たかがローソク、されどローソク!
チャートのきほん「ローソク足」を知っておこう
提供元:auカブコム証券
株式投資をはじめると、よく目にするチャート。このチャートを形成している「ローソク足」は日本古来のものと言われています。このローソク足・・・たかがローソク、されどローソクと言えるほど様々な情報が織り込まれています。ローソク足の基本を押さえて、株価予測を楽しみましょう。
チャートってなに?重要なの?
チャートとは、株価の動きをグラフ化したものです。相場の方向性や転換点、上値や下値の目途などを予測するために参考とするものです。日経平均やTOPIXなどの指数のほか、個別銘柄においても、一目で現在の状況を把握し、その後の動きや方向性(トレンド)、目途などを推測して売買のヒントにつなげることができます。
チャート形成に影響を与えるもの、例えば国内外の経済活動・政治動向・金利・企業業績・需給、そして人の価値観や心理的なものも含めてすべて過去の株価に反映されています。株価に影響を与えるものが全て価格に織り込まれるならば、株価チャートを分析すれば売買の指針として有効であるということになります。
そのためチャートは非常に重要であり、また重要視する投資家も多いのです。
チャート分析は株価の天気予報
チャート分析とは、株価や出来高(売買高)などの推移をチャート化することにより、トレンドやパターン等を認識し、将来どのような動きをするのか予測する手法です。つまり株価の天気が晴れるのか、くもりなのか、雨が降りそうか、はたまた嵐が来そうなのか・・・天気予報をするのと同様に、今後を探っていくようなものです。
現在の位置を把握し、トレンドやパターンに当てはめて将来の株価動向を予報する。これがチャート分析です。
チャートはテクニカル分析のひとつ
株価予測のアプローチは、大きく分けて企業の業績や財務などのデータを基に予測する「ファンダメンタルズ分析」とチャートや移動平均線などを使って株価パターンを基に予測する「テクニカル分析」があります。
チャート分析は、後者のテクニカル分析の一つです。テクニカル分析には、様々な分析手法がありますが、日本で最もポピュラーなのが、ローソク足を用いた分析手法です。チャートもローソク足を時系列で並べたものです。
このローソク足は日本古来のもので、江戸時代に米商人で相場師の本間宗久が考案したといわれています。現在では海外でもキャンドルチャートと呼ばれ、広く普及しています。
この「ローソク足」について、詳しくご紹介していきます。
ローソク足のきほん「たかがローソク、されどローソク」
ローソク足は1日の動きを表す「日足」や、1週間の値動きを表した「週足」、そして1カ月の動きを示す「月足」がポピュラーです。そのほか、時間軸を細かく設定した5分足、30分足、60分足などもあります。短期的または長期的に分析するかで、この期間を変えて研究します。
さて、この1本のローソク足。たかがローソク足、されどローソク足といえ、様々な情報が織り込まれています。
まず、左側の白抜きのローソクは、始値より終値が高い足で「陽線」、そして、右側が黒塗りの「陰線」で始値より終値が低いローソクです。
陽線は始値より終値が高くなるので、買いが優勢であり、陰線はその逆で売りが優勢であることを示唆しています。
陽線か陰線かだけでも、その期間の相場が強かったのか、弱かったのかが読み取れますね。
次にもう少し詳しくローソク足を説明します。
まずは陽線です。ローソク足は、四本値で構成されています。
四本値は始まった値段、日足であれば寄付きの「始値」、次にその日の一番高い値段を示した「高値」そして、反対の「安値」、大引けの値段が「終値」です。上記は陽線なので、始値よりも終値が高くなっている白抜きのローソクです。始値と終値でローソクのような四角を形成し、それを実体と呼びます。
そして、高値と安値まで伸びた線を「ヒゲ」とよびます。このヒゲは「影」と呼ばれることも多いです。
次に陰線です。陰線は、始値よりも終値が安く、実体が黒の塗りつぶしです。
この四本値の価格によって、様々なローソク足が形成されます。
代表的なローソク足9種
ローソク足には様々な種類がありますが、ここでは代表的な9種類をご紹介します。
●大陽線
実体が長ければ長いほどエネルギーが強く、先高感も強いことを示唆しています。
●小陽線
実体が短く、値幅も小さい陽線を指します。強弱感が弱く、気迷い状態を示すことが少なくないといわれています。
●下影陽線
実体が小さく下ヒゲが長いため、買い方が抵抗しています。下がった後に買いが入ってきているということです。
上昇を暗示しますが、出現位置により注意が必要で、前後のローソク足と複数で組み合わせて分析することが適切です。
●上影陽線
実体が小さく上ヒゲが長い陽線。ヒゲが長いほど、上昇エネルギーが続かず、売りの抵抗が強く騰勢の衰えを示唆しています。
出現位置により判断が異なるため、前後のローソク足を広く見る必要があります。
●十字線
寄付きと引け値が同じで、上下にヒゲがあり、十字の形をしているのが特徴です。気迷いムードを示唆しており、上下のヒゲが長い場合は寄せ線といい、相場の転換点になる場合があります。寄せ線がチャートの高い位置で出現すれば下落の転換に、そして低い位置で出現すれば、切り返しの転換となる可能性があります。この足も前後の動きと併せての判断が有効となります。
次に陰線です。
●大陰線
実体が長く、寄付きよりも終値がかなり低い陰線です。最後まで売りが優勢で、先安感が強いと読み取ることができます。
●小陰線
実態が短い陰線です。気迷い症状で、小陰線が続くと後に大きく相場が動き出すこともあるといわれています。
●下影陽線
下にヒゲが長いため、売りが大きく出たものの、終値までの間に買い方が抵抗している様子がうかがえます。株価の下の位置では底打ち反転の可能性、株価の高い位置に出現すると急反落となる可能性を秘めています。
●上影陰線
実体が小さく、上ヒゲが長い陰線です。その日の高値が終値よりもかなり上にあるので、大引けにかけて弱かったことを示しています。株価の上位では騰勢の衰えを示唆します。
ご紹介した9種のローソク足を押さえるだけでも、チャート分析が深まり、今後の株価を予測しやすくなります。
ローソク足は単体で分析するよりも、期間を変更したり、前後のローソク足との関係性を分析したり、その時点のトレンドやほかのテクニカル分析など様々な要素と組み合わせることで、より精度の高い分析に近づくことができます。
ローソク足を入口に、ご自身に合ったテクニカル分析を見つけることができるのではないかと思います。ぜひチャート分析を活用した株式投資を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(auカブコム証券)