アクティブETFの開拓者に聞く

アクティブETFに外国株ETF、債券ETF…選ぶ楽しみのある野村AMの金融商品

【後編】ETFのパイオニア・野村アセットマネジメントに聞く「アクティブETF」での投資術

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2023年9月7日に上場された「NF・日本成長株アクティブETF(2083)」「NF・日本高配当株アクティブETF(2084)」は、野村アセットマネジメントが運用する日本初のアクティブETF(上場投資信託)。

前編では、野村アセットマネジメントETF事業戦略部シニア・マネージャーの水﨑優駿さんに、2本のアクティブETFの特徴について伺った。後編では、日本のETF市場の現状とこれからについて、聞いていく。

野村のアクティブETFは「新しいNISA」との相性◎

――2023年9月に上場された「NF・日本成長株アクティブETF」「NF・日本高配当株アクティブETF」の利用状況は、当初の想定のとおりでしたか?

「SNSも含め、想像以上に盛り上がったなというのが正直な感想です。特に上場した当初は毎日売買が盛り上がっていて、待望の商品だったんだなと実感しました。アクティブETFという商品自体が日本初だったので注目されたところもあり、新聞などで取り上げられたのも大きかったと思います。さまざまなメディアや投資家の方々から、『どんな商品?』『どういう戦略?』といった問い合わせを多数いただきました。

2024年から始まった『新しいNISA』で活用していただけるように、長期で保有できることを意識してつくったので、ことしはより一層盛り上げていきたいと思っています」

――確かに、「新しいNISA」の成長投資枠ではETFが使えますし、長期投資という点では相性が良さそうですね。

「『新しいNISA』は非課税保有期間が無期限なので、長期で保有することを前提とした『NF・日本成長株アクティブETF』『NF・日本高配当株アクティブETF』は親和性が高いと考えています。ぜひ、選択肢のひとつとして検討してほしいですね」

――ちなみに、「新しいNISA」が始まる前の2023年中は、どのような方がアクティブETFを活用していましたか?

「ETFは、個別株と投資信託のいいとこ取りができる商品なので、個別株で投資している人も投資信託で投資している人も活用している印象があります。

個別株で投資している人のなかには、『自分でポートフォリオを管理するのが大変だから、いっそアクティブETFを使おう』と考える方がいるようです。国内の上場株式は4000銘柄近くあり、自分でピックアップするのが難しい、企業分析の時間が取れない、常に相場に張り付いていられないという方にとっては、ファンドマネージャーによって銘柄選定されているアクティブETFは魅力があるのではないかと考えています。

投資信託で投資している人でも、アクティブETFを使うことで東証が開いている時間であれば好きなタイミングで売買できる、コストを抑えられるという点がプラスに働き、活用する人がいるという話も聞きます」

ETFの魅力は「取引所でのリアルタイム取引」と「低コスト」

――野村アセットマネジメントが日本初のETFを上場してから、そろそろ30年が経ちますが、日本のETF市場はどのように変化してきたと捉えていますか?

「ここ10年くらいの伸びは大きいと感じています。ETFの投資家主体は個人投資家、機関投資家、海外投資家の大きく3つに区分でき、そのすべてからの利用が増えています。特に個人投資家の動きは注目に値します。2~3年前から『インフレ』を実感することが増え、貯金は実質的に目減りしています。投資にもお金を回して資産成長を狙っていかないといけないという意識が徐々に浸透してきており、投資そのものに注目が集まっているところが大きいといえます。

『新しいNISA』が始まったことで、さらに貯蓄から投資への流れが強まると考えられるので、ETFが素晴らしい金融商品だということを継続的に訴えかけていきたいですね。投資家によってニーズはまちまちですが、できるだけ皆様のかゆいところに手が届くようなETFをつくっていこうと考えています」

――アクティブETFが解禁されたことで、多様なニーズにマッチする商品がつくりやすくなったので、今後が楽しみですね。ちなみに、個人投資家にとってのETFのメリットはどこにあると考えていますか?

「一番は、日本株、外国株、REIT、債券やコモディティといったさまざまなアセットクラスを、個別株と同じように取引所でリアルタイム取引できる点だと考えています。ETFというと、TOPIXや日経225など株式を組み入れたものを想像するかもしれませんが、なかにはREIT、債券やコモディティを組み入れたものもあります。リアルタイムで価格が動くので、いま欲しいと思ったときに取引できますし、指値で売買できるところもメリットだと思います。

もうひとつメリットとして挙げられるのが、コストの低さ。一般的に投資信託の手数料には、販売会社に支払う信託報酬が含まれるのですが、ETFは販売会社への信託報酬が発生しないため、その分コストが下がります。長期で保有する際にコストは大きなポイントとなるので、個人投資家の方々にもぜひそこに注目していただきたいと思います」

ETFだからこそ「外国株」や「債券」にも挑戦しやすい

――野村アセットマネジメントでは、アクティブETFを含めて70本(2024年1月現在)のETFが展開されていますが、活用する銘柄はどのように選んでいくといいでしょうか?

「国内株だけでなく、外国株を組み入れたETFも用意しています。先進国、新興国、ユーロ圏といった括りで投資できるものから、米国、ドイツ、中国、ブラジルなど、1カ国に絞ったETFもあるので、海外旅行先を慎重に選ぶような感覚で国を選んで投資していただくのもひとつの方法かと思います。2023年以降、経済発展を続けるインドの株式に投資できる『NF・インド株ETF(1678)』が盛り上がっています。

あと、注目していただきたいのが債券ETFです。当社では日本の債券全体に投資するETFだけでなく、先進国や新興国の債券にまとめて投資できるETFなど、さまざまな債券ETFを用意しています。個人投資家の方々に債券は馴染みが薄いかもしれませんが、1本持つだけで国際分散投資の効果が期待でき、債券のクーポンからくる分配金を受け取れる便利な商品ではないかと考えています」

――債券を検討したことがない個人投資家も多いと思いますが、投資の安定性を保つという意味でETFを少し持っておくのもいいですね。多様なジャンルのETFがあるからこそ、さまざまな使い分けができそうです

「当社のETFに限らず、東証には300本近くのETFが上場されていて、ラインナップも豊富なので、投資したいテーマやセクターに合わせて、いろいろな活用法があるのではないかと思います。さらに、リアルタイムで売買ができる利便性や低コストというメリットも兼ね備えているので、ぜひ活用を検討してほしいです。『新しいNISA』が始動したいま、ETFは重要な選択肢のひとつになると感じています」

株式に限らず、さまざまな資産に投資できるETF。アクティブETFが解禁されたことで、さらに多様な銘柄が出てくることだろう。今後のETF市場、要チェックといえそうだ。
(取材・文/有竹亮介(verb) 撮影/森カズシゲ)

著者/ライター
有竹 亮介
音楽にエンタメ、ペット、子育て、ビジネスなど、なんでもこなす雑食ライター。『東証マネ部!』を担当したことでお金や金融に興味が湧き、少しずつ実践しながら学んでいるところ。
用語解説

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