投資信託のトレンドが分かる!
2021年10月 投資信託の資金フロー
提供元:三菱アセット・ブレインズ
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投資信託は個人の資産形成における中心的な金融商品として多くの人が利用している。投資信託の資金流出入などの動向は、資産形成を考えるうえで重要な情報だろう。
そこで、毎年1000ファンド以上の投資信託を評価・分析する三菱アセット・ブレインズより、以下で2021年10月における投信市場の動向(注)についてご紹介する。
(注)ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信等を除いた公募投信
1.投信市場における資金の流出入動向
「外国株式への流入が鈍化」
10月の資金流出入動向は11ヵ月連続の流入超となった。流入額は約4,740億円と前月(約5,220億円)から約480億円減少した。
資金流入では、外国株式への流入額が約3,950億円と前月(約6,680億円)から減少した。外国株式は他資産と比較し、年始から特に好調な流入額が継続しているが、当月は2020年11月以来の4,000億円割れとなった。一方、国内株式はインデックス型、アクティブ型(小型株以外)がともに流入に転じ、当月は約1,280億円の資金流入超となった。
資金流出では、外国債券、エマージング株式、エマージング債券、ハイイールド債券および不動産投信の5カテゴリーが継続して流出超となった。
個別ファンドでは、「アライアンスB・米国成長株投信D」(アライアンス)(約945億円)が資金流入で4ヵ月連続の1位となった。2位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」(三菱UFJ国際)(約468億円)、3位は「ベイリー・ギフォード世界成長企業戦略/SMT.LNファンド」(三菱UFJ国際)(約313億円)と続いた。
主要資産の資金流出入動向(過去3ヵ月と直近月)
2.投信市場のパフォーマンス動向
「国内株式カテゴリーが2ヵ月連続首位」
10月の金融市場は、先進国を中心にリスク選好地合いが高まった。原油価格の上昇を受けたコストプッシュのインフレにより景気減速が懸念される中でも、欧米主要企業の好調な四半期決算が好感された。
株式市場はまちまちとなった。欧米では、過度なインフレ懸念の高まりから月初は一時的に下落したが、中旬以降に発表された7月-9月期の企業決算の内容が好調であったことから、それぞれの主要株価指数は上昇した。一方、国内株式は好調な欧米企業決算を背景に上昇する場面もあったが、衆議院選を控え様子見ムードが強まったことで月末にかけて下落基調となり、月間ではマイナスとなった。
債券市場は世界的に下落(金利は上昇)した。原油や天然ガスなどのエネルギー価格の上昇を背景に期待インフレ率が上昇したことや、欧米で金融政策の正常化が進展するとの思惑などから、世界的に金利は上昇した。
為替市場は、米ドル・円、ユーロ・円ともに円安となった。 原油価格の上昇を背景としたインフレが長期化するとの懸念から、FRBによる利上げが前倒しされるとの観測が高まったことで米長期金利は上昇し、米ドル高・円安が大きく進行した。また、 ユーロ圏においても期待インフレ率がECBの物価目標を超過しており、ECBが金融政策正常化を進展させるとの観測からユーロ加盟国の長期金利が上昇し、ユーロ・円も円安となった。
これらを背景に、当月のリターンは、外国株式、外国債券、エマージング株式、エマージング債券、ハイイールド債券および不動産投信の6カテゴリーがプラスとなった。前月は軟調なリターンとなっていた外国株式は、欧米主要企業の7-9月期の企業決算が良好であったことを背景に、とりわけ好調なリターンとなった。また、不動産投信では米国、欧州を中心に先進国リートが堅調に推移した。一方、国内株式および国内債券はマイナスとなった。
パフォーマンス上位5資産のランキングと実績
3.新規設定ファンドの動向
「設定額、設定本数ともに増加」
当月の新規設定本数は26本、設定額は約550億円となった。設定額、設定本数ともに前月を上回った。
当月の新規設定ファンドで最も資金を集めたのは、「グローバル・ハイクオリティ成長株式F(予想分配金提示型・ヘッジなし)」(AM-One)の約200億円。合計で純資産残高1兆円を超えるシリーズファンドと同一運用であり、分配方針のみが異なる。当ファンドは基準価額に応じてあらかじめ決められた分配金を払い出す「予想分配金提示型」となっている。
新規設定金額、設定本数の推移
最後に、10月の資金流入上位15ファンドを掲載しておく。
資金流入上位15ファンド一覧
(三菱アセット・ブレインズ)