REITとはどんな投資商品なの?仕組みや4つの分類を紹介
REIT(リート)とは、投資法人が投資家から集めた資金を不動産に投資し、そこから生じる利益を投資家に分配する仕組みの不動産投資信託のことです。従来の不動産投資とは異なり、投資する不動産が自分のものにはなりません。
本記事ではREITの仕組みや種類、買い方などについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
REITとは不動産投資信託のこと
1960年代に米国で誕生したとされるREITは、Real Estate Investment Trustを略した用語で、不動産投資信託のことです。REITの特徴として、以下の点が挙げられます。
●証券取引所に上場している
●比較的少額からでも投資できる
●複数の不動産に投資しているため、リスク分散効果を期待できる
●専門家が運用している
●安定した分配金や比較的高い利回りを得られる可能性がある
ここから、REITの仕組みや、従来型不動産投資との違いを紹介します。
REITの仕組み
REITの仕組みは、不動産投資法人が投資家から集めた資金で運用をおこない、不動産の賃貸料や売却で得た収益の一部を投資家に分配するというものです。不動産投資法人とは、投資家から集めた資金で不動産を購入し、資産運用していくことを目的に設立された法人を指します。
REITと従来型不動産投資の違いは2つ
従来、不動産投資といえば、自分で不動産を所有して売却益や家賃収入を得る現物投資が主流でした。REITと従来型の不動産投資には、リスク面や不動産所有面における違いがあります。
ここから、それぞれの違いについて、詳しく確認していきましょう。
なお、REITの細かなメリットやデメリットについては、以下の記事も参考にしてください。
REITのメリットとデメリットを比較!選ぶ際のポイントも解説
1.リスク面の違い
REITに投資するにあたっては、銀行からローンを借りることができません。一方、従来型不動産投資では、不動産投資ローンやアパートローンといったローンを利用できます。
多額の融資を受ければ、少ない自己資金でも大きなリターンを狙える一方で、リスクも高まります。そのため、ローンを利用しないREITの方が、従来型不動産投資でローンを利用する場合より一般的にリスクを抑えられます。
2.不動産所有における違い
REITの場合、投資対象の不動産は自分のものになりません。一方、従来型の不動産投資では、投資対象の不動産が自分名義のものになります。
ただし、REITは自身で不動産を所有できない分、火災保険料や固定資産税、修繕費などの維持費用がかかりません。また、流動性リスク(すぐに買い手が見つからず換金に時間がかかるリスク)など所有に伴うリスクも抑えることができます。
REITにおける4つの分類
REITは、投資・運用する不動産の種類や特徴によっていくつかの種類に分類できます。主な種類は、以下の4つです。
1.ひとつの用途に特化する「単一用途特化型」
2.異なる用途の不動産を組み合わせる「複数用途特化型」
3.エリアを絞った「地域特化型」
4.上場投資信託の「REIT型ETF」
各REITの特徴について、確認しておきましょう。
1.ひとつの用途に特化する「単一用途特化型」
単一用途特化型のREITは、投資対象の不動産の用途を特定の一種に絞ったタイプです。投資対象となる不動産には、主に以下の種類があります。
1.住宅
2.オフィスビル
3.ホテル
4.商業施設
5.物流施設
6.ヘルスケア
用途が限定されるため、関連情報を集めやすい点が単一用途特化型に投資するメリットです。一方で、分散投資しにくい点がデメリットとして挙げられます。
2.異なる用途の不動産を組み合わせる「複数用途特化型」
複数用途特化型のREITは、異なる特徴を持つ複数の不動産に投資するタイプです。2種類の不動産に投資するタイプを「複合型」、3種類以上の不動産に投資するタイプを「総合型」と表現することもあります。
分散投資できるため、ひとつの不動産の市況に左右されずリスクを軽減できる点が複数用途特化型のメリットです。その反面、単一用途特化型に比べると期待できるリターンは小さくなることが一般的です。
3.エリアを絞った「地域特化型」
地域特化型のREITは、用途ではなく地域を限定して不動産に投資するタイプです。海外の不動産に特化したREITも存在しますが、基本的に国内の証券取引所では売買できません。
