「投資INSIDE‐OUT」
ある日銀関係者からのメッセージ
提供元:三井住友トラスト・アセットマネジメント
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◆マイナス金利解除に向けた地ならしとも受け止められた日銀副総裁の発言
12月6日、氷見野良三日銀副総裁(元金融庁長官)が、就任後初の金融経済懇談会に臨みました。公表された講演テキストは、会場となった大分県の偉人・福沢諭吉氏が残した名言などを各所で引き合いに出す工夫を施しながら、自分の言葉で経済情勢や金融政策をわかりやすく説明する、読み応えのある内容でした。もう1人の副総裁である内田眞一氏が日銀プロパーゆえにどうしても注目されがちななか、氷見野氏も、この講演でしっかりと存在感を示したように思われます。
講演内容は、メディアでも大きく取り上げられ、特に日銀が金融政策正常化に踏み切った際の影響分析が注目されました。それもあって、「今敢えて金融政策正常化の影響を解説するということは、近い将来のマイナス金利解除に向けた地ならしを意図したのでは」との受けとめが多かった印象です。翌7日には、植田日銀総裁が「年末から年始にかけて一段とチャレンジングになる」と述べたことや、岸田首相との会談に臨むなど、市場では早期の政策修正観測が強まりました。
◆ある日銀関係者たちも「出口近し」のトーン?
新聞記事等で紹介される匿名の「ある日銀関係者」によるコメントでも、そうした動きは見られています。一字一句、行間まで注目に晒される正・副総裁や審議委員の発言とは異なり、匿名の関係者の発言は注目度は低くなるでしょう。しかし、匿名だからと言って日銀関係者がメディアに向けて規律無く個々人の考えを述べているとはやや考えにくく、日銀による「市場との対話」の一環として注目しておくべきでしょう。特に最近は関係者の発言がピッタリと足並みを揃えているようにも見えます。何らかの意図を持った市場へのメッセージと考えた方が良いのかもしれません。
例えば日本経済新聞の11月29日の記事では、『ある日銀関係者は「日本も物価高が長期化している。欧米と同じようにインフレ対応でビハインド・ザ・カーブ(後手に回る)のリスクが出てきた」と警戒する』とありました。また、『別の関係者は「(解除を)永遠に先延ばしはできない」と話す』とも書かれていました。11月30日には、『日銀関係者も「出口が近いというのは否定しない」』といったコメントも紹介されるなど、どれも「出口近し」のトーンになっています。
◆連続利上げも?
マイナス金利解除の更にその先に向けた発言も出始めています。11月29日の記事には、『日銀関係者は「解除後はゼロ金利に戻して様子を見た上で、その後の金利引き上げの余地を検討することになる」と話す』とありました。12月4日には、『「マイナス金利の解除は、その後何回かの利上げが続くことを前提に考える」と日銀幹部は話す』と踏み込んだ発言も紹介されています。
日銀は、近い将来のマイナス金利解除に加え、更なる利上げを見据えていることも、意図的ににじみ出し始めているのかもしれません。
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