住宅ローン控除の年末調整で悩まない!必要書類をわかりやすく説明

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住宅ローン控除は、年末調整による手続きで適用できます。ただし、1年目(初年度)だけは確定申告で対応しなければなりません。

本記事で、住宅ローン控除の概要や、年末調整で手続きする際の流れなどを紹介します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除、住宅ローン減税)とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得などした際に、借入残高に応じて、毎年年末のローン残高の0.7%(2022年以降に入居した場合)を所得税額から控除できる制度です。ただし、すでに入居していて異なる控除率が適用されている方の場合、0.7%にはなりません。

住宅ローン控除を適用するためには、概要や手続きの流れを理解しておかなければなりません。適用条件や、対応方法について詳しく確認しておきましょう。

住宅ローン控除適用には条件がある

住宅ローンを利用してマイホームを購入していても、いくつか条件を満たしていなければ、住宅ローン控除を適用できません。主な要件は以下のとおりです。

●新築や取得してから6か月以内に居住
●控除を受ける年の12月31日時点まで引き続き居住
●住宅ローンの借入期間が10年以上
●同一生計の親族などから取得した住宅でない
●贈与で取得した住宅でない
●該当年分の合計所得金額が、2,000万円以下
●住宅の床面積が50平方メートル以上

新築か中古住宅取得かによって、細かな要件は異なります。また、特例を適用する際には、さらに一部要件が異なることもあるため注意しましょう。

1年目と2年目以降で対応が異なる

住宅ローン控除は、確定申告により適用する方法と、年末調整で適用する方法があります。1年目(初年度)は確定申告が必要であるのに対し、2年目以降は年末調整でも対応可能です。

なお、通常は住宅ローン控除が可能なのは10年目までですが、入居したタイミング(年度)や住宅の種類によって、要件を満たせば13年や15年と長めに控除されているケースがあります。

確定申告で住宅ローン控除する方法

初年度における住宅ローン控除適用方法を理解できるように、確定申告の概要や流れを解説します。

確定申告とは

確定申告とは、1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算し、所得および税額を確定させる手続きのことです。源泉徴収された税金と本来納付すべき税額に違いがある場合、確定申告により過不足を精算できます。

初年度の住宅ローン控除を適用する方以外に、給与の収入金額が2,000万円を超える方や、所得の合計額をもとに算出した所得税額から各種控除額を差し引いた結果、まだ残額がある個人事業主なども確定申告が必要です。一方、給与の収入金額が2,000万円以下で給与を1か所から受けており、全額源泉徴収されている方などは、基本的に年末調整で精算できます。

なお、確定申告の期限は、原則として対象年の翌年2月16日から3月15日までです。

確定申告で住宅ローン控除する流れ

確定申告には、e-taxで申告する、郵便などで申告書を所轄税務署に送付する、所轄税務署受付に直接持ち込み提出するといった方法があります。確定申告で住宅ローン控除する際の流れは以下のとおりです。

1.確定申告に必要な書類を集める
2.確定申告書や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書に記入・入力する
3.税務署に書類を送付・提出する(e-taxで申告する)

確定申告書や(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書には、記入が必要な項目はいくつもあります。提出時期が近づいたら、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーにアクセスして、源泉徴収票・売買契約書・登記事項証明書・借入金の年末残高証明書からの情報を入力していけば、手軽に書類の作成が可能です。

作成したデータは、e-taxで送信することも、印刷して送付・提出することもできます。

確定申告で手続きする際の必要書類

住宅ローン控除の適用で確定申告する際に必要となる主な書類は以下のとおりです。

●(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
●家屋の登記事項証明書
●住宅の工事請負契約書(写)や売買契約書(写)

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、国税庁のサイト内で取得可能です。住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書は、通常借入れした金融機関から送られてきます。

家屋の登記事項は、登記所又は法務局証明サービスセンターの窓口や、オンライン請求で取得可能です。また、契約を交わした際の、工事請負契約書や売買契約書(写)を大切に保管しておくようにしましょう。

