「投資INSIDE‐OUT」
今年もまた秋の経済対策がスタート ~財政を考える シリーズ(1)~
提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント
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今次経済対策には厳しめの意見が多い
このところ年中行事のようになってきた感もある秋の経済対策の策定が、9月26日の閣議で岸田首相から指示されました。同時に、今年度補正予算を編成する方針も示されました。例年どおりであれば、年末にかけて来年度予算政府案の編成も進められます。いわゆる「財政の季節」に入ってきました。
9月29日時点では経済対策の評価に関する世論調査結果はまだ見られていないため、主要全国紙の論調を確認してみます。現在までに社説で経済対策を取り上げた4紙(読売・毎日・朝日・東京)は、いずれも厳しめの評価を示しました。多く見られる論点は3つに大別できます。
1点目は「不要不急」のメニューの多さです。普段は異なる主張になることが多い4紙が揃って指摘した点でもあります。物価高対策はともかく、経済安全保障や防災、物流など、財政法が「特に緊要となった経費」とうたう補正予算の主旨に合わない分野が多いのではないかとの見方のようです。
2点目は、物価高を助長するとの指摘です。既に需給ギャップがプラス(総需要>総供給)に転じているなか、さらに総需要を刺激することで、一段の高インフレを招いてしまう可能性が懸念されています。
3点目は、財政運営に関する指摘です。財務省資料によると、日本の一般政府債務残高の名目GDP(国内総生産)比は255%(2021年)と諸外国と比べても突出した高さで、財政状況は世界172カ国中最下位となっています。政府が保有する金融資産を差し引いた純債務残高(同)でも、データのある85カ国中で85位です。
歴史的に見ても、第2次世界大戦直後(200%強)をも上回り、財務省資料で遡及可能な1869年以降で最大水準です。いわば「明治維新後最悪」の財政状況とも言えます。巨額の債務返済のために将来の増税に直面する可能性がより高い若年世代を中心に、「使える財源があるなら優先的に債務削減に回すべき」という主張があるのも理解できます。
政府の考え方も確認したい
もっとも、政府もこうした事情は承知の上で対策の策定に踏み出したわけです。
本レポートでは「財政を考える シリーズ」として、経済対策や予算編成の動向をウォッチしていきます。次回は、経済財政諮問会議での議論等を確認しながら、経済対策に込められた狙いや背後にある考え方を見ていきます。
秋の経済対策と補正予算は、財源に限りがあることを踏まえ、必要で火急な政策を効果的に遂行していくことが期待されます。
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