ポイント運用も開始!
証券会社CONNECTが、ゲームアプリ開発に挑戦した意味
大和証券グループが設立した新会社CONNECT。同社では証券アプリ「CONNECT」をリリースしたが、同時に別のサービスも開始している。それがポイント運用の「StockPoint for CONNECT」と、ゲームアプリ「ひよこ社長のまちづくり」だ。
ポイント投資にゲームアプリと、証券会社とは思えない幅広いサービス。この多様さを生んだのは、CONNECTが大切にする他社との“連携”だろう。ということで、同社代表取締役社長の大槻竜児氏にインタビューし、これらのサービスについて詳しく聞いた。
Pontaポイントも対象に。投資の入口も作っていく
前回の記事で、CONNECTが大切にするものとして「連携」や「つながり」をキーワードに挙げた大槻氏。その典型と言えるのが、StockPoint for CONNECTだ。
StockPointは、人気のポイント運用サービスであり、セゾンカードの永久不滅ポイントをはじめ、さまざまなポイントで個別企業の株式やETFなどの運用を疑似体験できる。銘柄の価格変動とポイントが連動する仕組みだ。
このサービスとCONNECTが連携し、今回のサービスが誕生した。これまでStockPointで対象となっていた各種ポイントはもちろん、Pontaポイントも新たに加わった。運用対象として選べる銘柄も100を超える。
「大きな特徴は、ポイントが1株以上になれば本物の株に交換できることです。証券口座の開設は必要ですが、たとえば弊社アプリのCONNECTで証券口座を作りID連携すれば、簡単な手続きで株に交換できるのです」
株式への交換手数料もゼロ。ポイント運用から「少しでも本物の株を持つことに近づけばいい」と大槻氏は期待を口にする。StockPointとの連携により、本物の投資にたどり着くための入口、きっかけも作っている。
ゲームで学んでほしい街づくりと投資、社会課題の関係とは
もうひとつ、同社が手がけるサービスが「ゲームアプリ」だ。しかも、証券会社にありがちな株の売買を仮想で行うトレーディングゲームではない。なんと街づくりゲームである。7月7日に公開された「ひよこ社長のまちづくり」がそれだ。
このゲームでは、主人公がお店の社長となり、町を発展させていく。最初は、お店に来るお客さんが欲しがる商品、おもに農作物を育てて売るところから始まるが、やがてお店が大きくなると、さまざまな会社に投資できるようになる。その結果、町のインフラは整い、住みやすくなるというストーリーだ。
「証券会社の作るゲームは、株の売買や値上がり・値下がりを予想するものが多いですが、それは私の考える資産形成の本質とは真逆です。何より伝えたいのは、経済の根底に投資があり、それが新しい製品や社会課題の解決につながっていること。だからこそ、このゲームで町を飛躍的に成長させるためには投資をうまく行うことがポイントになってきます」
特徴的なのは、町が発展すると次々に社会課題が出てくること。水産資源の枯渇や公害問題などだ。これらを、町の企業や仲間と知恵を絞り解決していく。ゲームを通じて、投資や経済の成り立ちだけでなく「企業活動のあり方も学んでほしい」と、大槻氏は意図を伝える。実際、投資先の経営方針に指示を出すことも可能。さらには、優待や配当も発生するという。
このアプリは、ゲーム開発会社アピリッツとの共同開発。主要キャラは声優を起用するなど、クオリティも追求している。開発期間は約1年半。証券会社としては異例のチャレンジだが、大槻氏は「抵抗はなかった」と話す。
「若い方はSNSやゲームに費やす時間が非常に長く、我々がそれを無視すれば、いつまでも投資を理解していただけません。ゲームを通じて、投資へのモチベーションをデザインしたいと考えました」
ちなみに、ローンチされているゲームアプリはもうひとつある。「大儲け!ギャルがカブでのランゲーム!?」というもので、ゲームを遊ぶ中で株式チャートの読み方を学べる。タイトルからも分かるが、かなり攻めた内容だ。
やはり先述したアピリッツとの共同開発であり、フルボイスという力の入れよう。従来の証券会社の枠組みを超えた活動と言えるだろう。
「今後は、投資を“続けること”にフォーカスした企画も行いたいですね。投資を始めるきっかけは作りやすいですが、重要なのは続けるモチベーションをどう提案できるか。その点を、新しいサービス含めて考えていければいいですね」
さまざまな企業、人とつながる意味で名付けられたCONNECTの社名。彼らが生み出す“つながり”は、きっと投資の未来にもつながっていくだろう。
(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)
※記事の内容は2020年9月現在の情報です