プロが語る!資産形成のすゝめ

~金は世の中を映す鏡!~

エッ、これから金(ゴールド)を買う?

提供元:三菱UFJ信託銀行

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金価格の現状

国内金価格、史上最高値を更新!

金1gの価格が1万円を超えて推移しています(2024年5月)。
海外取引においても、ニューヨーク金先物取引で、1トロイオンス(約31g)2400ドルを一時突破。その後も2300~2400ドルでの取引が継続しています。
資産運用の保険として「金」は注目を浴びていますが、さて、このようにここまで高くなった金をここから買う?

史上最高値を更新した国内・海外株式も同様です。ここから買う?

特に国内株式は、「どうせ日本株は・・・」と中高年の方々は、そう思いがちな方が多いと思います。日経平均株価が30数年間高値を更新できず、「失われた30年」と言われ、デフレが押し寄せた本当に長く低迷した期間でした。

一方で若い方々にはそのようなトラウマがないと思われます。むしろ2024年初から新型NISAで投資を始められた方々は、そんなことはほとんど感じていらっしゃらないのではないでしょうか。

最近のセミナーはオンライン化されているのが一般的となっていますが、そのような中で視聴者・聴講者のなかで目立っているのが、20~30代の若い方々と女性ということをよく耳にします。

若い時代から資産運用に興味を持ち、実際に手掛けていくことが非常に大事です。なんと言っても前向きな姿勢がいいですし、「人生100年時代」ですから。

さて本題に戻り、株価が高値を更新している背景はなんでしょうか。
ひとつ上げるとすれば、「日本のカイシャが変わる」。
世界の投資家が認め始め日本株を買い始めたから、株価が急激に伸長しているのだと筆者は考えています。

世界が変わる?

不確実性・不確定性がさらに深まる?!気配がしています。

米インフレの行方:
「より高く、より長く」続きそうな情勢です。2022~2023年にかけて、米国は今までにない“スピード”と“引き上げ幅”で政策金利を高くしました。もちろん、インフレを抑えるためにです。

そして2024年には今度は逆に金利の引き下げを予想する声が同年初には多数あったのも事実です。年6~7回の引き下げがあるのではなかろうか?との予想です。そこから数か月経過した今、2024年内の金利引き下げはあるかどうかわからない、あっても1~2回?という水準まで雰囲気がガラリ一変しています。

・地政学リスク:
2022年のロシアによるウクライナ侵攻はじめ中東情勢もきな臭くなってきています。金価格が史上最高値更新を記録した背景の大きな一つです。更に今後を見据えると、台湾海峡問題、北朝鮮による度重なるミサイル発射など数えればきりがありません。

・11月米大統領選:
現大統領バイデン氏と前大統領トランプ氏との争いになりそうです。巷では、「もしトラ」なる言葉が流行っています。再度トランプ氏が大統領の座に着いたら・・・ということですね。同氏が選挙で勝利し2期目を務めることになれば、「アメリカファースト」を唱え全ての輸入品に高率の関税を課すことは間違いないと言われています。

・米財政赤字:
2024年末までにGDP比でほぼ100%。2054年には100%を大きく超えて200%間近まで拡大するとの予想もあります。
日本は既にその水準を大きく超えています・・・258%(2023年推計値)<財務省ホームページより>。

金はドルの対極として考えられることがよくあります。ドルの信認が世界的に低下すると、金が買われる傾向にあるのはよく知られていることです。

何が起きるかわからない世界。
逆に変わらない世界はありません。

質への逃避?!

