最重要ポイントは「目的をしっかり定めること」

中長期的な積立投資で“失敗”しないためのヒケツはコレ!

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「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「NISA(少額投資非課税制度)」の登場によって、注目度を高めている投資手法が“中長期的な積立投資”。投資タイミングを分散させる積立投資を中長期的に続けることが重要だ。

しかし、毎月数万円の掛金を拠出することが負担となり、途中でやめてしまう人もいるのではないだろうか。そこで、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんに、中長期的な積立投資を継続するための心得を教えてもらった。

「投資の目的」「商品を選んだ理由」を明確に!

「中長期的な積立投資を失敗しないためにもっとも大切なことは、初期設定を行うこと。この初期設定とは、投資を行う目的を考え、軸を作ることです。掛金の額や投資する金融商品も大切ですが、それ以前に“何のために投資するか”が定まっていないと、『今月は家計が苦しいから、積立やめちゃおうかな』と思ってしまうのです」(山中さん・以下同)

積立投資を始める際に、下記の事柄を考えてみることが大事だと、山中さんは話す。

●ライフプランを立て、投資を行う目的を明確にする(子どもの教育費として500万円準備する、老後のために2000万円貯める…など)
●投資を行う金融商品・制度を選んだ理由を考える(5年間で教育資金を貯めたいから投資金額が多く商品の選択肢も多い「一般NISA」を使う、定年まで30年あるから「iDeCo」でゆっくり資産形成する…など)

「初期設定は大事なことなのですが、投資を始める段階でできている人はほとんどいません。既に積立投資をしている人も、改めて目的や理由を考えてみましょう。明確な目標が決まっていたり、商品や制度を比較検討したうえで選んだりしていると、自分の軸がブレにくくなるので、多少のことでは『積立やめちゃおう』とは思わなくなるはずです」

ちなみに、ライフプランや目標額、月々の掛金の額を決めるためには、家計の見直しが重要とのこと。現在の収入と支出、貯蓄額を把握できていれば、現実的な初期設定を行うことができるからだ。

「目的が定まり、商品や制度を決め、自動的に積み立てられるように申し込みをしたら、一旦投資していることを忘れて、掛金を捻出することに集中しましょう。投資していることを意識し過ぎると、運用成績が気になり、値下がりするとやめたくなってしまいます。そうならないためにも、ある程度放置することも大切です」

「始めたら途中でやめない」が積立投資成功のコツ

積立投資で結果を出すためには、続けることがもっとも大事だという。

「資産形成における一番のリスクは、途中でやめてしまうこと。私もFPとして、積立投資を行う人をたくさん見てきましたが、やめずに続ければ、いつか値が上がるタイミングが訪れる可能性が高いのです。2008年のリーマン・ショックの時、株価が大幅に下落し、不景気も長く続きましたが、回復するタイミングは訪れました。積立を継続した人は、大きく挽回するチャンスをつかめたといえます」

一方、リーマン・ショックを機に積立をやめてしまった人は、下落した分を取り返すチャンスがなく、損をしたままになってしまったそう。

「積立投資は、一度始めたら続けることが大事。一般的にパフォーマンスが良くないとされる銘柄でも、継続すると値が上がることがあります。途中でお金を引き上げてしまうと、それ以上の失敗はないものの、成功もしません。『iDeCo』を使っている方は、万が一掛金を捻出できなくなったとしても、最低拠出額の5000円は出し続けてほしいと思います」

「iDeCo」は60歳になるまで毎月掛金を拠出していく制度だが、掛金を拠出できなくなった場合は、資格喪失届を提出することで、拠出せずに運用だけを行う運用指図者になることができる。ただし、運用指図者になっても口座管理や運用にかかる手数料は発生する。手数料だけ引かれてしまうのはもったいないので、5000円だけでも積み立てて所得控除の恩恵を受けつつ、老後に役立てる方がいいだろう。

「1人だと挫折しやすいので、投資の話ができる仲間を作ったり、相談できるアドバイザー(IFAやFP)を見つけたりすると、継続しやすくなるでしょう。また、アドバイザーに積立投資の状況を定期的に見直してもらうことで、目標に近づけているか、商品の選択が間違っていないかといったことを判断してもらえるので、モチベーションアップにもつながると思います」

世界経済全体に投資する商品も

投資の目的や期間、掛金の額などによって、適した金融商品や銘柄は異なってくるが、投資初心者なら世界中に分散投資をするようなものがいいという。

「10年、20年と長い積立期間を確保できるのであれば、MSCIオール・カントリ―・ワールド・インデックスのように先進国も新興国も含んだ指数に連動する銘柄を選ぶと、世界経済全体と同等の成長が期待できるでしょう。投資に慣れてきたら、もうちょっと踏み込んで、ほかの銘柄にも目を向けてほしいですね」

積立投資のヒケツはもう1つある。「情報を仕入れること」だ。

「将来は誰にもわからないから不安ですが、行動しないことには成功もありません。途中でやめずに続けるためには、情報をインプットし、人の話も聞き、その都度、投資内容を修正していくしかありません。近年は投資が一般化しつつあり、経済に関する情報も見えやすくなってきているので、初心者でも情報を得やすいのではないでしょうか」

しっかりと目標を定めれば、挫折のリスクを抑えられる「積立投資」。将来の自分や家族のためにも、やみくもに投資するのではなく、目標を設定するところから始めてみよう。
(有竹亮介/verb)

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