生活費? それともホビー?
コロナウイルスの特別給付金10万円、会社員は何に使った?
当初は減収世帯に30万円ずつ給付するという計画であったが、紆余曲折を経て全国民に10万円ずつ給付することになった新型コロナウイルスの特別定額給付金。ありがたいと感じた人は多いだろう。政府は消費刺激効果も期待していたようだが、受け取る側はこの臨時収入があるとわかった時点で何に使いたいと思ったのか。実際に手にする前の意向について、全国の20〜40代の会社員552人に聞いた。
Q. 特別定額給付金10万円の使い道を教えてください
生活費 45.7%
貯蓄 42.0%
投資 10.7%
趣味 22.5%
寄付 2.5%
税金の支払い 8.2%
その他 4.2%
受け取らない 2.7%
(複数回答)
生活費と貯蓄が目立って多いという結果であった。生活費もしくは税金の支払いのうち少なくとも一方を挙げた人は全体のほぼ半数、生活費・税金の支払い・貯蓄のうち少なくとも1つを挙げた人は全体の4分の3弱を占めていた。
「投資」を挙げた会社員の世帯年収を見ると、600万円以上の人の割合が56.1%だった。会社員全体では世帯年収600万円以上の人は47.3%であったので、家計に余裕のある会社員の方が給付金も投資に回す傾向にあるようだ。
「趣味」を挙げた会社員では世帯年収600万円以上の人が55.7%であり、こちらもやはり高収入の人が多くなるようだ。
Q. 特別定額給付金10万円の使い道の理由を教えてください。
給付金の使い道を選んだ理由を説明してもらった。ここでは「趣味」と「投資」という余裕のある用途に給付金を使う会社員に絞って見ていきたい。「趣味」に使うという会社員の挙げた理由には以下のようなものがあった。
「旅行に行きたい」(女性、30代)
「欲しいものに使った」(男性、20代)
「我慢したので自分へのご褒美」(男性、20代)
「経済を回すため」(男性、30代)
「経営が厳しいらしい趣味関連の会社に潰れてほしくないので」(女性、30代)
「給付内容を考えると使った方がいいと考えるから」(男性、40代)
「趣味」に使う人の挙げた理由の中で目立ったのは「(前から)欲しかった」と「旅行(に行きたい)」の2つであった。旅行を挙げた人は11人おり、こうした層にはGoToトラベルキャンペーンは有効だったのではないだろうか。
他方で、自分のためというよりは経済を回すために意識して使ったという回答もかなりの数が見られた。給付金を趣味に回すだけの余裕がある会社員には社会全体への目配りもできるものなのかもしれない。
次に、「投資」に使った会社員の理由を見てみよう。
「欲しいものがないけど貯蓄するには金額が少ない気がするので」(女性、30代)
「自分の職業は社会インフラの維持に欠かせず不況の影響を受けないので収入に変動はないから」(女性、40代)
「生活費に充てるのが一番で、半分は貯金したり、投資資金に回したりしようかなと考えている」(男性、30代)
「高配当株を買って配当金をもらいたいから」(女性、30代)
「そんなに切羽詰まった状況ではないので、生活費に回すより運用して将来の蓄えにしようと思ったため」(男性、40代)
ただ貯蓄しておくよりも、積極的に増やしていきたいという会社員が多いようだった。やはり給付金を投資に回す会社員には余裕が感じられる。
給付金の使い道としては生活費と貯蓄で大半を占めるが、元から収入の多い会社員は趣味や投資にも回すという傾向がうかがえた。余裕があるから趣味や投資に回せるのか、趣味や投資に回すような考え方をするから収入に余裕が生まれるのかはなんとも言えないが、給付金で投資を始めてみるのも悪くないのかもしれない。
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(三田祐介)
「お金に関するアンケート」
調査方法:インターネットによる調査
調査時期:2020年6月
調査対象:全国20〜40代の会社員
有効回答数:552件