投資信託のトレンドが分かる!
2019年12月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2019年12月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「4ヵ月連続の資金流出超」
12月の資金流出入動向は約2,200億円の資金流出超となった。流出額は前月(約3,300億円)から減少したが、4ヵ月連続の資金流出超となった。
資金流入では前月と変わらず、国内債券、不動産投信、複合資産へ資金が流入した。いずれのカテゴリーも前月から流入額が増加した。
資金流出では、堅調な市場推移を背景とした利益確定売りの動きもあり、国内株式、外国株式、エマージング株式、外国債券、エマージング債券、ハイイールド債券から資金が流出した。
個別ファンドで当月の資金流入額が大きかったのは、「TRプライス米国成長株式ファンド」であった。
(図表1)主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「エマージング株式がリターン首位」
12月の金融市場は、世界的にリスク選好地合いが強まった。米中貿易交渉が第一段階の合意に至ったことや、英国総選挙の与党大勝を受けた英国のEU離脱問題の進展への期待が高まり、リスクオンの流れが継続した。
株式市場は、米中関係の改善が見られたことや米国経済の底堅さが確認されたことに加え、欧州の政治リスクが低下したことが好感され、エマージング株式を含め世界的に株高の展開となった。
債券市場は、世界的に下落した。グローバルなリスク選好地合いが強まる中、各国中銀が更なる金融緩和政策に慎重な姿勢を示したことから、対前月比で長期金利が上昇した。
為替市場は、米ドル・円はほぼ横ばい、ユーロ・円は円安となった。米ドル・円は米中貿易交渉の先行き不透明感から円高となる場面が見られたものの、その後の米中合意を受けて結局は月初の水準に戻った。ユーロ・円は欧州政治リスクの低下とECB(欧州中央銀行)が追加金融緩和を急がない姿勢を示したことなどから、ユーロは対米ドル、対円ともに上昇した。
これらを背景に、12月の投信市場では国内債券、不動産投信を除く全てのカテゴリーでプラスのリターンを獲得した。米中貿易交渉の第一段階合意報道や英総選挙での与党保守党の大勝を受けて、株式市場は上昇した。
新興国では、世界経済の減速懸念が後退したことにより、リスク選好地合いが強まり各国に資金が流入し、エマージング株式、エマージング債券ともにプラスのリターンとなった。また、米国の堅調な経済指標などからスプレッドが縮小し、ハイイールド債券のリターンもプラスになった。
他方で、世界主要中銀が揃って追加緩和への慎重姿勢を示したことや、米中合意や英総選挙の結果を受けた投資家心理の改善などから、海外金利の上昇とともに国内金利が上昇し、国内債券や不動産投信のリターンがマイナスとなった。
直近3ヵ月、12ヵ月リターンでは、堅調な市場推移から株式カテゴリー(外国株式・国内株式・エマージング株式)が上位にランクインした。
個別ファンドの1ヵ月リターンでは、ブラジル国内景気の復調期待や利下げ政策を継続してきたブラジル中銀の今後の政策スタンスに対する思惑などから、ブラジル株やブラジルレアルが上昇し、ブラジル関連ファンドが上位にランクインした。
(図表2)パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「新規設定本数は半減も、設定額は大幅増加」
当月の新規設定は20本と前月(40本)から半減したが、設定額は約2,300億円と前月(約620億円)から大幅に増加した。2017年2月に約2,770億円の資金を集めて以来の高水準となった。
当月新規設定ファンドのうち設定額首位は、「TRプライス米国成長株式ファンド」(Tロウプライス)で約1,480億円の資金を集めており、当ファンドが設定額全体の過半を集める結果となった。
(図表3)新規設定金額、設定本数の推移
最後に、12月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
(図表4)資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)