思わぬミスにご用心

やってはいけないふるさと納税7つの注意点

提供元:Mocha(モカ)

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応援したい自治体と使い道を指定できる税金が「ふるさと納税」です。社会貢献ができるうえに返礼品がもらえ、所得税・住民税の控除が受けられることが魅力です。しかし、期限ギリギリでふるさと納税をしようと考えていると、思わぬミスをしてしまい、かえって寄付が高いものになってしまうことがあります。

今回は、ふるさと納税でよくありがちなミスと注意点を7つ、紹介します。

ふるさと納税のミス・注意点1:ふるさと納税の寄附金控除の手続きをしなかった

ふるさと納税で受けられる寄附金控除は、1年間に2000円を超える金額を寄付した場合に、超えた金額を本来納める税金から差し引く制度です。寄附金控除を使うためには、本来確定申告が必要です。寄付の翌年2月16日から3月15日までに確定申告をします。

毎年確定申告をしている人は別として、年末調整だけで終わるサラリーマンは、確定申告のハードルが高いと感じる人が多いので、申告時期には時間的余裕を確保しておきましょう。

また、ふるさと納税で寄付した自治体が5か所以下で確定申告をしなくてもよい会社員などは、確定申告をしなくても、寄付した自治体にワンストップ特例の適用を受ける申請書を寄付の翌年1月10日までに提出することもできます。いずれにせよ、ふるさと納税では期日までに寄附金控除を受けるための手続きをしなければ、税金が差し引けません。

なお、もし手続きが期日までに間に合わないときでも、税金の還付が目的の場合には、確定申告書の提出期限から5年以内であれば、税務署に更正の請求をすることによって、税金を取り戻すことができます。

ふるさと納税のミス・注意点2:ふるさと納税の上限額を超えてしまった

ふるさと納税の自己負担が2000円で済む寄付金額の目安は、住民税の所得割額の2割までになっています。そのため、収入や家族構成によって、ふるさと納税の上限額は異なります。また医療費控除や住宅ローン控除などがある場合には、ふるさと納税の自己負担が2000円で済む上限額の金額がさらに少なくなります。つまり、ふるさと納税の寄付金額が上限額を超えてしまった場合、自己負担額が増えることになります。寄付をする前に、ふるさと納税の寄付金額のシミュレーションができるポータルサイトなどを利用して、上限額内に収まるように確認しましょう。

ふるさと納税をする時点では、その年の年収が確定していません。去年よりも今年の年収が大きく減少してしまった場合には、年収の見込額も減ってしまいます。それからその年、生命保険や地震保険などを新しく契約した、個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)に加入した場合など、所得控除が増えた場合などはうっかりしていると上限額を超えてしまうケースがあるので、注意しましょう。

ふるさと納税のミス・注意点3:ふるさと納税の寄附金受領証明書をなくした

ふるさと納税によって税金を少なくするには、原則として寄附金受領証明書を添付して確定申告を行う必要があります。確定申告の時期には混み合うこともあり、寄附金受領証明書は、再発行してくれない自治体もあります。普段から確定申告をする必要がない人は、領収書の保管に慣れていないことが多いかもしれません。医療費控除のレシート同様、ふるさと納税の寄附金受領証明書を金券だと思って、箱に入れるなど1か所に保管するよう心掛けましょう。

なお、2021年分の確定申告からは、ふるさと納税のポータルサイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」を利用することでも確定申告できます。寄附金控除に関する証明書は、ふるさと納税を行なったポータルサイトでダウンロードが可能です。同じポータルサイトでのふるさと納税ならば1枚にまとめて手続きできるので、こちらを利用した方が便利でしょう。e-Taxやマイナポータルへの連携にも対応しています。

各市町村にワンストップ特例申請を出すときには、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出しなければなりません。なくさないように保管してくださいね。

ふるさと納税のミス・注意点4:医療費控除や雑損控除など、ふるさと納税とは別の確定申告をすることになった

ふるさと納税で寄付した自治体が5か所以下で、確定申告をしなくてもよい会社員などの一定の要件を満たす人は、確定申告を行わなくても寄付した自治体に届け出るだけで自動的に住民税が安くなる「ワンストップ特例制度」が利用できます。

