iDeCoやNISAで活用しやすい商品をFPが直伝!

株? 投資信託? ETF? 新社会人の投資に向いてる金融商品はどれ?

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新社会人になり、iDeCoや企業型DC、NISAなどの制度に興味を抱いている人は多いだろう。これらの制度は運用益が非課税になるという特徴があるが、何もしなくても勝手に利益が得られるわけではない。

制度を利用する際に、株や投資信託など、投資する先を選ばなければいけないのだ。ただ、投資経験がないと、見当もつかないだろう。

そこで、ファイナンシャルプランナー兼社会保険労務士の川部紀子さんに、新社会人に向いている投資について教えてもらった。

金融商品「株式」「債券」「REIT」について

「投資というと株式をイメージする人が多いと思いますが、ほかにもさまざまな方法があります。まずは、次の3つを押さえましょう」

●株式
株式とは、企業が資金の出資を受ける対価として、出資者に対して発行する証券のこと。企業は出資者に対して出資額の返済義務がなく、配当の実施有無や金額は業績に応じて決定する特徴がある。そのため、投資家が企業に要求するリターン(資本コスト)が大きく、市場価値(株価)も変動しやすいことから、”ミドルリスクミドルリターン”から”ハイリスクハイリターン”といえる。なお、日本には上場している株式は約3800社ある。

●債券
債券とは、企業が資金の貸付を受ける対価として、債権者に対して発行する証券のこと。企業は債権者に対して返済義務を負い、利息は業績によらず予め決まった期日に支払うという特徴がある。利率が固定されているものも多く、株式に比べると”ローリスクローリターン”といえる。

●REIT(リート)
投資家から集めた資金を元手にオフィスビルや商業施設などの不動産へ投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や売買益が投資家に分配される金融商品。そのため、安定的なインカムゲインを得やすいこと、インフレに強いことが特徴とされる。不動産市況や景気変動の影響を受けて値が動くが、稀に株式や債券と同じ値動きをしないこともある。一般的には”ミドルリスクミドルリターン”といえる。

「ここで、どの会社の株式、どの国の債券、どのタイプのREITを選べばいいのだろう? という疑問が浮かぶでしょう。その選択が難しいところだといえます。相当数の銘柄があり、どの銘柄が利益を得られるか判断するのは、困難だからです。さらに、株式に関しては100株単位で購入するため、数十万~数百万円は必要になります。新社会人にとっては、現実的ではない金額でしょう」

そうなると、新社会人に投資はできないということだろうか。

「そんなことはありません。iDeCoや企業型DC、NISAなどを通じて購入できる『投資信託』を活用すれば、新社会人でも少額から投資を始めやすいといえます」

複数の株式や債券を組み合わせた金融商品「投資信託」

●投資信託
投資家から集めたお金をひとつにまとめ、その資金を元手に運用会社が株式・債券・REITなどに投資し、その運用成績に応じた利益が投資家に配分される金融商品。

「簡単にいうと、さまざまな株式や債券、REITをまとめたパッケージ商品というイメージです。自分で銘柄を選ばなくても、証券会社が選んでくれるので、手間が省けます。また、投資信託は月々1000円や1万円などの少額での積立投資もできるので、手元の資産が少なくても始めやすいといえます」

投資信託は、株式・債券・REITなどをさまざまな比率で組み合わせたものもあれば、株式のみで構成するものや債券のみで構成するもの、国内の資産のみのもの・海外の資産のみのもの・国内外の資産を含むものもある。また、割安株や成長株などに絞り込まれているものや、「ESG」などのテーマに沿った銘柄で構成されているものもあるため、投資に対する考え方や興味の範囲などに合わせて選べるだろう。

「投資信託を選ぶ際に、まず覚えておきたいのは、リスクとリターンの傾向です。大きく2つの軸があります。1つは、先ほど紹介した『株式』『債券』『REIT』という金融商品の種類。もう1つは、『国内(日本)』『先進国』『新興国』という投資対象となる国です」

2つの軸を、上から値動きが大きい順に見てみよう。

●金融商品
・株式
・REIT
・債券

●投資対象の国
・新興国
・先進国
・国内(日本)

