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20代の新しい投資文化とは

投資アプリ「ferci」に見る、コロナ禍で進むZ世代の資産運用

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コロナ禍においてZ世代の投資デビューが増えている。Z世代とは1990年代後半以降に生まれた若者たち。その世代に「投資デビューの場」として好まれているアプリがマネックス証券の「ferci」だ。クチコミ機能がついた投資アプリで、“先輩”投資家のコメントやアドバイスを参考にできる。

このアプリは、SNSに慣れ親しんだ若年層を意識して作られたもの。2021年1月現在、ferci利用者は20代が2割を占め、20・30代の比率(約40%)はマネックス証券の口座における比率の約2倍に及ぶという。預かり資産も1人10万円以下が70%と、若者が少額で投資デビューする場となりつつある。

「昨春以降、ユーザーあたりのクチコミ投稿数が約2倍に増えるなど、コロナ禍でferciの利用が進んでいます」。こう話すのは、アプリを開発したマネックス証券の万代惇史氏。Z世代を中心とした若年層はどんな投資デビューをしているのか。ferciを参考にその動向を探った。

経済不安の解決策は「副業」より「資産形成」が最新?

長引くコロナ禍において、若年層の不安は増している。マネックス証券が2020年11月に発表した調査結果によると、若年層の約8割が「将来の不安を感じている」と回答。20代に具体的な不安の内容を聞くと、90%以上が「お金について」と答えた。

注目すべきはその解決方法。20〜30代の47.7%が「投資などの資産形成」と回答したのだ。「副業」の46.6%を超えており、経済的不安への解決策として資産運用が注目されているとわかる。

そんな若者たちが集まるのがferciだ。クチコミをはじめ、基本的なアプリの機能は以前の記事で紹介した通り。リリースから1年以上経ち、ユーザーのやりとりも活発になってきた。特に多いのが、投資初心者たちだ。ferciを利用する20・30代のうち、60%が新規口座を開設。若い世代がここで投資デビューするケースが多い。

「新規登録されたユーザーのプロフィールを見ると『初心者なのでいろいろ教えてください』『投資について勉強中です』などと書かれたケースがたくさんあります。そういった方が先輩投資家の会話を眺めたり、投資経験の豊富なユーザーからアドバイスを受けるなど、コミュニケーションの中で投資を学んでいくサイクルができています」

投資経験がない若者にとって「相談相手がほしい」というニーズは強い。冒頭の調査では、20代に「投資について、どうすれば最初の一歩を踏み出せるか」と質問。投資未経験者の52.5%が「誰かに相談する」と答えた。

一方で「誰に相談していいかわからない」という回答も57.1%に上った。投資やお金について相談したいけど、相談相手が身の回りにいない。そんな若年層は多く、ferciで質問している様子が見られるという。

「匿名のネット掲示板と違い、各ユーザーはアカウントを持っています。悪意のある対応をすれば自分のアカウントの価値が落ちますし、親身に答えてくださっている方も多い。参加者にとって居心地が良いのではないでしょうか」

お金に対する情報収集。Z世代ならではのスタイルが

初心者に向けた「相談機能」も追加した。2020年11月末から12月にかけてFPによる「お金のお悩み相談室」を行い、ferciユーザーから募集した悩みや質問へのFPの回答を公開している。

そのほか、ホーム画面に「初心者」タブが設置され、投資の入門的なコンテンツをまとめて見られるように。細かな部分でも投資デビューへのサポートを強化している。

「銘柄の値動きについても、初心者にとって、チャートを見ているだけでは値動きの理由がわからないケースも多いもの。ferciは銘柄ごとのクチコミでみんなが会話しているので、値動きの理由を理解しやすいと思います」

少額で投資を実践しながら学んでいく。こういった手法は「Z世代と相性がいい」と万代氏は考える。

「若い世代の情報の取り方を見ると、本などを読んで一気に学ぶより、日常のスキマ時間に少しずつ情報を集めるスタイルが増えています。投資やお金の情報も、気になるツイッターやインスタグラムのアカウントをフォローして、日常的に流れるタイムラインを見ながら日々少しずつ学ぶトレンドが生まれつつあります」

万代氏によれば、最近はインスタグラムでも貯蓄や家計に関する情報を複数枚の画像にまとめて掲載するアカウントが流行っているという。そして、若年層はそういった情報からお金の知識を得るケースが増えている。ferciもユーザーとコミュニケーションしながら日々情報を蓄えていく空間にしたいという。

「初めて投資を行うには3つの壁があると思っています。1つは金額の壁。これは、1株数百円の少額から買えるアプリにして乗り越えました。次にUI /UXの壁。専門用語や玄人向けのデザインが多い投資サービス中で、初心者も使いやすいアプリを心がけました。そして最後が情報の壁です。初心者も気軽に知識を蓄えていけるよう、クチコミや相談機能で補っていければと思います」

コロナ禍で進む若年層の投資デビュー。アメリカでは少額投資を行う若者“ロビンフッダー”の急増が話題になった。少額で投資できるスマホアプリ「ロビンフッド」がきっかけである。

日本も同じような動きが起きるのか。その入り口となるのはferciかもしれない。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2021年1月現在の情報です

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