「受給開始時期」&「加入可能年齢」が拡大!

2022年確定拠出年金制度“改正”の話 ~年齢引き上げ編~

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目にする機会が増えたという人も多いであろう「iDeCo」や「企業型DC」。どちらも「確定拠出年金」という制度で、老後資金を準備するために非課税で資産運用できるものだ。

「iDeCo」「企業型DC」ともに、2022年の制度改正によって、活用できる人が増える可能性があるという。そこで、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、2022年の確定拠出年金制度の改正内容と加入者にとってのメリットを聞いた。

“非課税”で“60歳まで”運用できる制度

「そもそも『確定拠出年金』とは、毎月一定額の掛金を拠出し、自ら運用を行って金額を増やしていくという制度です。原則として、拠出したお金は60歳まで引き出せませんが、非課税で運用できるという大きなメリットがあります」(氏家さん・以下同)

確定拠出年金には、「iDeCo」と「企業型DC」がある。

●iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で掛金の額を決め、拠出する制度。掛金全額が所得控除の対象となるため、年末調整や確定申告によって税金の還付が受けられる。

●企業型DC(企業型確定拠出年金)
会社員や公務員などの給与所得者が対象で、会社が決まったルールに基づき、従業員に代わって掛金を拠出する制度。会社が掛金を負担するため、所得控除の対象にはならない。ただし、会社の掛金に上乗せして自分で掛金を拠出できる制度(マッチング拠出)が導入されている場合、上乗せした掛金については全額が所得控除の対象となる。

「iDeCo」でも「企業型DC」でも、拠出したお金をどのように運用していくかは自分次第。「企業型DC」も、勝手に会社が運用してくれるわけではない。定期預金で貯めるだけでいいのか、投資信託で利益を期待するのか、その判断は自分で行うことになる。

氏家さんも話していたように、「確定拠出年金」の最大のメリットは、非課税で運用できることだ。一般的な投資で運用益に対して課される20.315%の税金が非課税になるだけでなく、60歳以降にお金を引き出す際にも「退職所得控除」や「公的年金等控除」の枠に収まる分は非課税となる。また、拠出した掛金の全額が所得控除の対象になるため、所得税・住民税が減るという節税メリットもある。

60歳以降に引き出せる制度のため、現在は60歳未満でないと加入できないが、2022年の改正で利用できる年齢の幅が広がるという。

加入可能年齢の上限が「5年」拡大

「2022年5月からは、加入可能年齢が引き上げられます。現在65歳未満まで加入できる『企業型DC』は70歳未満まで、現在60歳未満の公的年金の被保険者が加入できる『iDeCo』は65歳未満の公的年金の被保険者でも加入できるようになるのです」

加入可能年齢の改正によるメリットが大きいのは、現在50代の人だという。

「いままで50代で加入すると60歳までしか拠出できなかったので中長期の投資ができず、あまり意味がないとされてきました。しかし、今回の改正で65歳まで拠出できるようになるので、50代前半であれば10年以上拠出しながら運用できるようになるのです。定年後も再雇用や転職で働き続ける予定の人にとっては、特にメリットのある改正といえます」

また、「確定拠出年金」は拠出開始から10年が経過しないと受給できない制度であるため、これまでは50代前半で加入すると60歳での拠出終了後、しばらく受給できない期間が生じてしまった。しかし、加入可能年齢が65歳まで引き上げられれば、現在50代前半の人も拠出終了後すぐに受給できるようになるというメリットもある。

給与所得者にとってはメリットの大きな改正だが、自営業者は注意が必要だという。

「『iDeCo』に関しては、65歳未満の“公的年金の被保険者”でないと、60歳以降の拠出はできません。国民年金の加入期間は最長40年なので、20歳から60歳まできちんと国民年金保険料を払ってきた自営業の人は60歳以降“公的年金の被保険者”にはなれません。つまり、60歳以降は拠出できないということです。50代の自営業の人は『10年以上拠出できる』とは言い切れないので、注意しましょう」

受給開始時期の上限も「75歳」に延長

「これまで『iDeCo』『企業型DC』ともに、受給開始時期は60歳以降70歳になるまでの間で選ぶことができましたが、2022年4月からは『60歳以降75歳になるまで』に拡大されます」

受給開始時期の改正は、老後の働き方が変化してきていることに由来するものとのこと。

「2021年4月、高年齢者雇用安定法が改正法が施行され、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になりました。本人が希望すればより長く働ける社会になったため、70歳で退職金を受け取る人が出てくることを想定して、受給開始時期を75歳まで引き上げたのだと考えられます」

また、今回の受給開始時期の改正と同じ2022年4月には、公的年金の受給開始時期の上限も75歳に引き上げられる。同じタイミングで公的年金と確定拠出年金を受け取り始められるようにしているともいえる。

「『確定拠出年金』は受給開始時期の幅があるので、60歳時点で相場が悪かったらその時点では受け取らず、相場が回復したタイミングで受け取るといった調整も可能です。受給開始時期が延長されれば、受け取りのタイミングがより測りやすくなるといえます。その反面、受け取るまでは口座管理手数料などがかかります。手数料は年間で数百円から数千円程度なので、拠出したお金の複利運用で賄える場合もありますが、受け取るまで発生することは覚えておいた方がいいでしょう」

老後の働き方の変化に合わせて、加入時期や受給開始時期の年齢が引き上げられる「確定拠出年金」。改正のタイミングで、自分にとってメリットがありそうか確認したうえで、まだ制度を活用していない人は検討してみてはいかがだろうか。
(有竹亮介/verb)

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