この2つの軸をかけ合わせると、国内債券がもっともリスクもリターンも低く、新興国株式がもっともリスクもリターンも高いことになる。

「リスクとリターンの傾向を覚えておくと、投資信託を選ぶ際のヒントになります。投資信託の名称に『新興国株式』とあったら、リスクもリターンも高い商品だと判断できますよね。それでも選ぶのが難しいと感じるようであれば、さまざまな資産を組み合わせたバランス型の商品もあります。例えば、8つの資産(※)を組み合わせた『8資産均等型(バランス型)』を選ぶと、国内外の株式や債券、REITの真ん中を狙うような運用ができるでしょう」

※8つの資産とは、「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」「国内債券」「先進国債券」「新興国債券」「国内REIT」「先進国REIT」の8つを指す。

投資信託の選び方は人それぞれ異なるものになりそうだが、新社会人の選び方の一例を、川部さんに聞いてみた。

「20代前半の新社会人で、これから投資を始めるのであれば、失ってすぐに困るような資産がまだほとんどない状態ですし、そもそも投資に回せるお金もほとんどないでしょう。ですから、株式のみで構成した投資信託で多少はリスクを取っても問題ないと思います。ただし、注意すべきは、身の丈に合った金額を見極めて投資をすること。生活費や将来的に必要なお金を確保したうえで、使う予定のないお金を企業型DCやiDeCo、NISAなどに回し、投資信託で運用しましょう。借金してまで投資をするのはNGです」

株式投資に興味がある人の最初の一歩は「ETF」

ここまで投資信託について教えてもらったが、株式投資に興味がある人は、試しに個別株を買ってみるのもいいだろうか。

「業績が良くなるであろう会社を選ぶのはとても難しく、投資経験があっても見極められないものです。それでも株式投資に興味があるということであれば、まずはETFから始めてみましょう」

●ETF(上場投資信託)
日経平均株価やTOPIX、S&P500などの指数に連動する運用成果を目指す金融商品で、個別株と同じように東京証券取引所などの金融商品取引所で売買できる。

「ETFを簡単に説明すると、商品としての形は投資信託で、売買の仕方が個別株と同じという商品です。1日に1回だけ値段が決まる投資信託とは異なり、ETFはリアルタイムで値段が変わり、市場が開いている時間ならいつでも売買が可能です。つまり、マーケットの動きに合わせて機動的に売買することが可能です」

個別株は数十万~数百万円が必要になる銘柄が多いが、ETFであれば2万円程度から購入できる銘柄もある。金額的にも始めやすいといえるだろう。また、NISAでの活用も可能だ。

「つみたてNISAだと月々の積立投資になるので、ETFを使ったとしてもリアルタイムでの売買はできません。一般NISAであれば、個別株のような売買を経験できるでしょう。最近はポイントで投資擬似体験できるサービスもあり、そこで投資に慣れるのもいいかもしれません」

ETFの運用を行うことで、「利益を得ること以外のメリットも考えられる」と、川部さんは話す。

「ETFは、日経平均株価やTOPIXといった指数に連動して値動きするので、保有することで世の中の動きに敏感になるという効果が考えられます。『なんで今日は日経平均株価が上がったんだろう?』といった興味や疑問が湧き、投資や経済について学ぶきっかけになるでしょう」

投資信託でも同様の指数に連動する銘柄はあるが、ETFだと市場が開いている間に自身で機動的に売買ができるため、より敏感に世の中を見ることができるだろう。

ひと口に投資といっても、その対象となる金融商品はさまざま。まずは投資の取り組み方や捻出できる金額などを整理し、自分の考えに合うものに投資しよう。
(取材・文/有竹亮介(verb))

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お話を伺った方
川部 紀子
FP・社労士事務所川部商店代表、ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士。日本生命保険相互会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・プランニングに携わる。2004年、30歳の時に起業。個人レクチャー・講演の受講者は3万人を超えた。著書に『得する会社員 損する会社員』『今すぐはじめられる NISAとiDeCo』がある。
著者サイト:http://kawabe.jimusho.jp/
著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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