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2024年に生まれ変わるNISA プロが語る!資産形成のすゝめ

「つみたて投資枠は600万円まで」は誤り?

新しいNISAよくある誤解10選

提供元:三菱UFJモルガン・スタンレー証券

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NISA(少額投資非課税制度)は、その口座で購入した一定額までの株式や投資信託などから得られる利益が非課税になる制度です。2024年以降の新しいNISAは、従来の一般NISAとつみたてNISAを一本化し、抜本的に拡充・恒久化することが公表されました。

ただし、改正に伴い誤解も多いようです。使い勝手が良くなった新しいNISAを最大限に活用できるよう、今のうちに確認しておきましょう。

新しいNISAの概要

改正後の新しいNISAと現行NISA、それぞれの制度の内容をまとめました。

現行NISAと新しいNISAの概要(2023年6月1日時点)

新しいNISAでは、成長投資枠(一般NISAに相当)とつみたて投資枠(つみたてNISAに相当)を併用することが可能になります。

年間投資枠は最大で360万円(成長投資枠とつみたて投資枠を併用した場合)、非課税で保有できる金額の上限(非課税保有限度額)は1,800万円に拡大され、非課税保有期間を気にすることなく長期的に利用できるようになります。

また非課税保有限度額は、金融商品を売却した後にその枠を再利用することも可能です。新しいNISA制度への移行により、これまで以上に資産形成の機会が増えると言えるでしょう。

新しいNISAの仕組みについての誤解

ここからは、新しいNISAに関して誤解しがちな点について解説します。理解していたつもりでも「実は誤解していた!」と感じる点があるかもしれません。

誤解1:新しいNISAでは、現行NISAと同じ金融機関を選ばなくてはならない
   →【変更できる】

現行NISAと新しいNISAは別の制度です。新しいNISAの口座は同じ金融機関でなければならないということはありません。また、一般NISA、つみたてNISAと同様に新しいNISAも1年単位で変更できます。

なお、金融機関の変更を検討している場合、今年になって買付けを行っていなければ、9月末までに変更手続きをして、変更後の金融機関で現行NISAの投資枠を使うことも可能です。

誤解2:現行NISAと新しいNISAは併用できない
   → 【現行NISAで新規投資はできないが保有はできる】

現行NISAの制度は2023年で終了する見込みですので、2024年以降は新規投資ができません。

しかし、2023年に投資して2024年以降に非課税保有期間の終了を迎える場合でも、一般NISAなら5年、つみたてNISAは20年、ジュニアNISAは18歳になるまで現行の非課税期間は保有することができます。

一般NISAとジュニアNISAは、ロールオーバー(翌年の非課税投資枠に移管)の利用も2023年までです。非課税保有期間が終了した場合は売却するか課税口座へ移すことになります。

誤解3:現在のNISA口座で投資すると新しいNISAの枠から引かれる
   → 【現行NISAは新しいNISAと別枠なので引かれない】

現行のNISA口座で投資を行っても新しいNISAの生涯の非課税保有限度額1,800万円から引かれることはありません。

現行のNISAは2023年で終了する見込みとなり、2024年以降の新規投資はできませんが、新しいNISAとは別枠で、それまでに投資した金融商品を一定期間非課税で保有することができます。

現行のNISA口座を利用している人もしていない人も、新しいNISAの非課税保有限度額は同じであるため、現行NISAを利用している人の方が合計の運用金額は多くなります。

成長投資枠についての誤解

誤解4:一般NISAと同様に上場株式や株式投資信託なら制限なく投資できる
   → 【信託期間20年未満の投資信託などは投資対象から除外】

一般NISA口座で投資できる金融商品は、国内・海外上場株式、株式投資信託、国内・海外ETF、ETN(上場投資証券)、国内・海外REIT(上場投資信託)、新株予約権付社債(ワラント債)でしたが、新しいNISAの成長投資枠では一部制限が加わります。整理・監理銘柄の上場株式や、信託期間20年未満、高レバレッジ型・毎月配分型の株式投資信託等は投資対象から除外されることになりました。

※実際に購入できる金融商品は金融機関によって異なります。

買付け方法の変更はなく、通常の買付け、積立投資どちらでも構いません。成長投資枠の非課税保有限度額は1,800万円のうち1,200万円、年間投資枠は240万円です。