なお、不動産の種類や贈与の有無などによって、上記以外に別途書類が必要となることがあります。

参考:国税庁「No.2020 確定申告」

年末調整で住宅ローン控除する方法

2年目以降の住宅ローン控除適用方法を理解できるように、年末調整の概要や流れを解説します。

年末調整とは

年末調整とは、源泉徴収した所得税の合計額と本来1年間に納めるべき所得税額の差額を精算する手続きのことです。1年間の最後に給与支払をする時に行うことになっているため、通常12月までに作業します。

年末調整の対象となるのは、1年を通じて会社などに勤務している方や、年の中途で就職し年末まで勤務している方です。今まで年末調整できていても、中途退社した勤務先では年末調整できないため注意しましょう。

年末調整の詳しい概要については、以下の記事も参考にしてください。

年末調整とは所得税の過不足の調整作業!確定申告との違いも解説

年末調整で住宅ローン控除する流れ

2年目以降は、確定申告せずに年末調整で住宅ローン控除を適用できます。住宅ローン控除を適用予定の方が年末調整する際の流れは以下のとおりです。

1.勤務先から扶養控除等(異動)申告書など年末調整に必要な書類を受け取る
2.受け取った書類や「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に必要事項を記入し、勤務先に提出する

年末調整で手続きする際の必要書類

年末調整する際に、住宅ローン控除関連で必要な書類は以下のとおりです。

●住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(残高証明書)
●給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

残高証明書は、10〜11月頃に取引銀行から送られてきます。時期が来ても届いていない場合は、銀行に連絡して確認しておきましょう。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書は、確定申告をした年の10月頃に、税務署から2年目分以降の9枚セット(控除期間10年の場合)でまとめて送られてくる書類です。受け取った書類を毎年1枚ずつ提出しなければならないため、紛失しないよう大切に保管しておきましょう。

住宅ローン控除に関する疑問を解消しよう

最後に、住宅ローン控除に関する4つの疑問に答えていきます。

必要書類をなくしたらどうなる?

住宅ローンの年末残高証明書を紛失した場合は、取引銀行に連絡すれば再発行が可能です。金融機関によって、再発行にあたって本人確認書類の持参が必要なケースもあります。再発行まで数日要するため、年末調整に間に合うよう早めに銀行へ連絡しましょう。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書を紛失した場合、税務署での対応が必要です。交付申請書に必要事項を記入し、所轄の税務署に提出しましょう。

参考:国税庁「[手続名]年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続」

年末調整し忘れたらどうすればよい?

勤務先で年末調整の修正をすることで対応できることがあります。まずは、勤務先の所管部署に相談してみましょう。

既に年末調整期間が経過しており、勤務先での対応が難しい場合は、初年度の住宅ローン控除適用と同じように確定申告で対応可能です。ただし、年末調整のほうが手間はかからないため、できるだけ失念しないようにしましょう。

住宅ローン控除申告書に何を記入する?

新築や中古住宅取得の場合、住所や氏名に加えて住宅ローンの年末残高や自分の負担割合、住宅借入金等特別控除額などを、住宅ローン控除申告書(給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書)に記載します。

また、書類下部には「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金特別控除証明書」や年末残高証明書を確認し、記入しましょう。

連帯債務の場合の対応方法は?

ひとつの借り入れを夫婦など複数の者がそれぞれ債務を負う「連帯債務」の場合、連帯債務割合を勘案した計算が必要です。「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に、単独債務部分の残高と、連帯債務部分の残高に連帯債務割合をかけたものを合わせた金額を記入しましょう。

なお、連帯債務割合は「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金特別控除証明書」で確認できます。

住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で対応

住宅ローン控除を適用する際、初年度に確定申告は必要ですが、2年目以降は年末調整で対応できます。確定申告後に税務署から送られてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」のセットを大切に保管し、毎年年末調整の際に1枚ずつ勤務先に提出しましょう。

そのほか、取引銀行から送付される住宅ローンの年末残高証明書も必要です。年末調整時に慌てないように、時期が近づいたら必要書類が揃っているか確認しておきましょう。

参考:国税庁「所得税の確定申告」
参考:国税庁「No.1211-1住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
参考:国税庁「No.1211-3中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
参考:国税庁「マイホームを持ったとき」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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