インタビュアー小島瑠璃子、お金の話聞いてきます!「ようやく継続できそうな家計簿に出会えました」

こじるりが代表に直撃!オンライン家計簿サービス「Zaim」が楽しく続けられる理由

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この連載でのインタビューを重ね、投資や資産形成に対する興味がますます高まっている小島瑠璃子さん。

「まずは収入と支出の管理から始めよう!」と、初回にファイナンシャルプランナーの高山一恵さんに教えてもらったオンライン家計簿サービス「Zaim」で管理をスタート。いざ使い始めると、使い勝手の良さと管理方法の面白さに驚かされたという。

そこで、どのようにサービスが開発されたのか、「Zaim」の開発者であるZaim代表取締役・閑歳孝子さんに直撃してきた。

「予算」を設定することで買い物の意識が変わる


小島「『Zaim』は、いつ誕生したサービスなんですか?」

閑歳「2011年にアプリをリリースしました。当時は技術者がつくったようなマニアックな家計簿アプリしかなかったのですが、今後は一般の方もスマートフォンを持つであろうと考えて、開発を始めたんです。これまで家計簿を付けてきた方にとってはより細かく分類できるようにしていますし、家計簿初心者の方や毎日入力するのが大変だと感じる方には、自動的にデータが蓄積されるように銀行や証券会社と連携できるようにしています」

小島「連携できる銀行がたくさんあって、びっくりしたんです!」

閑歳「いまは、日本中の大半の銀行と提携しているので、どなたでも銀行口座に入っているお金を管理できるようになりました。ほかにもクレジットカードはもちろん、Amazonや楽天などのECサイトとも連携して、買い物の履歴も自動的に登録されるようになっています」

小島「最初にアカウント連携すればいいだけですもんね。私が感動したのは、食費や交際費といった項目ごとに1カ月の予算を設定できることで、目標を立てて使っていくところにゲーム性があるなと思いました」

閑歳「いわゆる“袋分け家計簿”という、昔からある概念を応用した部分ですね」

小島「あっ、母が袋に分けてました! ひと月の食費を3万円に設定したら、3万円を袋に入れて、そのお金がなくならないように生活していくって」

閑歳「まさにその方法です。それをデジタルで再現できないかと思って、行きついたのが『Zaim』の予算設定なんです。予算に合わせて使っていって、目標額を超えないようにするところが楽しいんですよね」

小島「そうなんです。このまま家計簿を付けていくと、目標を達成した満足感が報酬のようになって、さらに楽しくなるんだろうなって感じてます」

閑歳「おっしゃっていただいた、そこを意識しているんです。家計簿はすぐに結果が出ないので、なかなか続けられないんですよね。だから、楽しんで続けてもらえるように、ゲーム的な仕組みをいくつか取り入れています。何カ月か続けると実感すると思うんですが、残高の増減だけでなく、自分が何にいくら使ったかが見えてくるのが面白いんです。『先月と比べて食費を抑えられた』とか『去年と比べて旅行の費用は減った分、趣味の費用が増えてる』とか、そのときの自分の行動や嗜好がわかってきますよ」

小島「私はまだ始めたばかりなので、このまま続けて、その楽しみを早く知りたいです!」

アプリリリースから1年でユーザーが数十万人に


小島「閑歳さんが『Zaim』を開発するに至るには、どのような経緯があったんですか?」

閑歳「私はもともと出版社にいたんですが、25歳くらいでインターネット業界に入って、数社のベンチャーを経験したんですね。その後、31歳くらいのときに、自分が本当にいいものを形にしたいという思いが湧いたんです」

小島「出版からインターネットって、まったく縁がない業界同士な気がするんですが」

閑歳「当時は出版業界もそこまでインターネット上の情報発信に積極的ではありませんでしたし、私も仕事で得たスキルといえば文章を打つことくらいだったので、最初はエンジニアと営業の間に立って橋渡しをするような仕事をしてました。そのうち、エンジニアの方からドキュメントを書くとか記録を残すといった仕事を任されるようになり、少しずつ技術も教えてもらうようになって、29歳のときにベンチャー3社目でエンジニアとして採用されたんです」

小島「すごい!? プログラミングの勉強をコツコツとしていったんですね」

閑歳「エンジニアに憧れがあって、プログラミングできるようになりたいって気持ちは強かったんです」

小島「そうだったんですね。それで31歳のときに思い立って、つくったのが『Zaim』だったんですか?」

閑歳「そうなんです。お金のことは誰しも興味があるし、先ほども話したように家計簿アプリはマニアックなものしかなかったので、開発を進めて2011年にリリースしたんです。そして、翌年の2012年にZaimを法人化しました」

小島「リリースからの1年間は、個人で運営していたんですか?」

閑歳「そうですね。当時はまだベンチャーに勤めていたので、平日の夜や土日に『Zaim』の開発やサポート業務をしていたんですよ。1年くらい経った頃、既にユーザーさんが数十万人いらっしゃって、うれしい反面、サービスを続けていくためにも法人化したいなと、2012年に踏み切ったんです」

