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ドコモの初期メンバーのもと、投資家に愛されたアプリが復活【マイトレード後編】

シェア機能はますます便利に。投資管理アプリ「マイトレード」復活とこれから

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2020年1月に惜しまれつつサービスを終了した、個人投資家向けの資産管理アプリ「マイトレード」。このサービスがまもなく復活する。旧作で好評だった資産推移をグラフ化する機能はそのままに、さらにパワーアップするという。

前編の記事で述べたように、今回のマイトレードは、旧作に続きドコモ イノベーション統括部の4名が企画・開発を行っている。ということで、本記事ではチームメンバーの話をもとに、“新”マイトレードの進化部分を詳しく見ていきたい。

登録から2年前までの資産推移を自動逆算でグラフ化

マイトレードでは、保有資産の推移をグラフで確認できる。それは旧作と同じだが、今回進化しているのは、アプリに証券口座を登録した日から2年前までの資産推移を自動逆算で表示する点だ。集計ロジックの開発者であり、プロジェクトリーダーであるドコモの河野紘一郎氏が説明する。

※写真は取材当時のアプリ画面です。

「旧マイトレードでは、直近200件の取引履歴をもとに過去資産を逆算していましたが、ロジックをゼロから見直し、過去2年間のデータからの逆算が可能になりました。取引回数が数万件に及ぶトレーダーの方も、細かく推移を振り返れます。また、2020年の推移など、期間を限定して見ることも可能です」(河野氏)
旧作では、それぞれの画面をSNSでシェアするユーザーも多かったが、今回はその機能も強化されている。たとえば、ユーザーが利益を上げた銘柄ランキングを表示する機能があり、画面上のシェアボタンをタップするとSNSに投稿できる。こちらも期間を限定したランキングや、決済前の含み益を入れたランキング、あるいは決済した銘柄のみの確定損益ランキングなどを表示できる。

アプリデザインを担当する鶴岡秀樹氏は、このランキング機能について「ユーザーが隠したい銘柄名は非公開にできます」と話す。ユーザーの声を分析すると、ランキングを公開したい人は多い反面、特定の銘柄、たとえばマイナスになっている銘柄名は隠したいなどの要望も多かった。その声を機能化したという。

自分の資産がどんな銘柄に配分されているか、ポートフォリオを円グラフで確認する機能もある。こちらもシェアボタンを付加し、ワンタップでSNSに投稿できるようになった。

現在はベータ版のため基盤部分の強化が主だが、今後はさまざまな分析機能を搭載していくとのことだ。

親しみやすいデザインのために、アプリのガイドラインを重視


新マイトレードは、現在運用中のベータ版におけるユーザーの声をもとに、約1週間の頻度でアップデートを重ねている。「4人で内製しているため、UI /UXや仕様の変更を素早く行えます」(河野氏)。

なお、デザインを担当する鶴岡氏は、今回のマイトレードについて「旧作から応援してくださっているファンの方々がいらっしゃるので、旧作の良い面は残しつつ、より広いユーザーが使えるよう親しみやすいデザインを意識した」という。一例として、鶴岡氏はアプリOSのガイドライン遵守をあげる。

アプリ開発において、スマホのOSを提供するApple(iOS)やGoogle(Android OS)では、アプリで目指すべきデザインや操作性といった作成ガイドラインを設けている。「画面上のタブは何個以内が望ましい」などがその例だ。絶対守らなければならないものではないが、膨大なアプリやユーザーの反応を分析して提示しているのだ。

「国内の証券アプリを見ると、各OSのガイドラインから離れている例も少なくありません。情報量が多く、内容が複雑という証券分野の事情もあると思います。ですが、マイトレードでは可能な限りガイドラインに則るよう意識しています。これも、より広く多くの方に使い続けていただきたいからです」(鶴岡氏)

一方、個人の資産情報を扱うため、堅牢なセキュリティの構築も重要になる。この領域を担当する河面知定氏は「マイトレードを運用する上で、安全なセキュリティの構築が大前提」と話す。その中で、ドコモが長年培ってきたセキュリティのノウハウが生きているという。

「ドコモでは、全サービスに共通するセキュリティルールを設けています。高度な基準となっており、クリアできなければサービス化されません。こういった全社的なセキュリティ体制は、お客さまの個人情報を長年扱ってきたドコモならではだと思います」

さらに今回は、Google Cloudを活用することで、リモートワークに対応したセキュアな運営も実現しているという。

この3人に加え、証券会社から転職してきた佐々木岳氏は、社内調整やカスタマーサービスなどを担当している。「3人が開発に集中できるように、開発と関連性の低い業務は私が巻き取るようにしています。また、お客さまからのお問い合わせは専門的な内容が多いので、私が管轄しています」(佐々木氏)。4名という少数のチームでありながら、デザインからセキュリティ、そして証券の専門領域まで、全員でカバーしている。

復活したマイトレードは、現在ベータ版として提供中。iOS13.0以降とAndroid6.0以降に対応している。対応する口座は、現在、楽天証券とSBI証券の口座取引のみだが、今後増やしていくという。

投資家たちが自分の売買を振り返り、SNSでシェアできるマイトレード。新しい投資文化を生んだこのアプリは、ここから第2章がスタートする。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2021年5月現在の情報です

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