住民税はいつから給与天引きされる?自分で納付する場合についても解説

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入社1年目の給与からは住民税は天引きされません。いつから給与天引きが始まるのか、個人事業主などの給与天引きが実施されない方はどのタイミングから住民税の納付が必要になるかを解説します。また、税額が変わる時期やそもそも住民税とは何か、住民税額を計算する方法も説明します。

住民税とは?

住民税とは地方税の一つです。道府県民税と市町村民税(東京23区ではそれぞれ都民税・特別区民税)に分かれ、1月1日時点に住民票がある自治体に納付します。

例えば、ある年の4月に引っ越しをした場合、その年1年間に得た所得などに課せられる住民税は、1月1日の時点で住民票があった引っ越しをする前の自治体に納付します。

住民税の納税義務者とは?

所得が一定以上の住民は、その年の1月1日時点に住民票のある自治体の納税義務者となります。なお、所得があれば年齢に関わらず住民税の納税義務者です。しかし、自治体によっては一定額以下の所得であれば住民税が非課税になることがあるため、お住まいの自治体に問い合わせましょう。

ただし、未婚の未成年者に限っては、135万円以下の所得(給与やパートで収入を得ている場合は給与収入が204万4,000円未満)であれば、住民税は非課税になります。未成年者でも既婚の場合は住民税の課税基準は成年者と同じになるため、詳しくは自治体に問い合わせましょう。

所得割額と均等割額を合計して求める

住民税は、所得割額と均等割額を合算して求めます。所得割額は課税所得額に住民税率をかけて求めるため、課税所得額が多くなればなるほど高額になります。

一方、均等割額は課税所得額に関わらず一律の税額です。課税所得額が一定額以下のときは所得割額が非課税となりますが、均等割額については自治体によっては課せられることがあります。

特別徴収と普通徴収の納付方法がある

住民税には、特別徴収と普通徴収の2つの納付方法があります。特別徴収とは前年度の所得に対して発生した住民税を給与から引き落とす形で徴収することです。特別徴収は1年分の住民税を6月から翌年5月の12ヵ月に分けて引き落とします。例えば、2020年1月~12月の所得に対する住民税は、2021年6月~2022年5月の給与から特別徴収されます。

一方、普通徴収とは、自治体から送付された住民税納付書を使って納付する方法です。給与からは天引きされないため、納付書に記載されている期限までに納付します。また、口座振替を選択している場合には、期限までに口座残高を確認しておきましょう。

普通徴収は一括払いと4回払いがある

特別徴収は住民税を12分割して納付します。一方、普通徴収は、前年度の所得から計算された住民税額を6月末までに一括で納付するか、6月以降に4回に分けて納付するかを選択することが可能です。

例えば、2020年1月~12月の所得に対する住民税は2021年6月に全額、あるいは2021年6月~2022年にかけて4回に分割して納付します。分割納付の期限については、住民税納付書に記載されているので確認しておきましょう。

住民税はいつから納付する?

住民税は前年度の所得に対して納付します。そのため、就職したばかりのときや起業したばかりで前年度の所得がない場合は、住民税の納付は必要ありません。具体的に、いつから住民税の納付が始まるのか解説します。

就職2年目の6月分給与から

公務員や会社員として就職した場合は、就職2年目の6月分給与から住民税の納付が始まります。4月に就職した場合であれば、就職2年目の6月分~3年目の5月分給与において、就職した年の4月~12月の9カ月分の住民税が12等分されて天引きされる特別徴収が実施されます。

なお、就職3年目の6月分~4年目の5月分の給与からは、就職2年目の1月~12月の12カ月分の所得から計算した住民税が天引きされる点に注意しましょう。住民税を計算するベースとなる金額が多くなる(9カ月分の所得から12カ月分の所得に増える、給料が増額するなど)ことにより、天引きされる税額が大きく増えることもあります。詳しくは次の記事もご覧ください。

住民税は給与から天引きされる!納税額や転職・退職時の納付方法を解説

個人事業主の場合は起業2年目の6月から

前年度に収入がなく、個人事業主として起業した場合は、起業2年目の6月頃に自治体から住民税納付書が送付され、普通徴収で納付します。一括払い用と4回払い用の納付書が封筒に入っているので、どちらかを使って期限までに納付しましょう。

会社や役所などを退職して個人事業主になった場合は、就職期間中の所得に対する住民税も併せて納付します。例えば、2020年の9月に勤務先を退職して無職になり、2020年の12月に起業し、2021年の2月から所得を得られた場合について考えてみましょう。

会社員として働いている間は給与所得以外の所得がなく、無職の間は所得を得ていないとすると、2021年6月に受け取る住民税納付書には、2020年1月~9月までの給与所得から計算した住民税額が記載されています。また、2022年6月に受け取る住民税納付書には、2021年2月~12月の所得から計算した住民税額が記載されているでしょう。

住民税額はいつから変わる?

その年の課税所得額が変わることで、翌年の6月~翌々年の5月の住民税額が変わります。そのため、課税所得額が大幅に増減した場合であっても、年内の住民税額には影響は及びません。

特別徴収の場合は原則として12等分されて毎月の給与から天引きされるため、6月分~翌年5月分までのすべての給与において、1カ月あたりに差し引かれる住民税額は同じです。

住民税額の計算方法

特別徴収も普通徴収も、いずれも納税者本人は住民税額を計算する必要はありません。しかし、計算方法を知っておくことで、翌年6月以降に納付する住民税額を概算することができます。以下の手順で住民税額を計算しましょう。

1.課税所得額を計算する
2.住民税率をかけて税額控除を差し引く
3.均等割額を加える

それぞれの手順について解説します。

1.課税所得額を計算する

まずは収入から所得控除を差し引き、課税所得額を求めます。

所得控除には基礎控除や扶養控除、医療費控除などの種類があります。給与所得者であれば年末調整で申告できる控除もありますが、確定申告をしないと適用されない控除もあるので注意しましょう。

なお、給与所得者であれば、源泉徴収票にて課税所得額を確認することもできます(給与所得控除後の金額 ―所得控除の額の合計額)。

2.住民税率をかけて税額控除を差し引く

住民税率は一律10%です。課税所得額に10%をかけ、税額控除を差し引くと住民税の所得割額を求めることができます。

税額控除には寄附金税額控除や住宅ローン控除などがあります。また、ふるさと納税は税額控除と特例控除が適用されるため、節税効果が高い制度です。いずれも申告が必要なため、正しい手続きで税額控除が適用されるようにしましょう。

3.均等割額を加える

住民税額は所得割額と均等割額を合算したものです。先ほど求めた所得割額に均等割額を足して実際に納付する住民税額を求めましょう。

所得割額は課税所得額にかかわらず基本的には一律5,000円(市町村民税または特別区民税3,500円+道府県民税または都民税1,500円)です。しかし、自治体によって異なることもあるので確認しましょう。

自分の住民税額を正しく把握しておこう

その年1年間に生じた住民税は、翌年の6月~翌々年の5月にかけて納税します。会社員や公務員などの給与所得者は給与から天引きされますが、その他のケースでは自治体から送付された納付書を使って納税します。いずれの場合でもご自身の住民税について計算し、翌年以降に納付する税額をあらかじめ把握しておくようにしましょう。

参考:総務省 「個人住民税」
参考:東京都主税局「個人住民税」
参考:東京都主税局「特別徴収推進ステーション」

ライター:林 泉
監修者:高橋 尚

監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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