2024年12月末のS&P500は4900を予想
提供元:野村證券(FINTOS!編集部)
野村證券では、米国株の代表的な株価指数であるS&P500指数に関し、2024年12月末に4900と予想しています。米国経済に減速懸念はありますが、イノベーション創出を原動力に、米企業業績は史上最高益更新へ向かうと予想されています。また、米金利低下は株価にはプラスに作用します。企業業績拡大と金利低下を反映し、S&P 500指数は史上最高値更新へ向かうと見込まれます。
図1は、米国の代表的な株価指数であるS&P500指数の、構成企業の一株当たり利益、EPSの推移です。2022年は過去最高となりましたが、続く2023年、24年、25年と毎年史上最高益を更新することが予想されています。
米国経済については、2024年は成長率鈍化が予想されるにも拘わらず、米国企業の業績拡大が予想される要因としては、米国には独自の技術力やビジネスモデルで新しい製品・サービスを投入し、グローバルに業容を拡大している企業が多数あることが挙げられます。そのような企業のイノベーション創出力が、業績予想に織り込まれていることが大きいと推察されます。
株式市場では、株価水準が先行きの業績予想で形成される傾向があります。例えば、2024年末のS&P500指数を予想する場合、12ヶ月予想EPSを用いますので、図中の2025年予想EPSが参考になります。一方、株価水準を考える上では、PERも参考になります。PERは株価をEPSで割って計算される数値で、高ければ企業利益から見て割高、低ければ割安と考えられます。ただし、このPERはこのような単純な割り算であるよりも、むしろ市場の期待を反映します。
ところで、2000年~2023年10月の期間における米長期金利(10年国債利回り)とS&P 500 指数のPERとの関係からすると、米長期金利が4~5%程度であれば、PERは16~20倍程度が妥当と思われます。足元の市場環境では、PERは18.0倍程度が適当と考えられますので、2025年予想EPS275.42 × 18.0倍≒4900ポイントという予想は妥当性があると考えます。
また、図2の通り、2023年12月のFOMC、米連邦公開市場委員会では2024年の利下げ方針が明確化されました。一度の会合で0.25%ずつの利下げがあると想定すると、2024年に3度利下げがあると見込んでいると考えられます。2023年までは利上げが議論されてきた中で、政策金利が利下げ方向となれば米国の市場金利全体も低下することが想定されます。金利が低下する局面ではPERは高値圏で推移しやすくなることから、金利環境も2024年における株価上昇の追い風となることが期待されます。
大きなリスクは2つ挙げられます。1つ目は、インフレが予想以上に長期化することです。米国のインフレは足元で鎮静化しつつありますが、一段の鎮静化に予想以上の時間がかかると、利下げが遅れ、米長期金利が影響を受ける可能性があります。
2つ目は、2024年11月に行われる大統領選挙における議会の状況です。米議会は既に「ねじれ状態」であるため、民主党・共和党いずれの大統領が当選しても、政策遂行が滞りがちな今の状況に大きな変化はないと考えられます。しかし、今以上に政治が混乱した場合には、政府機関の閉鎖による米国全体の信任低下や、重要政策の成立遅延が株価にマイナスの影響を及ぼしかねず、注視が必要です。
米国はこうしたリスクをうまく対処すると期待されますが、ここ数年は世界が想定していなかった新しいリスク、あるいは隠れたリスクが相次ぎました。引き続き、ニュースや信頼できる投資情報によく目配りをして2024年の米国株投資に活かしていただければ幸いです。
(FINTOS! 編集部)