【日経記事でマネートレーニング14】相場ニュースを読む~リート(REIT)の投資判断~

提供元:日本経済新聞社

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このコーナーでは日経電子版の記事を読むことで資産形成力のアップを目指します。実際のニュースやコラムを引用し、初心者には難しく思えるような用語をかみくだき、疑問点を解消していきます。金融・経済ニュースをどれだけ読みこなせるかは投資のリテラシーそのものです。日々の情報にリアルタイムで動ける実践力を養いましょう。

14回目は不動産投資信託=REITの2回目を取り上げます。前回はREITの概観、全体像を紹介しましたが、今回は実際の投資にあたってどのような知識が必要になるかを、日経記事をサンプルに学んでいきましょう。

投資口価格、NAV倍率~恐るるに足らず

REITはひとことで説明すると、不動産の価値をばらして流通性を高めた「証券」です。特殊な工夫を凝らして作られた商品なのでそれなりに専門的なことばが多くでてきます。初心者は面食らうこともあるかと思いますが、株式投資や投資信託と似た考え方をするので投資経験がある場合、用語理解だけならさほど難しくはありません。

サンプル記事をみてみましょう。

株式に読み替えると投資口価格は株価、分配金は配当に当たります。REITならではのアプローチとして、買いか否かを判断する際には(1)利回り比較、(2)保有資産価格比較、を多用します。利回り比較とは予想分配金利回りを債券などと比べるわけです。企業の場合は業績が数年間で3倍や5倍になることもありますが、REITはそのような急成長が見込めません。その代わり、安定した賃料を得られます。逆にいうと利回りで妙味がないなら投資価値が一気に薄れます。機関投資家は国債など債券との利回り差をものさしに使うようですが、個人投資家は高配当銘柄の配当利回りと比べてみるとよいでしょう。

次にNAV倍率という聞きなれないことばが登場します。これは株式における株価純資産倍率(PBR)のようなものです。ただし、REITの世界ではPBRよりずっと重みがあります。REITの価値は保有する不動産の価値そのものといえます。不動産の時価は期待される賃料(収益性)を基準に算定するのが主流です。つまり、REITの価格と保有不動産の価値は強い相関関係があり、NAV倍率が過去の平均より高くなっているか低くなっているかは投資判断の重要な目安になります。

賃料と景気、相関性に注意~インフラ系やヘルスケア系は薄い

その賃料収入、つまり収益性ですが、REITを1つの資産ととらえてはいけません。なぜなら、保有する不動産によって景気変動による影響がかなり異なるからです。

コロナ禍で外国人の観光需要が蒸発したのは記憶に新しいと思いますが、ホテル系やレジャー系は景気に敏感に反応します。収入が減ると不動産価値が減ってNAV倍率が上昇、割高と判断されて投資口価格が下落するという流れになります。オフィスや商業施設も景気に遅行しますが比較的敏感に空室率や賃料が変動します。マンションなどの住居は比較的安定していますが、2,3年ごとに家賃更新は起こりますので人口の動きがリスク要因になります。物流などインフラ系、あるいは病院や高齢者施設などヘルスケア領域は需要が安定しています。

投資口価格=REITの投資単位で1口の価格。株価と同じ

分配金利回り=分配金÷投資口価格。株式の配当利回りに当たる。今後の予定分配金を開示しているREITもあり、1年分の分配金を合算して現時点の投資口価格で割ると予想分配金利回りが出る

③物流系=貨物や物品の保管、仕分け、搬出入などを目的とした施設や倉庫を主な投資先に持つREIT

④NAV倍率=NAVは純資産(Net Asset Value)の略で保有不動産を売却し借金などを返済した残額。NAVを発行口数で割ると1口あたりNAVで、投資口価格÷1口あたりNAV=NAV倍率。株式の株価純資産倍率(PBR)に当たる

オフィス系=企業や事務所などが入居する一般的なビル。現在のREITの主流を占める

⑥ホテル系=宿泊・リゾート施設を持つREIT。観光・レジャー施設を含めることもある

⑦総合型=ビルやマンション、商業施設、物流など複数のジャンルを抱えるREIT

では、いつものようにあえてかみくだいて直した記事をみましょう。

日本経済新聞などでは紙幅に都合もあり、REIT全体の動きを解説するケースが多いですが、実際の投資ではジャンルや保有不動産などを吟味する作業が大切になります。たとえばホテル系のREITを買うなら、観光・旅行関連の株式を買うのとあまりリスク・リターンは変わらないかもしれません。しかし、病院や介護施設が株式上場しているケースは少ないので株式とあわせてヘルスケア系のREITを探してみるのは分散投資の視点で有効です。単に利回りが高い低いという平面的な視点だけで投資判断するのは避けるようにしましょう。

(日本経済新聞社 コンテンツプロデューサー 田中彰一)

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