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2023年6月号「投資環境レポート」

長期経済展望と最適資産配分

提供元:野村アセットマネジメント

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野村アセットマネジメントでは、毎月、世界経済や金融市場の注目点を投資環境レポートとしてお届けしています。

6月の投資の視点は、「長期経済展望と最適資産配分」です。

<注目点>

●長期的な視点で金融資産の最適配分を考えるにあたっては、生産・物価に関する経済予測と、それらによる資産価格の影響を適切に捉えていくことが重要である。

●また、足元の物価高が近年の趨勢に反して長期化している状況などを鑑みると、経済予測は複数想定することが適当だろう。最適資産配分は、目標とする投資収益率だけでなく、経済シナリオにより多様な結果が得られる。

●ただし、各資産の投資収益率は経済シナリオに応じて仮定していくことが必要で、整合性を保つのも困難である。ここでは定量的な手法により、経済シナリオの数が増えても比較的容易に最適資産配分を推定していくことを行っている。

長期経済展望の主なシナリオ

2020年のコロナショック以降、世界的な供給不足による物価上昇やロシアのウクライナ侵攻などを経て、金融市場を取り巻く環境は大きく変化した。2022年には、米欧などの中央銀行が従来の緩和姿勢から利上げ政策に転換した結果、株式、債券共に期間収益率が大幅に低下した。

今年4月に発表された国際通貨基金(IMF)の5年先の経済見通しでは、インフレ率は徐々に鎮静化していくことが想定されている。当社も「基本シナリオ」ではそれに近い見方をしている。

しかし、コロナ後の経済や市場の情勢の変化を鑑みると、「基本シナリオ」だけでなく、さまざまな環境変化を想定したシナリオも考えていく必要があるだろう。さらには、長期的な構造変化として実現しうるその他のシナリオも「リスクシナリオ」として考えていくことが望まれる。

リスクシナリオは、同じテーマであっても、着目する点が何かにより経済に与える影響が異なる場合がある。例えば、人口動態が物価に与える影響を考えた場合、(1)生産年齢人口の減少が賃金上昇圧力をもたらすという面に着目すると、物価高は継続するという見方ができる。一方、(2)勤労世代全体の消費額が抑えられていく可能性に着目すると、物価は減速に向かいやすいという見方になるだろう。

他のリスクシナリオについても同様のことがいえるが、ここでは一意に仮定をしている。例えば、(3)環境関連投資の増加(グリーン化)は「生産拡大・物価加速」に、(4)米中間の対立の激化や地政学リスクなどの世界地域の分断化(地域分断化)は「生産縮小・物価加速」、(5)AIや省力化の急速な発展(生産性向上)は「生産拡大・物価減速」などとしている(図2参照)。

基本シナリオの最適資産配分

基本シナリオでは、各資産(ここでは国内株式、米欧株式、新興国株式、国内債券および米欧債券の5資産を対象とする)の期待投資収益率は、対象地域の経済成長率、インフレ率などに基づき推定をしている。将来5年間の国内株式の期待投資収益率は年率で+6%強、米欧株式の場合は円ヘッジベース(為替変動リスクを回避した場合の投資収益率)で+3.5%程度としている。

価格変動率(推定リスク)は主に過去の価格変動率を基礎としているが、概ね期待投資収益率と比例した関係になっている(図3参照)。対象の5資産の中で期待投資収益率が最も高いのは新興国株式、最も低いのは国内債券だが、それらはそれぞれ推定リスクが最も大きいものと小さいものともなっている。

目標とする投資収益率に対する資産配分を求める際には、上記の各資産の期待投資収益率、推定リスクに加えて、資産間の相関の情報が必要となる。資産間の価格変動の相関が低いほど、それらを保有した場合に損失を抑えられる確率が高まる。国内株式と共に別の資産を保有する場合、海外の株式を保有するよりは、債券を保有するほうがリスク分散効果がはたらきやすくなる。

各資産の期待投資収益率と推定リスク、および資産間の相関から求められる最適資産配分は、目標とする投資収益率によってさまざまな結果となる(図1参照)。

目標投資収益率を年率+3%とする場合は、国内債券の保有割合が半分近くを占め、その後に国内株式がおよそ20%、残りは新興国株式、米欧債券、米欧株式の順の配分となる。他方、目標投資収益率を+5%とした場合には、最も保有比率の高かった国内債券の保有は無くなり、国内株式、新興国株式、さらには米欧債券が保有比率の多くを占める形へと変化する。

2023年6月号「投資環境レポート」の続きは、こちらからご覧ください。

当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社の見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。

(提供元:野村アセットマネジメント)

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