小島「法人化したことでの変化は、どのようなところに表れましたか?」

閑歳「法人化して、社員を雇うようになってわかったのは、あらゆる面において1人の力でできることは少ないということです。個人だと自分の思いどおりのものをつくれるんですけど、その反面、自分の思いどおりのものしかできないというか、自分ができないことをやっていかないと、サービスは広がっていかないんですよね。例えば、銀行との連携は私の力だけではとてもできなかったですし、デザイン面もいまはメンバーにすごく支えてもらっています。その分、自分も自分しかできないことに注力するというチームの強みを感じますね」

人それぞれの人生が垣間見える「家計簿」


小島「『Zaim』は自分自身のお金に関する情報を1カ所にまとめられるサービスですが、データをまとめるというアイデアはどのタイミングで出てきたんですか?」

閑歳「以前、アクセス解析のシステムをつくる会社に勤めていたんですよ。その会社はホームページのアクセスデータを視覚化するシステムを開発していて、法人向けに展開していました。Googleアナリティクスのようなイメージですね。そこでの経験から、データを集めて見せ方を工夫すると思いもよらない気付きを与えられるということを知って、個人向けに展開するなら家計簿がそれに一番近いかもと考えたんです」

小島「家計簿もデータの蓄積ですもんね」

閑歳「そうなんです。集めたデータを真面目に見せるだけじゃなくて、面白く見せて、使っている人をびっくりさせたいという気持ちは当初からあって、“袋分け家計簿”を応用した予算設定の機能は最初から搭載しているんです」

小島「そうだったんですか!? 使い始めて真っ先に楽しいと思った部分だったので、いますごく感動してます。予算設定の機能以外にも、ユーザーさんから反響の大きい機能はありますか?」

閑歳「レシートを撮影すると自動で家計簿に記録できる機能は何度もメディアに取り上げていただいていますね。同じ機能を持つ家計簿アプリはほかにもあるんですが、『Zaim』ではカメラをかざすだけで読み取り結果が出るようになっています。そういったいくつかの工夫で読み取りの成功率を上げており、SNSなどを通じてお褒めの言葉も届いています」

小島「入力のスピード感が上がると、家計簿を付けるのも手間に感じなくなりますよね。家計簿に目を付けたところが、閑歳さんって優秀な方なんだなと」

閑歳「そんなことはないんですが、もともと家計簿から見える人の人生に興味があったんですよね。よく雑誌の巻末に載っているコーナーで、読者の家計簿に対してファイナンシャルプランナーがアドバイスするみたいな企画がすごく好きだったんですよ。その人の生活が垣間見えて、自分とは違う人生を送っている人がいるんだな、そういうお金の使い方もあるんだなって感じるのが面白くて」

小島「確かに、何にお金を使ってるかがわかると、その人の趣味とかが見えてきそうですよね」

閑歳「そうなんですよ。推し活にたくさん使ってるとか」

小島「家賃は切り詰めてるけど、推し活にめっちゃ使ってたら、きっとそれが生きがいなんだって感じますよね(笑)」

閑歳「おっしゃるとおり(笑)。また、ユーザーの家計簿の記録から、社会全体の動向も見えてくるんです。当社では匿名性を担保したうえで、皆さんの『Zaim』の記録から購買行動を分析していて、例えば、家庭内の食費における『DX(デジタルトランスフォーメーション)指数』(※)はコロナ禍が始まった2020年4月から急拡大し、2021年6月にはコロナ禍以前のおよそ1.8倍に伸びたことがわかったんです。これは主にフードデリバリーサービスの利用が増えたことを表しています」

※支出総額に占めるデジタルサービス利用率。デジタルには総合 EC サイト、ネットスーパー、食品宅配、フードサブスクリプション、フードデリバリーが含まれる。

小島「個人のデータを集めることで、社会のニーズも見えてくるということですね」

閑歳「そう考えています。例えば、高齢者から段階的にワクチンの接種が始まったときは、年配の方だけ旅行関連の支出の金額・人数が急増した現象がいち早くわかりました」

小島「『Zaim』だと、ユーザーさんが入力した時点で現実的なデータが集まるから、リアルタイムで見えてくるってことですもんね」

閑歳「そうですね。必要とされているものがわかれば、企業にも還元できますよね。また、個人の家計簿の話に戻りますが、『Zaim』を通して、個々のお金の使い方を肯定したいという思いもあるんです。標準的なお金の使い方ではなかったとしても、その人にとって幸せなら、それもありなんじゃないかなって。そのうえで、『この費用は無駄だから節約しよう』『もっとお金があれば趣味につぎ込めるから副業しよう』という気付きにつながって、人生の可能性を感じてもらえたらいいなと思います」

小島「ただ収支を管理するだけではなく、お金の使い方を知ることで人生を知る。そう思うと、日々の買い物の意識も変わりそうだし、何より1年後の家計簿を見るのが楽しみになりますね」

閑歳さんとの対談のなかで、家計簿のさらなる可能性を知った小島さん。家計管理の意欲も高まってきているが、閑歳さんのキャリアにも興味が湧いたようで、さらにいろいろと踏み込んだ話に。その様子は、後編でお届けしよう。

(取材・文:有竹亮介/verb 撮影:森カズシゲ)

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