誤解5:成長投資枠ではつみたて投資枠の商品が買えない
   → 【つみたて投資枠の商品も買える】

つみたて投資枠で投資できる投資信託は、成長投資枠で投資できる金融商品の要件も満たしていますので、購入できます。

つみたて投資枠で投資できる金融商品は、つみたてNISA口座で投資できるものと同じです。対象となる商品は、手数料が一定水準以下である、毎月配分型ではないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託とETFに限定されています。

つみたて投資枠についての誤解

誤解6:成長投資枠とつみたて投資枠は併用できない
   → 【併用できる】

現行のNISAでは、一般NISAとつみたてNISAの併用はできませんが、新しいNISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能です。年間投資枠(上限)は、成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円の合計360万円となっています。

つみたて投資枠で低コストの投資信託を購入し、同じ投資信託を成長投資枠で購入することも可能です。成長投資枠では、通常のスポットでの買付け(自分のタイミングで自分が決めた金額を購入すること)のほか、積立投資を行うこともできます。

誤解7:つみたて投資枠は600万円まで
   → 【1,800万円まで使える】

新しいNISAの非課税保有限度額の全てをつみたてNISA枠として使うこともできます。

新しいNISAの非課税保有限度額は1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円ですから、つみたて投資枠は差額の600万円と考える人もいるかもしれません。しかし、成長投資枠はあくまでその上限を超えない範囲で利用することが定められているだけです。つまり、つみたて投資枠の年間の上限は120万円であるため、15年かけて、1,800万円の非課税保有限度額の全てをつみたて投資枠で利用することが可能です。

運用益や売却についての誤解

誤解8:運用益が増えて1,800万円を超えたら課税される
   → 【取得対価の額で計算するため課税されない】

新しいNISAは非課税保有限度額の枠を「簿価残高方式」で管理します。利益ではなく取得対価の額をもとにして管理しますので、運用益が増えて1,800万円を超えても課税されません。

例えば、つみたて投資枠で毎月5万円ずつ30年積み立てると、投資した元本は1,800万円になります。年3%で運用できるとすると30年後の運用益を含めた資産総額は約2910万円。投資元本との差額は約1,110万円になりますが、どれだけ増えたとしても非課税です。

誤解9:売却するとその売却金額分がまた買える
   → 【購入時の投資額分しか買えない】

現行のNISAと異なり、新しいNISAは非課税保有限度額の枠の再利用が可能です。売却すると運用益を差し引いた購入時の投資額分が再利用できます。

例えば、700万円投資した商品を1,000万円で売却する場合(運用益300万円)、非課税投資枠から空くのは投資額である700万円です。空いた700万円の枠を利用して改めて金融商品を購入することができます。仮に700万円投資した商品を500万円で売却した場合(運用損200万円)でも、同様に700万円の投資額分が空くことになり、その枠を再利用できます。

誤解10:売却したらその年の投資枠に上乗せして買える
     → 【年間の投資枠に上乗せはできない】

年間の投資枠が優先されますので、売却分の購入時投資額を上乗せすることはできません。

新しいNISAでは、売却して空いた投資枠をもう一度利用できますが、年間に利用できる投資枠は、成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円とそれぞれ限度額が定められています。また、再利用できるのは、売却の翌年以降となります。

新しいNISAの開始を待たずにNISAを始めるメリット

新しいNISAは、現行のNISAとは別枠で新設され、非課税保有限度額も拡大しました。また、非課税保有期限を気にする必要もなくなりますので、ご自身の投資戦略において期待している人も多いのではないでしょうか。

現行NISAを2023年から始めたとしても、新しいNISAの非課税保有限度額が減るということはありません。少しずつ投資の知識も増やしながら、長期的に資産を作っていくきっかけにしてはいかがでしょうか。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)

著者/ライター
藤原 洋子
専業主婦期間を経て国内大手保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品・貯蓄商品等の販売を行う。退職後、独立系ファイナンシャル・プランナーとして活動。長期的な視点での資産形成についてアドバイスを行う。FP事務所の運営、執筆、マネー相談、職業訓練、勉強会の運営などを行っている。投資歴は6年、老後資金を準備するため積立投資を実践中。
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