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農産物のETFをご存じですか?

提供元:JTG証券

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商品ETF(上場投資信託)の中でも、金、銀、白金といった貴金属や、原油、天然ガスといったエネルギー類の価格や指数に連動するように設定されているETFはよく知られていますが、農産物の指数に連動するETFがあるのをご存じでしょうか。

農産物の取引形態でよく知られているものに商品先物取引があります。しかしながら、商品先物取引は、実際の取引金額の一部を証拠金として差し入れる証拠金取引であり、取引単位が比較的大きな金額であったり、レバレッジを効かせた取引となるため大きなリターンが期待できる一方でリスクも大きい取引であるなど、個人投資家にはなかなか手の出しづらい取引です。

それがETFの取引であれば、取引金額も比較的少額から、レバレッジを効かさずに現物株式と同じように取引が可能で、農産物は株式や債券といった伝統的な金融商品と異なる資産クラスであるため、分散投資の一環として個人投資家でも比較的利用しやすくなっています。

東証では以下の5銘柄が上場しています。
(1) 1687 アグリETF (正式名称:WisdomTree農産物上場投資信託)
(2) 1688 穀物ETF (正式名称:WisdomTree穀物上場投資信託)
(3) 1695 小麦ETF (正式名称:WisdomTree小麦上場投資信託)
(4) 1696 コーンETF (正式名称:WisdomTreeとうもろこし上場投資信託)
(5) 1697 大豆ETF (正式名称:WisdomTree大豆上場投資信託)

(1)のアグリETFは、「Bloomberg Agriculture Subindex」の総合商品指数に連動する投資成果を目指すETFです。Bloomberg Agriculture Subindexとは、Bloomberg Commodity Indexのサブ指数であり、コーヒー、トウモロコシ、綿花、大豆、大豆油、砂糖および小麦の先物契約で構成されており、対象となる商品の先物価格の動きから発生するリターンのみを反映しています。

(2)の穀物ETFは、(1)と同様に、トウモロコシ、大豆、小麦で構成されるサブ指数「Bloomberg Grains Subindex」を連動対象としています。

(3)~(5)のETFは、Bloomberg Commodity Indexのうちのそれぞれの対象商品により構成されている部分をベースとするサブ指数で、(3)は小麦、(4)はとうもろこし、(5)は大豆のそれぞれの先物契約を基準に設定されており、対象商品の先物契約の価格の動向から発生するリターンのみを反映しています。

農産物の価格は、天候要因(大干ばつ、長雨等)や需給要因(作付遅延、在庫減少、豊作)、社会的要因(金融危機等)などが影響して変動します。なかでも天候要因は農産物に独特の重要な要因です。

また、農産物は貴金属や原油などと異なり、基本的に一年一作であり、収穫期に大量に供給されたものを保管して次の収穫期まで消費するというサイクルとなります。そのため、1年の中で、収穫期には供給過剰となり、端境期にはモノ不足となることで発生する需要と供給の極端なアンバランスにより、農産物価格には季節性が生じるといわれている点には注意が必要です。

なお、近年の穀物等の国際価格の推移をみると、2012年にとうもろこしや大豆が史上最高値を記録して以降、小麦やとうもろこし、大豆の豊作等から穀物等の価格は低下しており、2017年以降は横ばいで推移しています。ただし、新興国の畜産物消費の増加を背景とした堅調な需要やエネルギー向け需要によって、その水準は、世界的に穀物等の価格が上昇した2008年以前を上回るものとなっています。

一般的にコモディティは、インフレに強く、株式や債券の価格との連動性が低いとされているため、農産物ETFを上手に組み入れることで手軽に分散投資を行うことができるというメリットがあります。

ただし、現在の農産物ETFは、株価指数を連動対象とするETFなどと比較して売買高が小さく、取引が活発に行われているとは言えない状況です。そのため、気配値(買い注文で最も高い値段と売り注文で最も安い値段)が大きく離れることで日中の値段が大きく変動することがある、あるいは需給により実際に当該ETFが保有する正味資産価値と乖離する価格で取引されることがあるなどのリスクがある点には注意が必要です。

今般では、投資を検討する際に、気候変動の原因となる環境問題や、新興国の人口増加および食料問題など、世界のさまざまな問題を考慮せざるを得ません。SDGsやESG投資が注目されていますが、世界的視野をはぐくむといった意味でも、農産物ETFへの投資を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

(提供元:JTG証券)

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