ETF大全~体系的にETFを学ぶ~
<第1回>ETFとは何か
提供元:野村アセットマネジメント
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野村アセットマネジメントでは、日本初のETFの上場25周年を記念して、2021年4月30日に「ETF大全(日本経済新聞出版)」を発刊しました。本書では、ETFの商品性や魅力、使い方に加え、ETFの主要なプレイヤーが、普段投資家が接することが少ない裏側で具体的に何を行っているのかまで、詳細に体系立てて網羅的に解説しています。
そこで、マネ部読者の皆様にもETFの本質をご理解頂くために、今後複数回にわたり、本書の内容を抜粋しながらETFについて体系的にご案内していきたいと思います。
<ETF大全表紙>
ETFとは
ETFとはExchange Traded Fundの頭文字をとったもので、文字通り取引所(Exchange)で取引される(Traded)投資信託(Fund)です。日本語では「上場投資信託」とも呼ばれ株式と同様に4桁の証券コードが付与されている、取引所で売買が可能な金融商品です。
様々な金融商品の中でETFの歴史は比較的浅く、初めて登場したのは1990年カナダで、1993年には米国で有名なS&P500指数に連動するETFが上場されています。日本においては、1995年に日経株価指数300に連動する投資信託が取引所に上場され、その後2001年にTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価に連動するETFが登場して以降、今日まで順調に拡大を続けています。
ETFの特徴・魅力
では、世界中でなぜETFが人気となったのでしょう。Eric Balchunasはその著作『The Institutional ETF Toolbox』(John Wiley, 2016)の中で、以下のような理由を挙げています。
Low Cost(低コスト)
Diversification(分散投資)
Passive Investing(パッシブ投資)
Transparency(透明性)
Standardization(標準化された商品)
Convenience(利便性)
Liquidity(流動性)
Price Discovery(価格発見機能)
Tax Efficiency(税効率の高さ)
Easy Asset Allocation(資産配分の容易性)
Democratic(民主的)
Flexibility(柔軟性)
Anonymity(匿名性)
Fiduciary Vehicles(受託者責任を満たす投資商品)
No Emotion(感情に左右されない投資)
Battle Proven(実践経験)
簡単に解説を加えておきます。まず、低コストや分散投資といった点は、いわゆるパッシブ運用となる指数連動型のインデックスファンドの特徴です。ETF1銘柄に投資することで、連動対象指標を構成する複数の銘柄に分散されたポートフォリオへの投資が可能となります。ETFは、こうしたパッシブ運用としての特性を備えた上で、さらに取引所に上場しているため、保有銘柄の開示による透明性の高さを実現しており、日中取引が可能であるという利便性や流動性を有しています。
また、債券やコモディティ等もETFとして株式同様に上場している点で標準化された商品となっています。さらに、海外資産等原資産が国内では直接取引されていない時間帯においても、ETFとしての売買が行われており、価格発見機能が提供されていると言えます。
投資信託においては機関投資家向けの私募投信と個人投資家向けの公募投信で手数料体系が異なることが一般的ですが、ETFの場合にはファンドにかかる管理費用(信託報酬)は一本値で、市場価格で誰もが取引できるという点で民主的な商品であるといわれています。また、標準化された商品であることから資産配分の部品としての容易性を提供しています。近年フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)が資産運用サービスにおいて重要な要素となっていますが、欧米では、低コストや透明性、標準化され民主的といった点で、受託者責任を満たす投資商品として活用が広がっています。
なお、米国でETFが普及した背景として、税効率の高さが謳われますが、この点に関しては日米のファンド税制が異なり、日本においてはETFの特性として挙げることはできません。
ETFと投資信託・株式との比較
ETFは「上場している投資信託」という点で、株式と投資信託という二つの金融商品の基本的な特性を併せ持った商品です。ETFと株式及び非上場の投資信託との違いを整理したものが下表となります。
<図表>ETFと株式及び非上場の投資信託の違い
次回は、ETFの仕組みについてご紹介します。
(提供元:野村アセットマネジメント)