「株式は安いときに買って、高くなるまで持ち続ける…でいいですか?」
投資センスあり!? 村上佳菜子が株式投資体験にチャレンジ
プロフィギュアスケーターの村上佳菜子さんが投資の第一歩を踏み出すべく、お金に関する知識を深めていくこの連載。
前回、東京証券取引所(東証)で定期的に開催されている「スクールマネ部!シェア先生の経済教室」に参加した村上さん。シェア先生の講義を受けた後は、参加者の中学生たちと一緒に仮想の株式投資を体験!
投資未経験の村上さんは「そもそも株式投資の仕組みを理解できるかな。難しそう(苦笑)」と緊張気味だが、果たしてその結果は?
仮想の所持金1000万円で「株式投資」に挑戦!
東証オリジナルの株式投資体験ゲームは、仮想の所持金1000万円を元手に、架空の会社3社(北浜自動車、兜銀行、ドラゴンガス)の株取引を体験する。
ゲーム内では、10日間の売買を疑似体験することになる。その間、金融政策や自然災害、為替相場の変動など、さまざまなニュースが飛び込んでくるため、株価の変動を予測しながら売買していくことになる。
ゲームがスタートすると、村上さんはさっそく北浜自動車を100株購入。「あ、下がってる」「いま安そう」と場を見極めながら、兜銀行やドラゴンガスの株式も購入していく。「300株くらい買っておこうか」と、大胆な一面も。
ひとつめのニュースは「景気回復宣言」。ニュースが出た直後から、全社の株価が上がり始めた。「100株売ってみようかな」と機動的に判断していくものの、「下がったら買い時なのかな?」「すごい株価が動くじゃん」と、やや翻弄され気味。
続くニュースは「円安」。輸出が多い会社は利益が増えるが、輸入が多い会社は利益が減るため、燃料を輸入しているドラゴンガスは株価が下がる可能性が高い。村上さんは「よしっ、このタイミングでドラゴンガス買っておこう」と、株価が低くなったタイミングで株式を買う思い切りの良さを見せつつ、ドラゴンガスの株価が上がっても「もうちょっと待とう」と、じっくりと粘って状況を読んでいく。
時間が過ぎていくなかで、「インフレターゲット政策で金利が上昇」というニュースが出て兜銀行の株価が上がったり、「円高」というニュースで北浜自動車の株価が下がったりするイベントが立て続けに起こっていく。
ドラゴンガスの株価が下がったタイミングで大量に購入するという判断をした村上さんは、取引日数残り1日のタイミングで「ドラゴンガス調子いいかも、売っちゃおうかな」と、保有している株式の半分を売却。その直後、「シェールガスの発見でガスの価格低下に期待」というニュースが出て、ドラゴンガスの売上アップに伴い株価も上昇。「いま!? あんなに売っちゃった…」と後悔するも、「でも、また上がったときに売ればいいか」とすぐに切り替える。
最後、「日銀の政策を受けて日本経済が上昇局面」というニュースが出ると同時に、すべての株式が上昇傾向に。「もうちょっと上がる気がする」と、ここでも粘りを見せる。ゲーム終了のギリギリで売却していった村上さんの結果は…。
10日間終えた時点での村上さんの保有資産は1127万8132円で、参加者21人中7位という結果に。元手が1000万円だったため、約128万円の儲けを得られたということになる。「意外と増えましたね。株式投資の仕組みがわかった気がするし、ワクワクしました」と、村上さんも満足気。
ちなみに、1位(保有資産1308万8790円)はお子さんと一緒に参加していたお父さんだったが、僅差の2位(1308万7134円)は中学生だった。かなりの判断力の持ち主といえそうだ。
「興味のある業界なら株価の予想もしやすいのかも」
――シェア先生の経済教室に参加して、知識は深まりましたか?
