拠は「世界中の義務教育の多くが1万時間を水準にしているから」とのことだ。

「次に30代で2つ目の足場を作ります。私ならリクルートの営業からマネジメント職へ、ほかにも広報からIRなどいろいろあるでしょう。とにかく別の分野で同じように1万時間の練習量をこなす。そうして、両方の『100人に1人』を掛け合わせると、1万人に1人の人材になります。これが三角形の底辺です」

40〜50代では、同じように別の領域へ3歩目を踏み出す。この3つの足場で「キャリアの大三角形をつくる」のだ。結果、100人に1人の3乗で「100万人に1人」となる。

「大切なのは、なるべく3歩目の高さを出して面積を広げること。三角形の面積は希少性の大きさになります。だからこそ、3歩目の踏み出しは試行錯誤して構いません。私も2歩目のマネジメント以降は、10年も試行錯誤した。47歳でようやく踏み出せて、民間校長になりました」

当時を振り返り「成功する自信はなかった」と藤原氏。「子どもたちの前で初めて話した時は足が震えてましたよ。普段の講演ではそんなことないのに」と笑顔を見せる。

どうやって今と違う足場に踏み出すのか

現在、広い領域で活躍する人も、多くはこの三角形が基本になっているという。たとえば、ホリエモンこと堀江貴文氏。彼の底辺は「プログラマーと経営マネジメント」だと藤原氏。加えて、刑期の中で大量の書物を読み「哲学したことが大きい」という。それが3歩目になり「ある事象に対して彼が何を言うのか、多くの人が興味を持つ存在になった」と話す。

「三角形(トラス構造)を形成したら、今度はそれを三角錐のように3D化していきます。この体積の大きさが『信用』。他者から与えられた“信任”の総量です。それをいかに積み上げられるか。これが長く必要とされる人材になるポイントです」

ちなみに、今の時点で自分がどれだけの「信用」を積み上げているか知る方法がある。藤原氏が作成したチェックリストだ。

著書『45歳の教科書 戦略的「モードチェンジ」のすすめ』に掲載したものだが、自分の点数の低さにショックを受ける読者も多いのだとか…。「他に比べてこの本が売れなかったのは、そのせいかも(笑)」と言うが、興味のある人は是非やってみてほしい。30代で50点、40代で60点、50代で70点が合格ラインのようだ。

さて、話を聞いて悩ましいのは、2歩目、3歩目の踏み出し方。おそらく読者の多くは、まさにその段階だろう。どうやって違う足場に一歩を踏み出すのか。

「ひとつのコツは、本業と別にいくつかのコミュニティに足を突っ込んでおくこと。スポーツクラブでもいいし、子どもの地域コミュニティでもいい。ビジネスモードではなくあくまで遊び心で。いきなり踏み出すのは私でも怖いので、早くからいくつかのコミュニティに入り、いろいろ関わっておく。もしかすると、そこでの出会いや経験が路線を変えるきっかけになるかもしれません」

もうひとつ、「被災地や最貧国など、大きな課題を抱えた場所で自分を試すのもいい」とのこと。そういった地域は世界から優秀な人材が集まり、課題に立ち向かう中で自分の力を試せる。もちろんコミュニティに関わることでもある。そのほか、「急な異動など、次の足場に偶然行くこともあり得る」と付け加える。

藤原氏は「多くの人が30代以降、このままでいいのかと悩みます。それは自然なことであり、その悩みを大切にしてほしい」と。悩みが次の踏み出しにつながるからだ。

その上で、人生100年時代の心構えをこう話す。

「これだけ寿命が延びているのだから、じっくり時間をかけていいと思うんです。早くに成功するより、最後の30年くらいの勝負に持ち込んだほうがいい。だから3歩目に20年かかってもいいんです。慌てずに、じっくり試行錯誤していけば、人生の賞味期限を伸ばすことができるでしょう」

人生100年時代でますます重要になるキャリア。“大三角形”をヒントに、自分の現在地を考えてみるのも良さそうだ。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2019年9月現在の情報です

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