地域特化型REITのメリットは、地域を絞ることで運用コストを抑えられる点です。ただし、投資対象のエリアで地震や台風などがあった場合に、損害を被るおそれがあるという災害リスクも存在します。
4.上場投資信託の「REIT型ETF」
「REIT型ETF」という商品もあります。ETFとはExchange Traded Fundsを略した上場投資信託のことで、証券取引所に上場している金融商品です。ETFの内容については、以下の記事も参考にしてください。
「ETFと投資信託の7つの違いとは?投資するならどちらがおすすめ?」
REIT型ETFは、複数のREITで構成される指標に連動することを目指すETFです。REIT型ETFに投資するとREIT指数の対象となる全銘柄に投資できるため、ひとつのREITを購入するより分散投資効果を得やすいことがメリットです。例えば、「東証REIT指数」に連動するETFの場合、東証に上場しているREIT全銘柄に分散投資をしているのと同じ効果を得られます。
ちなみに、前の章で海外不動産のREITは国内では売買できないことを説明しましたが、REIT型ETFであれば海外の不動産を投資対象とするものも東証に上場しています。
REITの買い方
REITの売買・決済方法は、株式の場合と同様の扱いです。REITを購入する際は、以下の流れで進められます。
1.証券会社で証券口座を開設する
2.開設した証券口座に投資にまわす分の金額を入金する
3.REITの銘柄を指定して購入する
なお、売買単位が100株の株式と異なり、REITは1口単位で売買ができます。
REITにまつわる用語を整理
REITは、もともとReal Estate Investment Trustを略した用語です。投資の場面において、REITにまつわる言葉がいくつも存在します。
REITをはじめる前に、それぞれの意味を掴んでおくことが大切です。J-REITやUS-REIT、東証REIT指数がどのような意味をもつ言葉なのか、理解しておきましょう。
J-REIT・US-REIT
J-REITは、2001年9月に初めて上場されたJapan(日本)で組成されたREITを意味します。東京証券取引所に上場されているREITは、全てJ-REITです。
なお、2022年8月1日現在、東証Jリート市場には61銘柄が上場しています。
一方、US-REITは、US(米国)で組成されたREITを意味します。J-REITでは、比較的安定している不動産の賃貸活動による収益が大半を占めるのに対し、US-REITでは状況によってREIT自体での不動産開発も可能です。
なお、US-REITを含む海外REITは基本的に国内市場で取引できないため、US-REITに関心がある場合は投資信託やREIT型ETFの形式で購入する方法が一般的です。
東証REIT指数
東証REIT指数とは、東京証券取引所に上場しているREIT全銘柄を対象とした株価指数です。指数は、構成銘柄の時価総額の合計額を一定時点の時価総額の合計額で割る「時価総額加重型」で算出されています。
2003年3月31日(基準日)のREIT全銘柄の時価総額を1,000とすると、現在の時価総額がどれくらいになるのかが、東証REIT指数から確認できます。
REITで不動産投資に挑戦
REITとは、不動産投資信託のことです。証券取引所に上場している、リスク分散効果がある、安定した分配金を期待できるなどの点が主な特徴として挙げられます。
従来型の不動産投資は投資対象の不動産を所有するのに対し、REITは対象不動産を所有しないため、維持費用を抑えられる点が違いです。また、金融機関からの融資を受けられず、少ない資金で大きなリターンは見込めない分、REITはローンを利用した従来型の不動産投資に比べてリスクが低くなります。
比較的少額で投資できる商品なので、不動産投資に関心がある方はまずREITからはじめてみてはいかがでしょうか。
ライター:Editor HB
監修者:鈴木 靖子(ファイナンシャルプランナー、AFP認定者)
監修者の経歴:
銀行の財務企画や金融機関向けサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。フリーランスがお金の知識を持つことの大切さを実感しており、フリーランス向けマネーブログを運営している。