「そうですね。シェア先生の経済の話の後に株式投資体験ができたので、情報がつながった感覚があります。実際に体験することで、こうやって投資するんだって、仕組みがわかってきました。
売ったり買ったりする方法は実践してみないとわからないけど、いきなり自分のお金だと恐いから、ゲーム形式でできたのはありがたかったです」
――村上さんの投資スタイルも見えましたね。
「とりあえず安いときに買っておいて、長く粘るタイプでしたね。いけるところまでいってほしいなって(笑)。いろんなニュースが出て株価も動いていましたけど、現実もゲームみたいに株価が動いていくんですよね」
――そういう側面もあるでしょうね。
「円安だと日本社会がどういう状態になるとか、ちゃんとニュースの内容をわかっていないと、どの会社にどういう影響が起きるかわからないんだなってことも実感しました。現実はゲームみたいにヒントを与えてもらえないから、情報や知識を蓄えて、自分で見極めていかないといけないってことですよね。
だから、自分の好きなものや興味のある分野だと始めやすいんだなって納得しました。私だったらメイクに興味があるから、化粧品メーカーの情報は得やすいだろうし、スケートに関することもわかるのかなって」
――興味のあるものだと、新商品が発表されたタイミングで株価が上がるかなと、予想もしやすいですよね。
「私みたいにニュースの理解がまだ追いつかないタイプは、新商品とかわかりやすい情報で考えていくほうが、始めやすいのかも。投資への単純な興味だけじゃなくて、経済って面白いなって思えてきました。
あと、講義のなかで見たお菓子屋さんを目指す女性のストーリーが印象的でした。私はどちらかというと投資する側よりも、この女性のように投資してもらって会社を立ち上げる側のほうが共感できるかもしれません。
スポーツウェアを出したいとかカフェを開きたいとか、将来やりたいことがたくさんあるから、私は会社を立ち上げて上場まで持っていけるように頑張る側なのかなって発見もありました」
「若いうちに投資を学ぶことで将来の選択肢が増えそう」
――中学生の皆さんも、しっかり勉強していましたね。
「みんな、頭がいいんでしょうね(笑)。私は以前いろいろ質問させてもらって、説明していただけたうえで、今回があるから理解できたけど、今日初めて経済や投資の話を聞いていたとしたら、疑問がいっぱい浮かんだと思います。
私と一緒で、最後に株式投資体験をしたことで、講義で得た知識がしっかり身についた子も多いと思うので、講義と実践がセットになっているのはいいですよね。
いまは学生で会社を立ち上げる子もいますし、経済に興味がある子が多いんだと感じます。私が子どもの頃は、スケートのことしか知らなかったですもん(笑)」
――時代の変化を感じますよね。
「そうですね。若いうちから投資のことを学んでいくと、将来の選択肢が増えると思うので、こういう学びの場があるっていいですよね。いまの時代に生まれたかったなって思います。28歳で学ぶより10代のうちに学んでいたほうが、その子たちが28歳になったときにもっとディープなところまで探求できると思うので、うらやましいです」
――若いうちに触れておくと、投資もポジティブに受け止められそうですよね。
「投資って言葉だけ聞くと怖いイメージがあるけど、私はちゃんと仕組みを説明してもらえたことで、その怖さを払しょくできた部分があるので、学生もきっと同じですよね。
前回話を聞いて『投資してみよう』と思ったときから時間が経ち、また不安になってきてたんですけど、今日講義を受けて、株式投資体験もして、より前向きになれました。10歩くらい前に進めた感じ。だいぶ取引の仕組みがわかってきたので、どうしたら株価が動くのかというところの知識をもっと増やしていきたいですね」
――この連載を通じて、知識を深めていきましょう。
「連載が終わる頃には、自宅にトレード部屋をつくって、ガンガン株式投資してるかもしれませんね(笑)」
株式投資体験をしたことで、経済や投資の仕組みを体感的に学ぶことができた村上さん。さらに経済や投資に対する理解を深めるため、次回以降もさまざまな場所に飛び込んでいく。
(取材・文:有竹亮介/verb 撮影:鈴木真弓)