東証市場再編

【新市場ストーリー】第4話 すっきり整理整頓 ~東証市場再編、目的は?(その1)~

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※この記事はJPX「新市場区分特設サイト」上で2021年12月16日に掲載した記事の再掲載です。

第3話はこちら

登場人物

あらたくん
・市場 新(いちば あらた) 22歳男性
・東証一部上場企業・兜商事に勤めはじめた新入社員
・東証二部上場企業・日本橋造船で技術職として勤める父、マザーズ上場企業・フューチャーバイオで研究職として勤める兄がいる
・父の勧めで東証一部の会社に入社したが、「東証一部」がなくなると聞き、焦っている
・カブノさんは職場の先輩

カブノさん
・株野 未来(かぶの みらい) 30歳女性
・前職は証券会社だったため、市場区分見直しについて関心はあるが、詳しくは知らない
・証券会社勤務時代のつながりで、東証にタスクさんという知り合いがいる

タスクさん
・成長 助(なるなが たすく) 28歳男性
・東証上場部に在籍
・市場区分見直しについて色々教えてくれる

 

 

(あらたくん)
市場区分の機能についてはわかったのですが、なんで見直すことにしたんですか?

(タスクさん)
あらたくんは、現在、東証に存在する市場区分の名前を覚えているかな?

(あらたくん)
えーと、「市場第一部」「市場第二部」「マザーズ」「JASDAQ」ですよね?

(タスクさん)
正解!
ちなみに、「JASDAQ」の中には「JASDAQスタンダード」と「JASDAQグロース」があるから、細かくわけると5つになるんだ。

(カブノさん)
さすがあらたくんね。

(タスクさん)
マザーズはこれから成長していくベンチャー企業向け、というのは話したとおりだけど、じゃあ「JASDAQグロース」はどんな会社向けの市場だと思う?

(あらたくん)
あれ、グロースって日本語で言うと「成長」って意味ですよね・・・
もしかしてこれもベンチャー企業向け?

(タスクさん)
そのとおり、厳密には基準は異なるんだけど、大まかにいうとベンチャー企業向けなんだ。

(カブノさん)
タスクくん、ほかの市場区分はどうなの?

(タスクさん)
実は、「市場第二部」と「JASDAQスタンダード」も、実績のある企業向けで重複していると言われていたんです。

(あらたくん)
あれれ、じゃあ「市場第一部」はどうなんですか?

(タスクさん)
世間からは色々な評価をいただくことはあるけれど、東証としてはそこまで明確にコンセプトを設定しているわけではなかったんだ。

(あらたくん)
え~!
わざわざたくさんの市場に分けているのに、それぞれの違いがわかりにくいです。

(タスクさん)
まさにその点は問題だね。
曖昧だったコンセプトをハッキリさせて、みんなにとってわかりやすい市場にすること、これが市場区分見直しの1つめの理由さ。

(あらたくん)
あれ、よく考えると、今まで何でそんなたくさんの市場があったんですか?

(タスクさん)
そもそも、現在の構成になったのは2013年のことなんだ。
その年に東京と大阪の取引所が経営統合することになって、両社が運営していた市場も統合することになったんだ。

(カブノさん)
ちょうど私が社会人になったころね、そんなニュースがあったのを覚えているわ。

(タスクさん)
ただ、いきなり全く異なる市場に変えてしまうと、上場会社や投資家は大混乱になってしまいますよね。
そこで、両社の市場を可能な限り維持した結果、現在の5つの市場区分が生まれたんです。

(カブノさん)
で、一段落した今、どうするべきかをしっかり考えたうえで見直しに至るということね。

(あらたくん)
なるほど、よくわかりました。でも、1つめの理由ってことは、他にもあるんですか?

(タスクさん)
ほかには、上場会社の成長していこうというモチベーションを十分に支えられていない、という指摘もあったんだ。

(あらたくん)
取引所が上場会社のモチベーションを支えるんですか?

(タスクさん)
そのとおりさ。
あらたくんは、どんな会社に投資したいと思う?

(あらたくん)
それはやっぱり、これからどんどん成長していく会社!

(タスクさん)
もちろん投資家によっては、できる限り経営が安定した会社がいいとか、株を売買したいときにいつでも売買できる会社がいいとか、色々な好みはあるけれど、成長することは悪いことじゃないよね。

(カブノさん)
会社が成長することで投資家も利益を得て、その利益で新たな投資をすることで上場会社が資金を調達できて、そしてさらなる成長につながっていく・・・っていう経済の好循環も生まれるわね。

(タスクさん)
だから、上場会社の成長を支えられるような市場にしたい、これが市場区分見直しの2つ目の理由。

(あらたくん)
見直しには、そんな背景があったんですね。

(タスクさん)
まとめると、上場会社の成長を支えつつ、投資家にとってわかりやすく投資しやすい市場を作ること、これが市場区分見直しの理由だね。
そして、経済の好循環をどんどん加速させ、豊かな社会をもたらすこと、これが新しい市場区分が目指す最終ゴールだ。

(あらたくん)
壮大な目標があるというのはよくわかりました!
でも、具体的にはどう見直すんですか?

(カブノさん)
たしかに、「曖昧だったコンセプトをハッキリさせる」って言っていたけど、3つの新しい市場区分がそれぞれどんな市場なのか教えてもらえるかしら?

(タスクさん)
承知しました!
それぞれの魅力をお伝えしますよ!

第5話へつづく)

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