終わりのない弱気相場はない

提供元:バンガード・インベストメンツ・ジャパン

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投資家の皆さまが最も恐れているのは、おそらく「弱気相場」の4文字ではないでしょうか。保有資産の市場価値が20%以上下落すれば、投資家であれば誰でも自信が揺らぐものです。回復基調に転じるのに時間がかかればなおさらです。世界の株式市場において、50%以上下落した弱気相場が1年以上続いたことが過去20年間に2度ありました。

当然のことながら、弱気相場は投資につきものですが、10年近く強気相場が続いたあとでは、この事実を忘れがちです。投資に関して見失いがちなもう一つの事実は、弱気相場には終わりが来るということ、そしてチャートが示すように、弱気相場を耐え忍んだ投資家は、その忍耐強さが報われてきたということです。

弱気相場は困難なものだが、強気相場も逃したくない

市場を長期的視点で見ると、細かい変動は隠れて見えなくなりますが、詳しく調べると、世界的な強気相場によるリターンは弱気相場の損失を補って余りあることがわかります。

注記:弱気相場とは、直近の株価の最高値から20%下落した相場を指します。

出所:トムソン・ロイターのデータに基づきバンガードが算出。リターンは1980年1月1日から1987年12月31日までをMSCIワールド・インデックス、1988年1月1日から2019年6月30日までをMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスにより、1979年12月31日を100として算出。

過去の運用実績は将来の結果を保証するものではありません。指数に直接投資することはできないため、指数のパフォーマンスは実際の投資パフォーマンスを正確に示すものではありません。

市場に不意を突かれると、投資計画を忠実に守っていくのは容易なことではないと思うかもしれません。しかし、リスクの許容度と支出の必要性に見合った投資を実践していくことは、決して間違った考え方ではありません。

機関投資家であろうと個人投資家であろうと、また何か行動を起こす必要を感じている顧客にアドバイスする立場であっても、投資を継続することは、長期的な投資目標を達成する上で適切な判断となるでしょう。

不確実な状況を乗り切るための鍵がいくつかあります。

株式の弱気相場はよくあること

弱気相場は頻繁に起こります。1980年以降、米国では7回、英国では5回の弱気相場がありました。

荒れた相場を乗り切る秘訣は、市場が変動するのは正常なことであり、チャートが示すように、長期的に見ればそれほど重要ではないと理解することです。

ノイズに左右されない

損失を避け、あるいはリターンを得ようとしてポートフォリオを入れ替えることは殆ど成功した試しがなく、長期的な運用実績が低下する可能性があると認識しておくことが重要です。

2000年から2018年にかけて、S&P 500インデックスは、複利ベースで年率4.86%のリターンを実現しました。しかし同期間中で最もリターンの高かった10日間を除くと、S&P 500インデックスの年複利リターンはわずか1.10%です。最もリターンの高かった25日間を除けば、年複利リターンは-2.43%になります。

投資を継続することは重要です。なぜなら下落局面が過ぎれば、市場の「良き」日々がそう長く待たずして訪れるかもしれないからです。市場の最高値と最安値は得てして判断が難しく、市場のタイミングを図って行う短期売買が成功するというのが誤った通説とされるのは、こうした理由によります。

逆風に直面しても方向性と規律を失わない

投資は時に強い感情を引き起こします。市場の混乱に直面すると、衝動的な判断を行ったり、逆に呆然とするあまり、必要な投資戦略の実行やポートフォリオのリバランスができなくなったりする投資家もいます。市場が不確実な局面でも規律を保ち、方向性を見失わずにいれば、長期の投資計画を忠実に守っていくことができます。

ポートフォリオを損失から守る最善の方法は、粘り強く世界の株式と優良債券に幅広く投資を続け、株式市場の下落に備える態勢を整えておくことです。世界の市場に幅広く投資することで、国内のショックから身を守ることができます。ポートフォリオを定期的にリバランスすることにより、投資目標に沿った資産配分を維持することができます。

未来に何が待ち受けているのかは誰にもわかりません。それでも過去の事例から学ぶことにより、ポートフォリオの長期的価値にとってメリットよりもデメリットの方がはるかに大きい衝動的な判断を避けることができます。

すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。分散投資は、利益を保証するものでも、損失を防止するものでもありません。米国外企業の発行する株式や債券はカントリーリスクおよび地域リスク、また通貨リスクにさらされています。

【筆者:バンガード最高投資責任者(CIO)グレッグ・デイビス】

 

(バンガード・インベストメンツ・ジャパン)

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