まずは企業の基礎データと売上の推移をチェック!

投資に役立つ「会社四季報」活用のポイント 前編

TAGS.

企業の財務状況をもとに、株価の値動きを予測していくファンダメンタルズ分析。投資を考える上で有効な手段といえるが、企業の業績を一から調べるのは骨の折れる作業だ。そこで役立つのが『会社四季報』。

ネット証券等に口座を保有していれば、基本的に無料で『会社四季報』の情報が見れるが、「そもそもどこを見たらよいか分からない」という声も多い。そこで、企業の今後の予測に役立つポイントを、マネックス証券マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザーの益嶋裕さんに教えてもらった。

「特色」「連結事業」から企業の事業内容を知る

「株価と業績は一致するので、中長期的な投資を考える場合、ファンダメンタルズ分析は重要です。そのとっかかりとして『会社四季報』はよくできているので、紹介する8つのポイントを押さえるだけでも、参考になると思います」(益嶋さん・以下同)

ポイント1「特色」「連結事業」
「まず知るべきは、何をしている会社か。『特色』の欄に簡潔に書かれています。そして、『連結事業』からは、事業ごとの業績を読み取ることができるのです」

画像提供/マネックス証券

「連結事業」には2つの数字が出てくる。事業名のすぐ後に出てくる数字は、全体の売上を100とした場合の各事業の割合。そして、かっこ内の数字は、その事業の利益率を表す。

ロイヤルホールディングスの全体の売上が100億円だったとすると、「外食」の売上が44億円、利益率が4%だから、利益は1.8億円。「ホテル」の売上が21億円、利益率が15%だから、利益は3.2億円。より多く稼ぎを出しているのは、外食事業ではなくホテル事業だということがわかる。

「“インバウンド”が大きなキーワードとなっている日本で、ホテル事業がうまくいっている企業は将来性があるのではないかと、予測につなげられますよね。企業の意外な事業も見えてくるので、ぜひチェックしてほしいです」

投資初心者にとっては「業績コメント」が判断材料に

ポイント2「業績コメント」
「『会社四季報』の強みは、各企業に取材を行った記者が先行きを予想したコメントを書いているところです。もちろん予想が外れることもありますが、投資の参考になります」

画像提供/マネックス証券

例えば、上記のソフトバンクグループに対するコメントから、『会社四季報』は強気に見ていることが読み取れ、業績も好調に推移していくのではないかと予測できる。このコメントがきっかけで、『会社四季報』発売日に株価が動くこともあるのだとか。

「売上高」「営業利益」が上がり続けている企業は株価が上がる可能性大

ポイント3「売上高」「営業利益」
「業績と株価は連動するので、売上と利益が継続的に成長している会社は、株価が上がっていく可能性が高いといえます」

画像提供/マネックス証券

『会社四季報』には、過去5期分の業績(※)と、未来2期分の予測が記載されている。「配当金」が増えているかどうかも、見ておくと参考になるそう。

「より深く分析するには、2008年から2009年にかけてのリーマンショックの時期を調べることも大事」と、益嶋さんは話す。この時期に赤字にならず、業績が伸びていた企業は、今後景気が厳しくなっても、損が少なくて済むだろうと予測できるからだ。

「特に注目すべきは、その企業の本業で出た利益を指す『営業利益』です。もっとも純粋な利益といえます。『経常利益』は利息や配当など金融的収支を足し引きしたもので、『純利益』は当期だけ発生した利益や損益を足し引きしたものです」
※四季報の号によって、異なる場合もあります。

企業の稼ぐ力を測る「ROE」「ROA」にも注目

ポイント4「指標等」
「企業に稼ぐ力があるか、未来に投資する余裕があるか測るため、自己資本・総資産に対する利益率である『ROE』『ROA』や『最高純益』、将来に向けたお金の使い方が読み取れる『設備投資』『減価償却』『研究開発』の欄も、参考程度に見ておきましょう」

画像提供/マネックス証券

益嶋さん曰く、「現在の日本企業であれば『ROE』は10%、『ROA』は5%を上回っていれば合格点」とのこと。上記のニトリホールディングスは「ROE」が14.5%、「ROA」が11.0%のため、稼ぐ力がある企業と判断することができる。

「最高純益」の後ろのかっこ内の数字は、最高の利益額を出した年月を表す。ニトリホールディングスの場合は「2019年2月」ということ。この日付が過去であるほど、現在は稼ぐ力が足りていないことがわかる。

チェックするべきポイントと用語の意味がわかると、企業の業績が見えてくる。次回は、さらにファンダメンタルズ分析を進めるための『会社四季報』の活用法を紹介するので、お見逃しなく。
(有竹亮介/verb)

<合わせて読みたい!>
投資に役立つ「会社四季報」活用のポイント 後編

注目キーワード