プロが語る!資産形成のすゝめ

~その背景に力強い成長ストーリー~

投資マネーを惹きつけるインド株

提供元:岡三証券

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2023年は欧米でリセッション(景気後退)懸念が囁かれているのとは対照的に、インドや中国の高成長が期待されるなど、世界経済は国・地域によって異なるまだら模様となりそうです。国際通貨基金(IMF)は1月に、2023年暦年の世界のGDP成長率が前年比+2.9%と、2022年推計値の+3.4%から伸びが鈍化するとの予測を発表しました。

米欧経済が大幅に減速すると予測されている一方、インド(同+5.4%)や中国(同+5.2%)の成長が世界経済をけん引するとしています。特にインド経済は2024年には同+6.8%と更に加速する見通しです。

こうした経済状況を株式市場が反映すると考えるのならば、資産形成において「国際分散投資」の重要性が一層高まります。ここでは、特にインド株の魅力を見ていきたいと思います。

2023年度予算案は経済成長を支援する内容

インド株の魅力は何と言っても「力強い成長ストーリー」です。前述の通り、2023年も高成長が見込まれているわけですが、その背景には政策支援もありそうです。

インド財務省が2月1日に発表した2023年度予算案(2023年4月~2024年3月)には、経済成長を支援する内容が多く盛り込まれました。市場では特に、資本支出の伸びが評価されています。シタラマン財務相は、「インフラと生産能力への投資は、成長と雇用に大きな乗数効果をもたらす」と述べ、資本支出は3年連続で大幅に引き上げられるとしました。

また、予算案には、電気自動車(EV)を含む輸入車・オートバイの税率引き上げも盛り込まれました。モディ首相が推進する「メイク・イン・インディア」にのっとり、国内での生産拡大を支援する方針です。インドの自動車販売台数は、2022年に日本を抜いて世界第3位に躍り出たと伝わるなど、消費市場としての魅力にも注目が集まっています。更なる成長が期待される市場であるインドに、海外企業が製造拠点を構える動きが更に加速する可能性もありそうです。

ついに中国を抜き、インドが人口世界一に

中長期的に高い経済成長が続くと期待される要因の一つは「人口」です。足元では、インドの総人口が中国を上回り「世界一」になったとされ、大変な話題となっています。

更に、ただ人口が多いというだけではなく、注目すべきはその人口構成の若さです。国連の統計によると、インドの年齢階層別人口は10代、20代がそれぞれ約2.5億人、30代も約2.2億人です。つまり、20代だけで日本の総人口の約2倍ということになります。「世界一の人口」であると同時に、「人口ボーナス期(生産年齢人口が多く、豊富な労働力で高度な経済成長が可能な状態)」が続くことで、今後の経済成長に期待が高まっているわけです。

国際通貨基金(IMF)によると、インドの経済規模(名目GDP)は、2022年に既に英国を抜いて世界第5位に浮上しました。そして、2027年あたりには日本を上回り、米国、中国に次ぐ世界3位になると見込まれているのです。

人口増×所得増、掛け算の成長期へ

インドは都市化による一人当たり所得の増加余地が大きいことも見逃せないポイントです。インドの都市人口比率は35%程度に留まっており、他のアジア諸国に比べてもまだまだ伸びしろが大きいといえます。

歴史を振り返ると、都市に国民が集中するにつれて、一人当たりGDPが右肩上がりに上昇する傾向がみられます。つまり、今後インド経済は「人口増×所得増」で掛け算の成長期を迎えることとなり、市場規模という観点においても、世界から熱視線が注がれることになりそうです。

インドの所得が向上すると、今後は先進国で普及しているモノやサービスが普及する段階に進むと考えられます。特に、一人当たりGDPが5,000ドルを超えたあたりから家電などの普及率が顕著に高まり、7,000ドル~1万ドルあたりからは新車の保有率が上昇する傾向があります。

現在、インドの一人当たりGDPは2,000ドル台半ばですが、5年後、10年後にはインドでも自動車や家電の普及率が高まる「消費が盛り上がる」時期が訪れる可能性が高そうです。

インド株市場は足元で、「アダニショック(米空売り投資会社がインド財閥アダニ・グループの不正会計・株価操縦の疑惑を指摘した問題)」で揺らいでいます。それでも、中長期的視点では、インドの「力強い成長ストーリー」に変化はなく、今後も世界の投資マネーを惹きつけることとなりそうです。

都市人口比率と一人当たりGDP

出所:世界銀行 作成:岡三証券 ※直近は2021年分

(岡三証券株式会社 投資情報部 マーケット情報グループ 紀 香)

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