東証市場再編

【新市場ストーリー】第6話 さらなる高みへ ~東証市場再編、目的は?(その2)~

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2021年12月23日に掲載した記事の再掲載です。

第5話はこちら

登場人物

あらたくん
・市場 新(いちば あらた) 22歳男性
・東証一部上場企業・兜商事に勤めはじめた新入社員
・東証二部上場企業・日本橋造船で技術職として勤める父、マザーズ上場企業・フューチャーバイオで研究職として勤める兄がいる
・父の勧めで東証一部の会社に入社したが、「東証一部」がなくなると聞き、焦っている
・カブノさんは職場の先輩

カブノさん
・株野 未来(かぶの みらい) 30歳女性
・前職は証券会社だったため、市場区分見直しについて関心はあるが、詳しくは知らない
・証券会社勤務時代のつながりで、東証にタスクさんという知り合いがいる

 

タスクさん
・成長 助(なるなが たすく) 28歳男性
・東証上場部に在籍
・市場区分見直しについて色々教えてくれる

 

 

(タスクさん)
各市場区分には、今までお話ししてきたようなコンセプトを踏まえて、それぞれ上場基準を設定しています。
スタンダード市場がもっとも標準的な市場で、上場会社として備えるべき一般的な水準に基準が設けられています。

(あらたくん)
ふむふむ。スタンダード(標準的)という名前が付けられているくらいですからね。

(タスクさん)
そこから派生する形で、プライム市場とグロース市場の基準があると考えてもらえるとわかりやすいかもしれないね。

(あらたくん)
なるほど、ではプライム市場の基準はどうなっているのですか?

(タスクさん)
プライム市場は、海外を含む様々な投資家の投資対象となる市場だから、それを念頭においた基準になっているね。
難しい言葉でいうと、ガバナンスや流動性について、高い水準が求められるんだ。

(あらたくん)
う~ん、難しいです!

(カブノさん)
色々な投資家の期待に応えられるほどには会社の体制は強固となっているべきだし、多くの投資家が円滑に売買を行えるように十分な量の株が市場に出回っている必要がある、ってことかしら?

(タスクさん)
ざっくり言えばそのとおりですね。

(あらたくん)
グロース市場はどうですか?

(タスクさん)
グロース市場は、成長可能性を秘めた、様々なベンチャー企業が上場できるように、基準は比較的緩やかに、間口を広く設定しているね。

そして、将来性を重視する市場だから、過去の実績はあえて問わないようにしているんだ。たとえば、スタンダード市場やプライム市場への上場時には、過去の決算で一定の利益が計上されていることを求めているんだけど、グロース市場では特に求めていないんだ。

(あらたくん)
それだと、どんな会社でも上場できるってことですか?

(タスクさん)
もちろん、上場会社になる以上は最低限の水準は必要としているし、何より、実績がないというということはリスクが高いよね。
だから、どのような成長を遂げる可能性があるのかや、それを実現するための道筋について、投資家にしっかり開示をしてもらうことにしているんだ。

(カブノさん)
投資家としては、それをちゃんと読んで評価する必要があるってことね。

(あらたくん)
なるほどなるほど、3つの市場区分の特徴がよくわかりました。
そういえば以前に、市場区分見直しの理由の2つ目として、上場会社の成長を支えられるような市場にしたいと仰っていましたが、見直し後は何が変わるのですか?

(タスクさん)
たとえば、今までは、マザーズから市場第一部に上場するときの基準と、非上場の状態から市場第一部に上場するときの基準が、異なっていたんだ。
前者のほうが緩和されていたんだけど、今後はこれを共通化することになる。

(あらたくん)
あれれ、以前は、マザーズに一回上場すると、市場第一部に上場しやすくなっていたってこと?

(カブノさん)
それだと、上場会社に対して、上場後の成長を促すことにはならないわね。

(タスクさん)
だから今回、この緩和された基準をなくして、非上場会社が新たに上場するときも、上場会社がほかの市場区分に移るときも、同じ基準を満たしてもらうことにしたんです。

(あらたくん)
上場会社に高みを目指してもらうモチベーションにしたってことだね。

(タスクさん)
そのほか、見直し前は、新しく上場をするための基準と上場を維持するための基準に大きな差異があって、後者は低く設定されていたんだ。
でもこれからは、原則としてそれらの基準を共通化することにしています。

(カブノさん)
上場会社は、上場時の水準を上場後もキープする必要があるってことね。

(タスクさん)
さらには、コーポレートガバナンス・コードというものを改訂して、それぞれの新市場区分のコンセプトにあわせて適用することにしています。

(あらたくん)
「ガバナンス」がまた出てきましたね! 今度はそれに「コード」がついています・・・

(タスクさん)
会社の成長に向けて、対応したほうがよいと思われることを集めたもの、と考えてもらえればわかりやすいかな。また今度、詳しくお話しするね。

(カブノさん)
そういったものに対応してもらうことで、成長を促すということね。
市場区分見直しのねらいが改めてよくわかったわ。

第7話へつづく)

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