虎の子の退職金、どう増やす?

退職金の運用、3つの不正解と2つの正解

提供元:Mocha(モカ)

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老後生活の支えとなる退職金。「退職金で資産運用を始めると失敗する」という話はよく聞きます。しかし老後2000万円問題とも言われるように、少子高齢化の影響で老後の資金不足は深刻な問題となっています。このような背景から、「退職金を資産運用で増やしたい」と考える方は多いのではないでしょうか。

今回は退職金を資産運用で増やす方法としての「不正解」に触れたうえで、安定的に増やせる「正解」をご紹介します。大切な退職金を少しでも増やせるよう、今のうちからチェックしておきましょう。

退職金を大きく減らす運用はNG!

退職金は受け取ってから使うまでの期間が比較的短いことが特徴です。そのため、資金を目減りさせる可能性が高い運用方法はできるだけ避けたいものです。退職金の運用で注意したい代表的なケースをチェックしていきましょう。

退職金運用の不正解1:ハイリスク商品で運用する

老後のために少しでも退職金を増やしたいという思いから、FXや暗号資産のようなハイリスク商品で運用するのはおすすめできません。短期的に高い収益を得られる可能性がある反面、大きな損失が出るリスクも高くなるためです。

退職金が老後生活の基盤となるご家庭も多いでしょう。大きな利益を狙って資産が目減りしてしまっては、ゆとりある老後生活は期待できません。一定の利益は見込みつつも、ある程度リスクが抑えられる商品で運用することをおすすめします。

退職金運用の不正解2:金融機関の「退職金運用プラン」に注意

銀行などの金融機関には、定期預金と投資信託がセットとなった「退職金運用プラン」というものがあります。定期預金金利は年利3~5%以上といった高い金利で一見お得に見えますが、期間は3ヵ月程度と短く設定されています。それ以降は通常の定期預金金利に戻るため、長く預けておくのには向いていません。

また定期預金といっしょに購入が必要な投資信託は、販売手数料や信託報酬が高めのものが一般的。金融機関はこれらの手数料等で利益を得るために高い定期預金金利を提供して集客しているのです。そのため金融機関の担当者が勧める商品が、必ずしもよい商品というわけではありません。

投資信託で運用するのであれば、自分で情報収集して、販売手数料や信託報酬が安い商品を選ぶのがよいでしょう。市場全体の動きを表す代表的な指数に連動することを目指す「インデックスファンド」であれば販売手数料がかからない商品も多く、運用期間中にかかる信託報酬も安めです。

退職金運用の不正解3:退職金を一つの商品にまとめて投資する

退職金のすべてを一つの商品に投資するのはおすすめできません。たとえば株式や不動産など特定の投資先に退職金をつぎ込んでしまうと、大きな損害を受けてしまうリスクがあります。

退職金を運用する際は、複数の商品への「分散投資」を行いましょう。分散投資することによって、値動きリスクを抑えることができます。

複数の投資先を選ぶのが難しいと感じる場合は、投資信託での運用がおすすめです。投資信託は分散投資の考え方から生まれた金融商品。投資家から集めたお金を、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが複数の金融商品に投資して運用してくれます。そのため、1つの商品で複数の投資先に分散投資する効果が得られるのです。

退職金運用の正解は「リスクやコストを抑えること」

退職金を安定的に運用するためには、リスクやコストを抑えることが何より大切です。投資初心者でも始めやすい方法なので、ぜひ参考にしてみてください。

退職金運用の正解1:投資信託や株式の積立運用でリスクを軽減

退職金を運用で増やすためには、長期間コツコツ積み立てて運用するのが有効です。金融商品は常に値動きするため一定のリスクがありますが、長期的に一定の頻度で決まった金額を積み立てることで値動きリスクを軽減することができます。

この投資方法を「ドル・コスト平均法」と言います。価格が低いときは多く購入し、価格が高いときは少なく購入することで、長期的な平均購入単価を抑えられる効果が期待できます。

また退職金を長期間運用するコツとしては、運用しながら必要な金額だけを取り崩す方法がおすすめです。老後にまとまった金額を引き出して預金口座に置いておくより、退職金を長持ちさせることができます。

退職金運用の正解2:つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度を活用する

投資信託で退職金を運用するのであれば、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度を活用しましょう。通常金融商品の運用益には20%の税金がかかりますが、これらの制度を利用することで運用益が非課税になります。

つみたてNISAは少額からの「長期・積立・分散投資」を目的とした非課税制度です。年間40万円までの投資金額の運用益が非課税になります。対象商品は長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定されており、販売手数料はゼロ、信託報酬も安いので投資初心者にも安心です。資金はいつでも引き出せるため、柔軟に使うことができます。

早期退職などで60歳より前に退職金をもらう方もいるかもしれません。そのような場合はiDeCoでの運用も検討してみましょう。iDeCoは毎月一定額を積み立てて、自分で選んだ金融商品で運用する私的年金制度です。つみたてNISAと同様、運用益は非課税。さらにその年の掛金が全額所得控除の対象となるため、早期退職後も一定の所得があれば所得税・住民税の節税効果が期待できます。

対象商品は大きく分けて投資信託と元本確保型商品の2種類がありますが、資産運用するなら投資信託一択でしょう。iDeCoは原則60歳から受け取ることができますが、加入期間が最低10年未満であれば受給可能年齢は加入期間に応じて61歳から65歳まで引き上げられます。

なお、2022年5月からはiDeCoの加入可能年齢が「65歳になるまで」に5年間拡大します。5年間長くiDeCoが利用できれば、運用益非課税のメリットや所得控除の効果もより大きく受けられます。

まとめ

「増やす」より「減らさない」という考え方が浸透している退職金。それでも、ゆとりある老後生活を送るために「資産運用で退職金を増やしたい」という考えは今の時代のスタンダードとなりつつあります。

「資産運用は初めてだけど退職金を増やしたい」という方は、つい「不正解」の資産運用をしがちです。しかし、それではお金を大きく減らすことになりかねません。今回ご紹介した「正解」を参考にリスク・コストを抑えつつ、コツコツとお金を増やしていきましょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー  鈴木靖子]

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