投資信託のトレンドが分かる!
2019年11月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2019年11月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「3ヵ月連続で株式カテゴリーがリターン上位」
11月の資金流出入動向は約3,280億円の流出超となった。外国株式が資金流出に転じたことに加え、国内株式やエマージング株式から継続して資金が流出したことで、流出規模は前月(約2,200億円)から拡大し、3ヵ月連続の流出超となった。
資金流入では、前月に引き続き複合資産と不動産投信に資金が流入した。両カテゴリーへの流入額は前月から拡大した。
資金流出では、すべての株式カテゴリー(外国株式、国内株式、エマージング株式)から資金が流出した。株式市場が堅調となったことによる利益確定売りの動きもあり、前月に約330億円の資金が流入していた外国株式からは約1,160億円の資金が流出した。
個別ファンドで当月の資金流入額が大きかったのは、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」やレバレッジ型の「グローバル3倍3分法ファンド」であった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「株式カテゴリーがリターン上位」
11月の金融市場は、先進国を中心にリスク選好地合いが継続した。米中貿易協議が順調に第一段階の合意に向かっているとみられ先行きが楽観視されたことや、米国の四半期決算が出揃い概ね好調な企業業績が確認されたことを好感した。
株式市場は、米中貿易交渉の部分合意や米国経済の底堅さから、米国株が主要3指数(NYダウ、S&P500、ナスダック)揃って史上最高値を更新し、先進国株式は総じて堅調な展開となった。一方で新興国株式は、中国の軟調な経済指標や不透明な香港情勢の継続を受けて冴えない動きとなった。
債券市場は、小幅に下落(金利は上昇)した。米FRB(連邦準備理事会)議長が、追加の利下げについて当面行わない方針を示したことで月初は債券価格が下落したが、各国の緩和的な金融政策を背景に、前月末対比では小幅な下落にとどまった。
為替市場は、米ドル・円が円安、ユーロ・円は円高となった。米ドル・円はリスク選好地合いの中で5月末以来の円安ドル高水準をつけた一方、ユーロ・円は欧州の経済指標が冴えないことや、英国の総選挙が12月に控えていることを背景に方向感の乏しい展開となり、円高ユーロ安となった。
これらを背景に、11月の投信市場では国内株式を中心にすべての株式資産(国内株式、外国株式、エマージング株式)が上昇し、リターンの上位となった。米中貿易交渉の合意への期待が保たれたことに加え、米国企業の四半期決算の内容が好感された。他方で、グローバルなリスク選好地合いが継続したことから、海外金利の小幅上昇(債券価格は下落)とともに国内金利も小幅上昇し、国内債券やハイイールド債券のリターンがマイナスとなった。
直近3ヵ月、12ヵ月リターンでは、外国株式が上位にランクインした。米国株式の上昇にけん引されたほか、為替が円安ドル高傾向になったことが背景にある。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、堅調な国内株式相場を反映し、レバレッジ型投信が上位を占めた。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定本数は増加、設定額は減少」
当月の新規設定本数は40本と前月(29本)から11本増加し、設定額は約620億円と前月(約450億円)から増加した。
当月新規設定ファンドのうち設定額上位は、追加型では「マンAHLスマート・レバレッジ戦略F」(約327億円)、単位型では「GS社債/国際分散投資戦略ファンド2019-11」(約115億円)となった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、11月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)