世界共通語「ESG/SDGs」

目標達成の取り組みが、将来の人材獲得につながる!?

世界規模の開発目標「SDGs」がビジネスに与える影響

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地球上の環境・社会問題を解決するため、世界共通の目標として掲げられている「SDGs(エスディージーズ)」。気候変動や雇用、貧困の問題など、内容は多岐にわたるが、そのどれもが個人レベルでは解決できないものばかりだ。

「どの目標を取っても、産業界の関わりなしには達成できません」と話すのは、日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャーの村上芽さん。裏を返せば、企業にとって「SDGs」は大きな影響を及ぼすものといえるだろう。具体的にどのように影響するのか、村上さんに聞いた。

「SDGs」が事業立ち上げ&改善のヒントに

「『SDGs』が世界的な目標となっている今、企業がその達成に向けて取り組んでいるか、チェックする投資家が増えています。ということは、『SDGs』と成長戦略の方向性が合致している企業は、評価されやすいともいえます」(村上さん・以下同)

では、具体的に企業は何をすればいいのか。そのヒントが、「SDGs」の17の目標、169のターゲットに隠れているという。

「例えば、風力発電事業はターゲット7.2『2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる』に合致。ほかのターゲットを読んでいくと、風車を建てる地域の住民・動植物への影響、下請け工場の労働問題なども考えるきっかけになります」

ターゲット15.4「2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う」からは、「必要以上の森林伐採を避ける」という視点が生まれるだろう。

「新規事業のヒントはもちろん、既存事業を改善し、拡大するための種も『SDGs』の中に隠されていると思います。その事業が『SDGs』達成につながるものであれば、投資家から評価され、企業は存続していくでしょう」

「SDGs」は、事業を大きな視点で見ていくための指標になり得るのだ。

「SDGs」に向けた取り組みが人材獲得につながる

「人手不足が深刻な問題となっている日本において、『SDGs』達成に取り組むことは、人材獲得につながるとも考えられています。若い世代で、環境・社会問題への関心が高まっているからです」

2015年に採択された「SDGs」は、高校の副読本に採用されたり、国際問題に関する教育に熱心な学校で授業に取り入れられたりしているそう。つまり、現在の学生は、環境・社会問題に関する知識が豊富な可能性が高いのだ。

「『SDGs』では雇用の問題も掲げられていますが、現在の日本でも働き方改革が進められています。女性のキャリア形成や同一労働同一賃金の達成と向き合っている企業は、労働者にダイレクトに響くでしょうね」

「SDGs」が世界的なコミュニケーション言語に

もう1つの影響は、「SDGs」が世界に通じる共通言語になるということ。

「これまでは、企業が環境・社会問題に取り組んでいた際に、創業の理念や事業を通じて獲得したい価値などを、独自の言葉で説明する必要がありました。しかし、『SDGs』の登場によって、誰にでも伝えやすくなったのです」

「SDGs」という言葉を用いるだけで、環境・社会問題解決につながる事業であることが伝わるため、長々と説明する必要がなくなる。その分の時間を、具体的な商品説明に使えるのだ。

「『SDGs』は国際的なブームとも呼べるほどの広がりを見せていますし、国内でも女性誌で特集が組まれるほど。重要なキーワードであり、ビジネスにおけるコミュニケーションツールになっています」

国内外問わず、今後のビジネスにおいて、大きく影響していく「SDGs」。世界で生き抜いていくためには、押さえるべき要素といえそうだ。
(有竹亮介/verb)

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