アメリカでは6万人以上が登録

「対価をもらうからこそ、顧客の立場でアドバイスができる」。RIA(投資助言業)のメリットとIFAとの違いとは

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資産運用についてプロに相談したいとき、日本にはいくつかの選択肢がある。証券会社の営業員もいれば、最近はIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)と呼ばれる存在も増えている。IFAの詳細については、以前の記事で紹介した。

これ以外に「RIA」と呼ばれる人もいる。アメリカの職業名称「Registered Investment Adviser」の略で、直訳すると「登録された投資のアドバイザー」。日本では「投資助言業」などがこれにあたる。

国内ではまだあまり知られていないが、海外ではすでに拡大しており、アメリカではRIAの人数が6万人を超えているという。

なぜ海外ではRIAが普及しているのか。「本当の意味で顧客の立場に立ったアドバイスをするのに、ふさわしいと考えられているからです」。こう話すのは、独立系投資助言業を行うRIA JAPAN おカネ学の安東隆司代表取締役。一体どういうことなのか。RIAとして日本で活動する安東氏に聞いた。

顧客の資産が増えるほどRIAの報酬も上がる「フィーベース型」

RIAは、投資の助言を行いその対価を得るアドバイザー業務だ。顧客の投資に関わる、という面では、証券会社の営業員やIFAと変わらない。しかし、その対価を誰から受け取るか、つまりはフィーの出どころに大きな違いがある。

「証券会社の営業員やIFAは、相談した顧客から対価をいただくことはありません。提携している証券会社などから対価を受け取ります。一方、RIAは顧客(相談者)から対価を受け取るのが一般的です」

RIAを理解する上で重要なのが「フィーベース型」といわれる報酬の概念だ。これは「契約額×報酬率(%)」を報酬として受け取る形。仮に資産1億円(=契約額)、報酬率年率1%で契約したとして、RIAの助言によって資産が1億400万円に増えれば、RIAの報酬は当初の100万円から104万円に上がる。顧客の資産が増えれば増えるほど、RIAの報酬もアップする形になる。

「資産増加によって、顧客とRIAがWIN-WINの関係になるため、同じ方向を向いてアドバイスすることができます。IFAのように証券会社から対価を受け取る場合、すべてとは言いませんが、販売者サイドのビジネス、コミッション(販売手数料)型ビジネスになる可能性も否定できません。つまり、証券会社にとって高い収益が見込める商品を勧めたり、取引の回数を増やすことで手数料を積み上げようとしたりするケースも考えられるのです」

近年、世界中でヒットしている金融商品がETFだ。プロの投資家である機関投資家も利用しており、資産運用残高が世界中で拡大している。ETFの魅力のひとつは低コストであること。一般の投資信託(公募投信)よりも保有コストである信託報酬が低い傾向にある。しかしそれは販売者側のメリットが少ないともいえる。

一方で、フィーベース型のRIAは保有コストが低ければ低いほど自身のビジネスモデル上都合がよく「投資家にとって本当に有利な商品を勧められる立場だといえます」と安東氏はいう。

なお、RIAのすべてがフィーベース型とは限らない。成功報酬型などを用いる場合もあるという。また、IFAの中にも顧客本位のアドバイスをしている事業者はいる。大切なのは、IFAやRIAの構造や立場の違いを把握しておくことだろう。

世界の多くの国で、資産運用の伴走者が「販売側」ではなくなっている

安東氏によれば、アメリカではRIAの普及が進んでおり、6万6000人を超えるという。これは、日本のIFAにあたるアメリカのIC(Independent Contractor、RIA登録なし)の人数(6万1600人)よりも多い(※1)。

※1「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」金融庁(2019年7月)。RIA登録者合計数はRIA JAPAN算出

また、イギリスなどでもアドバイザーのコミッション収入受け取りが制限されるなど、世界的にコミッション型からフィーベース型へのシフトが進んでいるという。この流れの背景には、やはり先ほど挙げた「顧客本位の立場」に対するニーズがあるようだ。

「一方、日本のRIA登録は974事業者、証券との重複などを除くと408事業者しかいない状況です(※2)。RIAのサービスは、まだほとんど認知されていません。利用者も少なく、フィーベース型のメリットや顧客本位の立場であることが理解されていない現状です」

※2:金融庁公表データ2021年5月より。重複除くデータはRIA JAPAN調べ

なお、RIAだからといってすべてが顧客本位ということでもない。安東氏はこんな事例を紹介する。

「過去には投資助言業でありながら、自社関連の海外ファンドへ投資誘因し、1000億円以上の資金を消失させた事業者も存在しました。現在でも、誇大広告やグレーな事業を行う事業者もあると思います。相談する際は見極めが必要です」

RIAが行うのは、基本的に助言のみだ。顧客から資産を預かる、運用の作業を代わりに行うということはない。安東氏のRIA JAPANでの流れを例に挙げると、まず顧客の資産状況や現在の投資状況を確認。ここで先述した報酬のもととなる「契約額」が決まる。

その後、売買する銘柄や期間、売買する際の指値などを随時顧客に助言していく。その助言から判断して実際に取引を行うのは、一般的には顧客だ。

運用結果については、顧客の契約する証券会社の保有残高一覧表や資産残高の明細から定期的に確認。資産の増減に合わせて報酬が増減する。あくまで一例だが、このような流れとなる。

今後、RIAは日本で普及するのだろうか。安東氏は「世界の多くの国で、資産運用の伴走者が“販売側”ではないアドバイザーに変化している」という。その中で、日本でも顧客本位のビジネスを提供できる選択肢として、RIAが認知されていくことを望む。

「そのほか地方金融機関が生き残るために、RIAとの提携が選択肢になればと思います。現在、地銀とIFAの提携が増えています。IFAに対してRIAは認知が低く、まだ提携先の候補になっていないと思いますが、欧米の動きを見ると、今後、RIAとの提携もあり得るのではないかと思っています」

ここ最近、地方銀行がIFAと提携し、顧客への投資相談や投資仲介を行うビジネスに力を入れる動きが加速している。その流れにRIAが加わり、地銀との提携が生まれてくるだろうか。

日本ではまだ黎明期にあるRIA。実際に相談するかどうかは別にしても、顧客から対価を得るというビジネスモデルの価値、そしてIFAとの違いを理解しておくことは、プロに相談したいと考える投資家にとって、きっと役に立つだろう。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2021年12月現在の情報です

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