果てしない情報収集の時間を短縮できるツール

企業の財務情報がワンストップで見れる「バフェット・コード」って何?

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どのような手法で投資を行うにしても、企業分析は必要不可欠。とはいえ、企業の財務数値を調べ、必要な情報を抽出するだけでも、途方もない時間がかかってしまう…。

実は、個人投資家が抱えるそんな悩みを解決してくれるツールがある。無料で使える「バフェット・コード」だ。バフェット・コード(twitter:@buffett_code)の中の人である開発担当者に、サービス開始に至るまでの経緯とツールの魅力を教えてもらった。

企業分析に注力するための“財務情報収集”ツール

「バフェット・コード」では、ウェブサイト上で各企業の財務数値が見られるだけでなく、企業の比較やスクリーニングまで行える。企業の業績や収益から株価の動きを探るファンダメンタル分析をサポートしてくれるツールだ。

この「バフェット・コード」は、開発者自身がほしいと願ったツールだった。

「私は新卒で外資系投資銀行に入り、企業分析の業務を担当していたんです。そこではSPEEDAやCapital IQ、Bloombergといった法人向けツールがあり、上場企業の財務情報を集めることに苦労しませんでした。しかし、IT企業に転職して、法人向けツールが使えなくなった途端、すごく不便さを感じたんです」

企業の財務情報を収集できるツールは、ほとんどが高額で、法人契約でなければ利用できないものばかり。個人で財務情報を集めようとすると、有価証券報告書や決算短信、日本取引所グループのホームページなどで1社ずつ調べていくことになるため、かなりの時間を要する。

「財務数値をエクセルやスプレッドシートにコピペしていく作業は、1社だけならまだしも、2社、3社、10社と増えていくごとに労力が増します。上場企業すべてをまとめようとしたら、1年はかかりますね。だから、その煩雑な作業を省略し、企業分析に集中できる環境を作りたくなったんです」

「バフェット・コード」という名称は、世界的な投資家ウォーレン・バフェットと関係があるそう。

「投資を始めた時に、ウォーレン・バフェットの考え方を入り口にして、中長期的な投資を重視してきたので、彼のようなファンダメンタルに着目する手段に特化したツールにしたかったんです。きっと彼にしか見えない暗号的なものがあるだろうし、同じようにツールを使う皆さんにも独自の暗号を見つけてほしいと思い、『バフェット・コード』と名づけました」

市場参加者同士、同等の「武器」を持つべき

「バフェット・コード」に掲載されている企業の財務情報は、金融庁が公開しているEDINETをもとにしているそう。

「上場企業は有価証券報告書を金融庁に提出していて、金融庁に保管されている情報はEDINETで見られるようになっているんです。『バフェット・コード』ではそのオープンソースを持ってきて、解析し、数字を取り出して掲載しています」

公式の情報ならば、安心して参考にできそうだ。また、さまざまな資料やウェブサイトを渡り歩くことなく、1カ所でさまざまな企業の情報を比較できるところが、最大の魅力といえるだろう。

「開発当時、企業の財務情報を簡易的に比較できるツールは、個人投資家向けにはありませんでした。かたや法人の人たちは、当たり前のように便利なツールを使っている。その違いが、一番気になりましたね。同じ市場参加者なのだから、同じ武器を持って参加できればいいのにって。個人投資家の方の単純作業を劇的に減らして、クリエイティブな分析に時間を割ける環境を提供したいですね」

「競合他社との比較」にも活用できる

サービスを公開してからの反響は、想像以上に大きかったとのこと。

「2018年1月のオープンと同時に、Twitterで企業分析にまつわる情報を発信していたこともあり、割と早くいろいろな方に知ってもらえて、利用者は順調に伸びています。個人投資家の方はもちろん、ベンチャーキャピタリストやスタートアップ企業の経営者の方にも、使っていただいています」

投資目的だけでなく、経営している企業の競合やベンチマークにしている企業の業績を知るための指標にもなるのだ。

「SPEEDAやBloombergも、投資家だけでなく、企業の経営層が使うツールでもあるので、『バフェット・コード』も同じように使っていただけてうれしく思います」

ファンダメンタル分析のサポートツールとして誕生した「バフェット・コード」。情報収集において、強い味方になることは間違いないだろう。
(有竹亮介/verb)

<後編はこちら>

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