現状の金高騰は新興国の中央銀行が外貨準備として買い進んでいるほか、中東情勢はじめ地政学リスクの高まりへの警戒感が金相場を押し上げていることは間違いないと考えています。

現在は米国株価も史上最高値圏内にあり、国内株価も日経平均株価で4万円前後と世界的な株高局面にあるのも事実です。このままの調子でいけばよいのですが、それは誰にもわかりません。

今後、「景気後退に陥るリスクへの警戒」が現在の金相場を支えているのかもしれません。
エコノミストの中にはニューヨーク金先物取引において、1トロオンス:4000ドルとの予想も出始めてきています。

ポートフォリオに金を組み入れる理由

金も投資商品の一つ。
ただ金には株式・債券などと異なる特徴があります。
金の最大の弱点は、利息・配当などのインカムゲインがないことです。

また金は「実物資産」。
通貨・株式・債券はこれらを発行する国・企業の信用をベースに取引されています。これらは発行体が破綻すれば価値がゼロになってしまう可能性がありますが、「実物資産=金」はそれ自体が不変的な価値を有するため価値がなくなることがありません。
発行体の信用リスクがないため、投資環境が悪化した際などに他資産の価格下落を補う資産保全効果=「保険の役割」が期待されています。

先ほども記しましたが、金の最大の弱点は利息・配当などのインカムゲインがないことです。つまり、言い換えれば金は資産運用においてはあくまでも「脇役」なのです。決して主役ではありません。

では?どれくらい保有すればいいのか?
結論から申しますと、資産全体の7~10%程度が目安と筆者は考えています。

また金はよく「安全資産」とも言われますが、金も価格が変動する相場商品であることには変わりありませんので、資産が減るということももちろんあります。こういったリスクも十分念頭に置いておいてください。

次に買い方・・・。
長期保有を前提として時間分散のうえ少しずつ購入していくのが得策と考えています。

金は国際的にはドル建てで取引されています。国内では円建てで取引されているため、為替は関係がないとお考えの方もいらっしゃるようですが、国内金価格は為替の動向も織り込んだ円建て価格で取引されますので、売買の際には注意が必要です。

金はじめとする貴金属は、基本的には「供給と需要」で価格が決定されます。貴金属が高い資産価値を有しているのはその希少性です。
世の中に存在が限られているわけですから。

たとえば金は、有史以来オリンピック公式プール約4杯分しか存在しません。さらになんと金よりも希少性が高いプラチナは金の30分の1しか存在しません・・・以前は金よりも高価でしたが、現在は金よりも安くなっています。

貴金属はその希少性が貴金属の価値を保証しているのです。

欧米では資産保全の手段としてポートフォリオの一部に金を取り入れることは、半ば常識とされてきました。そのために金地金を保有することは否定しませんが、保管上の問題がクローズアップされます。金貨もその加工費にプレミアム(上乗せ価格)が付いてしまい金地金よりも割高な価格になってしまうという問題があります。

そこで金融商品として登場したのが「金ETF」です。これは金価格に連動する投資信託を証券取引所に上場した商品です。

証券口座をお持ちであれば、株式と同様にリアルタイムでの取引が可能です(なお、取引価格には消費税は含まれておりません)。
比較的少額(1口:5/8現在、東証終値=10,930円(質量0.942g))から取引が可能で、保有コストが比較的廉価であることなどのメリットも備えています。

私ども三菱UFJ信託銀行が管理会社である「金の果実(証券コード:1540)」においては、金の現物が信託財産として日本国内に保管されているため、実質的に金の所有権を持つことでもあり、一定量以上になれば一定条件の下で現物に交換(転換)することも可能です。
発行体である三菱UFJ信託銀行が破綻しても、金の現物は“信託財産として分別管理されている”ため大切な資産を失うことはありません。

(2024年5月8日、記)記載内容は筆者の個人的見解に基づくものであり、三菱UFJ信託銀行の見解ではありません。

著者/ライター
林 恒
三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社後は、主に年金運用関連のファンドマネージャー・ディーラーを経験。その後は、投資商品に関する営業企画・営業推進活動やラップ商品のポートフォリオマネージャーを担当するなど、入社以来総じて運用関連業務に携わる。現在は上場来10年を超えた貴金属を裏付け資産とした上場信託(ETF)“金の果実”シリーズのプロモーション活動に係る企画・運営等を務める。
用語解説

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