しかし、ふるさと納税がワンストップ特例で済むはずだった人も、医療費控除などをする場合には、原則に戻って確定申告によって寄附金控除を受ける必要があります。ワンストップ特例申請をしても、確定申告をした時点でワンストップ特例は無効になるので、特別寄付した自治体に連絡をする必要はありません。

しかし、寄付した自治体が少ないからとふるさと納税の寄付分の確定申告を行っていない場合には、税金が安くならないという結果になります。ですから、確定申告をする場合はふるさと納税の寄附金控除の手続きを忘れずにするようにしましょう。

なお、ふるさと納税の寄付金額の記載を忘れたまま確定申告をしてしまった場合には、「更正の請求書」を提出しましょう。

ふるさと納税のミス・注意点5:ふるさと納税で6自治体以上に寄付をしてしまった

ふるさと納税で確定申告をしなくても住民税が安くなるワンストップ特例制度は、寄付した自治体が5か所以下という要件があります。そのため、6自治体以上への寄付の場合には、寄附金控除として確定申告をする必要があります。ワンストップ特例制度を受ける申請書を出していたとしても無効になるので、注意しましょう。ただし、1つの自治体に複数回寄付をしても、自治体数は1つと数えます。

ふるさと納税のミス・注意点6:収入がゼロなのに、ふるさと納税を申し込んだ

ふるさと納税は、税金支払う収入がある人が寄附金控除を利用することで税金を安くできるものです。所得税や住民税を納める必要がない人がふるさと納税をしても、その自治体に返礼品の金額だけ自己負担をしただけになります。

またふるさと納税の寄付の申し込みとクレジットカードの名義は、同じでなければなりません。収入がゼロの妻が、納税する夫に代わって自分のクレジットカードを使ってふるさと納税を行うと、寄付をする人とクレジットカードの決済者が異なるため、寄附金控除ができないことになります。寄付者と納税者の名義が異なると控除が受けられないことを頭に入れておきましょう。

ふるさと納税のミス・注意点7:勘違いして同じ自治体にふるさと納税をしてしまった

ふるさと納税では、時期が変われば返礼品を変えるという自治体もあり、年間に複数回寄付を受け付けるというところもあります。ふるさと納税の返礼品に関しては、年間に何回寄付をしても1回限りという自治体もあります。ふるさと納税で寄付をする前に返礼品の回数についても確認が必要です。

領収書等の管理ができていないと、誤って同じ自治体に寄付をしてしまい、返礼品がもらえない事態も発生しかねません。自治体によっては、1~12月の暦年単位で1回のみの場合もあれば、4月~翌年3月の年度単位で1回のみ場合などの制限を設けているところもあります。同じ自治体に2回目のふるさと納税をするときには、あらかじめ条件を確認しましょう。

まとめ

ふるさと納税は、好きな自治体に寄付ができる制度。2000円を超える部分は税金から差し引け、自治体からは返礼品がもらえます。しかし、手続きをミスするとかえって損する場合もありますので、今回ご紹介したようなミスがないように注意しましょう。

特に納付書を発行してもらう銀行振込の場合は、年末ギリギリに選んでしまうと入金確認が年明けになってしまい翌年分の扱いになってしまうことがあります。自治体によっては、ふるさと納税の締め切りを12月31日ではなく、「○日までの申し込みまでが本年分」と早い締め切りを設定していることもあります。余裕を持って、ふるさと納税の申し込みをしましょう。

なお、ふるさと納税の寄附金控除がきちんと反映できているのかは、5~6月にもらう住民税決定通知書の「税額控除額」欄などで確認できます。自治体によっては、摘要欄に記載がされている場合もあります。

ワンストップ特例制度を利用したふるさと納税だけの場合、住民税決定通知書の税額控除額とふるさと納税の寄付金額から2000円差し引いた金額が一致することになります。また、確定申告の場合には、所得税からの控除額と住民税からの控除額の合計が、寄付金額から2000円差し引いた金額と同じになれば、控除が正しく受け付けられていることになります。

節税もかねて自治体に寄付を申し込んでいるのですから、ふるさと納税の返礼品をもらうところで終わるのではなく、税額に反映できているかも確認しましょう。

[執筆:ファイナンシャルプランナー 池田幸代]

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