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MAB投信だより

投信窓販解禁後、初の年間資金流出超となるのか

提供元:三菱アセット・ブレインズ

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サマリー

●2019年の年間資金流出入額が投信窓販解禁後(1998年以降)で、初めて資金流出超となる可能性がでてきた。
●投信窓販解禁以降のカテゴリー別流出入動向からは、数年ごとに選好されるテーマやファンドが入れ替わっていた。
●直近では、レバレッジの効いたバランスファンドが人気を博しており、投信市場の資金流入をけん引している。初の年間資金流出超となってしまうのか、残り2ヵ月の巻き返しに注目したい。

1.投信窓販解禁以降、資金流出超は一度もなし

今年も残り1ヵ月余りとなり、10月末までの年間資金流出入額は約4,000億円の流出超となっている。図表1には、投信窓販解禁以降の各年資金流出入額とその年の10月末時点の資金流出入額を掲載している。

1998年に投資信託の銀行窓販が解禁以降、過去一度も年間(1月~12月)の資金流出額が資金流入額を上回ることはなかった。これまでITバブル崩壊やリーマンショックなど幾度となく景気が後退したが、それでも年末時点では資金流入超となっていた。このままいくと今年は初の年間流出超となる。

金融庁の方針の下「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)(以下FD)」の推進により、従来までの販売方法が見直されている過程にあることや昨年から世界経済の不透明感が続いたことなどもあり、今年の投資信託の資金流出入全体も減少している。残り2ヵ月でどこまで巻き返すことができるのかに注目したい。

【図表1:投信窓販解禁以降の資金流出入額 単位:億円】

2.投信市場のけん引役は時代と共に変化

窓販解禁後、個人にとって投資信託がより身近な金融商品となり、窓販解禁が投信市場の成長をもたらした。投信市場成長のけん引役となったファンドは時代の変化とともに移り変わってきた。

図表2には、投信窓販解禁以降のカテゴリー別の資金流出入額を掲載している。ここからは、各年のカテゴリーで流入額がトップとなったテーマやファンドを中心に振り返っていく。

2000年頃は、ITバブルにより日本株が高騰したことなどから、「ノムラ日本株戦略ファンド(BigProject-N)」(図表2①)が人気を集めた。その後の2000年代は、純資産残高を一時5兆円以上にまで積み上げた「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)(以下グロソブ)」(図表2②)が火付け役となり、外国債券への人気が続いた。グロソブから広まった毎月分配型投資信託は、月々の年金代わりに分配金を受け取れることから退職を控えた団塊の世代を中心に年々広がりを見せた。

また2006年頃には、「マイストーリー分配型(年6回)」など、複数資産に分散投資する複合資産型ファンド(図表2③)が人気を博した。2008年のリーマンショックでは多くの資産が大幅に下落したが、その後の相場回復局面で台頭したのが、エマージング債券やハイイールド債券などの高利回り債券ファンドであった。また、ブラジルレアル建てや豪ドル建てで運用する通貨選択型ファンド(図表2④)も多く誕生した。

2013年頃からは米国の景気回復もあり、米国資産を対象とした「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型」(図表2⑤)や「新光US-REITオープン(ゼウス)」(図表2⑥)など米国株式や米国REITファンドが人気となった。

しかし近年は、FDの推進に伴い、長年、投信販売の主力であった毎月分配型の流入額は大幅に減少し、2017年からは流出超が続いた。その中で昨年までは、ロボットや情報技術関連などのテーマ型ファンド(図表2⑦)が人気を博した。

このように、投信市場の資金流入をけん引してきたファンドは、時代の変化とともに数年ごとに選好されるテーマや資産などが入れ替わっていることが分かる。

【図表2:投信窓販解禁以降のカテゴリー別資金流出入額 単位:億円】

※ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信

3.2019年のけん引ファンド「レバレッジ型バランスファンド」

2019年10月の月間流入額で首位となり、直近の資金流入のけん引役となっているのが「グローバル3倍3分法ファンド(以下3倍3分法)」だ。

図表3の通り、昨年10月の設定直後こそ、なかなか資金が集まらなかったが今年4月以降は、認知度が高まると同時に大幅に資金を獲得した。純資産残高は設定後わずか1年で2コース合計4,000億円に迫るなど、急速に純資産残高を伸ばしている。他資産等との比較(図表4)で良好なリターンを獲得している点が投資家の注目を集めている模様。

3倍3分法と類似した方法で運用をする「レバレッジ型バランスファンド(以下レババラ)」は昨年から今年にかけて、「ウルトラバランス世界株式」、「米国3倍4資産リスク分散ファンド」、「楽天米国レバレッジバランス(USA360)」と合わせて4ファンドが登場している。このブームの先駆けとなった3倍3分法のように後続ファンドも資金を集めることができるのか、残り2ヵ月の資金流入の切り札として、『レババラ』に対する関係者の期待は大きい。

レバレッジという仕組みに抵抗感を抱く投資家は依然多そうだが、相応なリスクながら良好なリターンを獲得することができており、この「分散投資×レバレッジ」が一過性のブームになることなく投信市場に定着するには、長期運用による実証が求められる。今後の動向を注視していきたい。

【図表3:グローバル3倍3分法の資産推移 単位:億円】

【図表4:グローバル3倍3分法の設定来リターンと主要4資産および複合資産との比較】

※1 2018年10月末=10,000
※2 各資産には「MAB‐FPI」を使用。MAB-FPI:日本の公募追加型株式投資信託全体の動向を表す指数

 

(MABファンドアナリスト 津原)

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