新しい金融のカタチ 徹底解説!ロボアド比較

投資の知識がない人の心強い味方に

ロボと人を融合した「ザ・ハイブリッド」が、資産運用のワンオペ問題を解決する

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投資に興味はあるが、知識や自信がなくチャレンジできないーー。こういった人は多いだろう。そこで近年は、ロボットが自動で投資を行う「ロボアドバイザー(ロボアド)」も増えている。

とはいえ、自分の大切なお金をすべてロボットに預けるのは不安な人もいるはず。かといって金融資産額が一定以上の方を対象とした「プライベートバンク」のようなサービスは敷居が高い……。

そんなジレンマに対し、ロボアドと人を融合した新しいサービスが出ている。フィデリティ証券の「ザ・ハイブリッド」だ。

フィデリティ証券は、世界各国で事業を展開する資産運用グループ、フィデリティ・インターナショナルの一員。同社は日本人の資産運用に関する調査を行った際にある課題を見つけ、このサービスの開発に至ったという。その課題とは、日本人が抱える「資産運用のワンオペ問題」だ。

いったいどんなものなのか。そして、その解決策として生まれたザ・ハイブリッドとは。フィデリティ証券 執行役員 個人金融サービス本部長の久保田誉氏と、ビジネス開発部長の野水瑛介氏に話を聞いた。

相談相手がいないから、投資人口は増えても投資額は伸び悩む

まずはザ・ハイブリッド誕生のきっかけとなった「資産運用のワンオペ問題」について取り上げたい。フィデリティの調査によると、この数年で日本の投資人口は右肩上がりに増えたという。投資家比率(投資をしている人の比率)を見ると、2015年の30.4%から2020年には40.5%まで上昇した。

画像提供フィデリティ証券

それでも「貯蓄から投資へ」という流れはまだ進んでいないと久保田氏は考える。というのも、日本の家計の金融資産は依然として54.3%を現金・預金が占めており、アメリカの13.3%、ヨーロッパの34.3%に比べると投資に割いている割合は低い(※1)。またアメリカやイギリスでは、ここ20年で家計金融資産が2倍以上に増えたのに対し、預貯金中心の日本の個人資産の伸びは約1.4 倍にとどまる(※2)という。

※1:「資金循環の日米欧比較」日本銀行調査統計局(2021年8月20日)https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
※2:金融審議会市場WG 事務局資料(2019年4月12日)

これらの結果から見えるのは、資産運用を始める人は増えたものの、運用額はそれと比べて伸びが乏しいこと。その背景として、久保田氏は「多くの人が投資への知識不足を感じ、自信が持てず不安を抱えながら運用しているため、運用額を増やせないのではないか」と分析する。

「私たちの調査によると、資産運用に取り組む人の約8割は『自信がない』と答え、また57%が知識不足を感じています。加えて『信頼できる相談相手がいない』と答える人も約8割に。知識不足と相談相手がいないというダブルパンチによって、日本人は積極的な運用が行えず、運用額が増えないのです。私たちはこれを『資産運用のワンオペ問題』と考えています」(久保田氏)

同社の調査によると、資産運用について適切に教えてくれるアドバイザーがいたら積極的に運用したいという人は7割近くに上っている。これらの結果から、投資初心者をサポートするアドバイザーがいればワンオペ問題は解消されるのではないかと考えた。そこで作られたのが、ザ・ハイブリッドだ。

画像提供フィデリティ証券

「ファンドラップをはじめ、投資のプロが資産運用を行ったりアドバイスしたりするサービスはありますが、今回、ロボアドと人を融合することで、手数料を抑えつつ、より手軽にプロのアドバイスを受けられる仕組みを作りました」(久保田氏)

フィデリティ証券の調査によると、ロボアドは手間がかからないものの、万が一のときに「ロボアドだけでは不安」という人が約7割に上ったという。ザ・ハイブリッドは、ロボアドとファンドラップの中間に位置するサービス。「ロボアドだけでは不安、ファンドラップでは不満という問題を解消しようと生まれました」と久保田氏は話す。

画像提供フィデリティ証券

運用だけでなく、お金全般の悩みをアドバイザーに相談できる

こうして生まれたザ・ハイブリッドは、2つのコースからユーザーが選択できる。1つはロボアドに加えて経験豊富なアドバイザーがつく「アドバイス担当者付コース」。もう1つは、ロボアドのみの「ネット完結コース」だ。

画像提供フィデリティ証券

今回のサービスで特徴的なのは、ロボアドと人が融合した「アドバイス担当者付コース」。その概要を野水氏が説明する。

「運用を始める前に、まずは担当者と資産形成のプランニングや将来必要な資産の目安を話し合います。そのプランに基づき、資産運用のゴールを設定。実際の運用はロボアドが行っていきます」

なお、運用中は3ヶ月に1度、アドバイス担当者と面談を行いフォローアップする。野水氏は「いざというときに専門家へ相談できるのは安心につながるのではないでしょうか」と説明する。

画像提供フィデリティ証券

一方、専任の担当者がつくことで、手数料が高くなることはないのだろうか。アドバイス担当者付コースを選んだ場合、手数料は純資産総額の年率1.51〜1.55%ほど(9月30日時点。税込み)。これ以外に別途の信託報酬はない。資産運用のポートフォリオ次第で年率は左右するが、ファンドラップなどに比べると低く抑えられている傾向にある。また、300万円から運用可能であり、一般的なファンドラップよりハードルは低い。

なおアドバイス担当者付きコースでは、フィデリティ証券がユーザー自身からアドバイスフィーを受け取る「投資助言業者」となる。IFA(金融商品仲介業者)などのように、投資商品を提供する金融機関からフィーをもらう契約とは異なる。「この形であれば、金融機関が売りたい商品やノルマなどに影響されず、本当にお客さまに必要なものを提案しやすい」と野水氏。この座組みも大きな特徴だという。

もうひとつの「ネット完結コース」は、手数料が年率0.96~1.00%程度(上記と同様)。こちらも別途信託報酬がかかることはない。最低金額は1万円からで、アドバイス担当者がつかない純粋なロボアドのため、より低コストで少額から運用できる。

ロボットと人の融合というアイデアから生まれたザ・ハイブリッド。投資の知識がなく、相談者もいない。そんな「資産運用のワンオペ問題」を解決するために、このサービスが投資家の心強い味方になっていく。

(取材・文/有井太郎)

※記事の内容は2021年11月現在の情報です

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