iDeCoに会社員でも加入可能?そのほかの疑問にも回答します

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個人型確定拠出年金を指すiDeCoに、会社員でも加入できます。ただし、勤務先が企業型DCでマッチング拠出を導入している場合、加入不可のため注意が必要です。

本記事では、iDeCoに会社員が加入する際の気になる疑問にも回答しています。

会社員でiDeCoに加入できない場合

そもそもiDeCoとは、個人型確定拠出年金のことです。詳しい概要については、以下の記事をご参照ください。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは自分で始める年金制度!概要やメリットも解説

2017年1月より対象の幅が広がり、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している会社員や公務員、専業主婦(夫)もiDeCoに加入できるようになりました。ただし、マッチング拠出を導入している勤務先の従業員はiDeCoに加入できません。

マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金で勤務先が支払う掛金に対し、従業員自身が上乗せして掛金を支払う制度のことです。詳しくは、企業型確定拠出年金に関する以下の記事を参考にしてください。

企業型確定拠出年金とは?3つのメリットもわかりやすく解説

なお、2022年10月1日より企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入要件が緩和されますが、マッチング拠出を利用したままiDeCoに加入することはできません。

加入のメリットは3つの節税につながる点

会社員がiDeCoに加入することで、以下3つの税制優遇措置を受けられる点が主なメリットです。

1.掛金全額が所得控除の対象になる
2.運用益は非課税となる
3.受取時も一定額まで税制優遇がある

これらは、iDeCoだけでなく企業型確定拠出年金(掛金の全額所得控除はマッチング拠出部分のみ対象)にも共通するメリットです。それぞれがどのような内容なのか確認していきましょう。

1.掛金全額が所得控除の対象になる

iDeCoで積み立てた掛金は、全額所得から控除されます。そのため、所得税・住民税減額につながりうる点がメリットです。

会社員が上限額である2万3,000円を毎月の掛金とした場合、年収300万円で4万1,400円/年、年収500万円で5万5,200円/年、年収700万円で8万2,800円/年の税制優遇が期待できます。(一般的な目安の金額です。2022年6月現在)

2.運用益は非課税となる

iDeCoの運用から得た利益は、非課税で再投資される点がメリットです。再投資とは、運用から得た利益を元本に加えて運用を継続することを指します。

通常、預貯金の利子や上場株式等の譲渡益・配当には通常20.315%の税金が課されます。

3.受取時も一定額まで税制優遇がある

運用した資産を現金で受け取る際も、一定額まで税制優遇がある点もメリットです。iDeCoを受け取る方法は2種類あり、それぞれ対象となる所得控除も異なります。

年金で受け取る際は「公的年金等控除」、一時金で受け取る際は「退職所得控除」の対象です。例えば、30年間iDeCoで運用した後に一時金で受け取る場合、通常1,500万円までが非課税となります(800万円+70万円×(30年―20年))。(2022年6月現在)

参考:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
参考:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

会社員がiDeCo加入前に把握すべきこと3

さまざまなメリットを期待できる一方で、会社員がiDeCoに加入する前に把握しておかなければならないことがいくつか存在します。特に気をつけたい点が以下の3つです。

1.原則として60歳までは引き出せない
2.運用成績によっては資産が減ってしまうこともある
3.加入中に手数料がかかる

加入してから後悔することがないように、3点を確認していきましょう。

1.原則として60歳までは引き出せない

iDeCoは老後の資産形成を目的とした年金制度です。そのため、自分の資産であっても原則60歳になるまでは引き出せない点に注意しましょう。生活に必要なお金や、60歳までに必要になる可能性がある資金は、iDeCoとは別にしておくことがポイントです。

なお、加入者が一定以上の障害になった場合や死亡した場合など、条件を満たしていれば60歳になる前でも障害給付金や死亡一時金として受け取れます。

2.運用成績によっては資産が減ってしまうこともある

iDeCoでの運用で利益をあげれば、毎月積み立てて拠出した元本が増える可能性があります。一方で、運用商品によっては成績次第で元本を割り込む可能性がある点に注意が必要です。なお、iDeCoの取扱商品には、元本確保商品と投資信託(価格変動商品)があります。

3.加入中に手数料がかかる

iDeCo加入中、運営管理機関の手数料や事務委託先金融機関の手数料を負担しなければなりません。各運営管理機関によって、手数料や取扱商品などが異なります。

iDeCo公式サイトの「運営管理機関一覧」から、自分が申し込みを予定している機関のサービス内容を確認しておきましょう。

そのほか、掛金納付の都度、国民年金基金連合会に対して加入者手数料105円を負担します。

参考:金融広報中央委員会「iDeCo初心者が知っておきたい商品選び」
参考:iDeCo公式サイト「運営管理機関一覧」

iDeCoにまつわる疑問を解消

企業型確定拠出年金に加入している会社員が加入できるようになったのは、2017年1月と比較的最近のことのため、まだiDeCoについて理解しきれていない方も少なくないでしょう。iDeCoにまつわる疑問を解消できるよう、ここから以下3つの疑問点に答えていきます。

1.企業型確定拠出年金との違いは?
2.会社員から個人事業主になったら?
3.申告手続きは確定申告?年末調整?

企業型確定拠出年金との違いは?

まず、iDeCoでは、掛金や口座管理手数料を個人が負担するのに対し、企業型確定拠出年金(企業型DC)では会社負担である点が異なります。また、iDeCoの積み立て期間は原則65歳までであるのに対し、企業型確定拠出年金は原則70歳まで可能です。

さらに、勤務先に企業型確定拠出年金がない会社員のiDeCo月掛金限度額は2万3,000円であるのに対し、企業型確定拠出年金のみを実施している場合の月掛金限度額は5万5,000円となっています。

会社員から個人事業主になったら?

会社員から個人事業主(フリーランス)になる場合、3つのパターンが考えられます。もともとiDeCoのみに加入していた場合、国民年金に係る被保険者種別の変更手続きをすることで引き続き継続可能です。

また、企業型確定拠出年金とiDeCoを併用していた場合、継続するiDeCoに企業型確定拠出年金を移管できます。企業型確定拠出年金のみに加入していた場合、新たにiDeCo口座を開設したうえで移管可能です。ただし、企業型確定拠出年金で運用していた金融資産は一旦現金化して、新たにiDeCoで扱っている金融商品に配分することになります。

申告手続きは確定申告?年末調整?

会社員がiDeCoの掛金を所得控除の対象にする際に 、口座振替で掛金を拠出している場合は、年末調整で対応できますので、確定申告は不要です。また掛金を給与から天引きしている場合、事業主が拠出額を把握しているため特別な手続きは必要ありません。

ただし、会社員であっても給与収入金額が2,000万円を超える、給与収入金額が2,000万円以下でも給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えるなどの場合、確定申告で手続きしなければなりません。(2022年6月現在)

参考:国税庁「確定申告が必要な方」

条件を満たせば会社員もiDeCoに加入可能

加入対象が拡大されたため、企業型確定拠出年金を導入している企業に勤める会社員もiDeCoに加入できるようになりました。会社員がiDeCoに加入するメリットは、税制優遇措置を受けられる点です。

原則60歳まで引き出せない、運用商品・成績次第で元本割れすることもある、といった注意点を理解しつつ、iDeCo加入を検討しましょう。

ライター:Editor HB
監修者:鈴木 靖子(ファイナンシャルプランナー、AFP認定者)

監修者の経歴:
銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。フリーランスがお金の知識を持つことの大切さを実感しており、フリーランス向けマネーブログを運営している。

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