会社とは?株式会社と持分会社の違いや各形態の特徴を紹介

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会社法によると、会社とは株式会社・合名会社・合資会社・合同会社のことを指します。また、営利目的で活動することが主な特徴です。

本記事では、会社とはどのような組織なのかを説明した上で、定款や取締役会など株式会社を理解する上で大切な用語についても解説します。

会社とは

一般的に、会社とは会社法に基づいて設立された法人のことを指します。それに対して、会社と同じ場面で使われる機会の多い「企業」は、生産活動を担う組織・団体を幅広く指す言葉です。

会社の主な特徴として、営利目的で活動することが挙げられます。営利目的とは、利益を追求することや、収益事業を営んで利益を分配することを意味する言葉です。

設立可能な会社の種類(会社法上)

会社法の規定では、「会社」を「株式会社・合名会社・合資会社・合同会社」と定義しています(会社法第2条第1号)。また、会社法上設立可能な会社は、構成員(会社の所有者・出資者)の種類に応じて株式会社と持分会社のふたつにも分類可能です。

ここから、株式会社と持分会社の特徴を紹介します。

なお、会社法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

会社法とは?目的や主要条文の要点など基本をわかりやすく解説

株式会社

株式会社とは、株式を発行することで資金を調達し、営利目的でモノやサービスを生み出していく会社のことです。会社法の第2編において、株式会社の設立や株式の扱い、機関の運営方法などが詳しく規定されています。

株式会社における「株主」とは、会社に出資して株式を保有する人のことです。株主には、議決権・利益配当請求権(配当金などを受け取る権利)などの権利があります。

株式会社を設立するメリットは、資金を調達しやすい点です。また、他の会社と比較して、一般的に信用度が高い傾向にあります。

持分会社

持分会社とは、株式会社を除く3つの会社(合名会社・合資会社・合同会社)のことです。

株式会社と持分会社の違いとして、構成員の種類が挙げられます。株式会社の構成員が「株主」であるのに対し、持分会社の構成員は「社員」(従業員の意味で使う「社員」とは異なる概念)です。

社員は、会社が倒産した際などに、自分の出資額を限度として責任(有限責任)を負う「有限責任社員」と、会社が抱えるすべての負債に対して責任(無限責任)を負う「無限責任社員」に分けられます。合名会社・合資会社・合同会社の主な違いは、社員が有限責任社員か無限責任社員かです(*)。

持分会社を設立するメリットとして、登録免許税を抑えられる点が挙げられます。また、株式会社のように、定款の認証を受ける手間がかかりません。

(*)株式会社の株主は、有限責任(株式購入のために出資した額以上の責任を負わない)

株式会社を理解する上で大切な用語

株式会社を理解するにあたって、大切な用語は主に以下のとおりです。

・株式
・定款
・株主総会
・取締役会

それぞれ解説します。

株式

株式とは、株式会社が出資者に対して発行する証券のことです。2009年以降、上場会社の株券はすべて証券保管振替機構と金融機関の口座で電子的に管理されています。

株式会社は、保有する株式の種類や数によって平等に株主を取り扱わなければなりません(株主平等の原則)。株主は、保有する株式の割合に応じて経営に参加でき、株式数にしたがって配当を受け取れることもあります。

なお、株式の買い方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

株の買い方を4STEPで紹介!押さえておきたい2つの注意点も説明

定款

定款とは、会社のルールや決まりを定めた書類のことです。定款に記載する事項には、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3種類があります。

株式会社の場合、作成した定款について、正式な手続きを踏んで公証人の証明(定款認証)を受けなければなりません。定款認証には、設立する株式会社の資本金に応じて3万円・4万円・5万円いずれかの手数料がかかります。

株主総会

株式会社の株主総会とは、株主が会社に関する意思決定をするための機関です。会社法第295条第1項には、株主総会で株式会社に関する一切の事項について決議できることが定められています。

株主総会で有効とされる決議は、普通決議・特別決議・特殊決議の3種類です。それぞれ定足数(議決に必要な最低人数)や決議に必要な賛成数が異なります。

取締役会

取締役会とは、業務執行を担う取締役が集まり、意思決定するための機関のことです。

株式会社は、取締役会を置く取締役会設置会社と、置かない取締役会非設置会社に分けられます。どちらにするかは任意で決められますが、公開会社や監査役会設置会社などは必ず取締役会を設置しなければなりません(会社法第327条)。

本来、株主総会は株式会社に関するすべてを決議できる機関です。しかし、取締役会を設置している場合、株主総会が決議できるのは会社法で規定する事項と、定款で定めた事項に限定されます(会社法第295条第2項)。

持分会社の種類

すでに紹介したとおり、持分会社は以下の3種類に分類可能です。

・合名会社
・合資会社
・合同会社

それぞれの概要を紹介します。

合名会社

合名会社とは、社員のすべてが無限責任を負う持分会社のことです(会社法第576条第2項)。

主なメリットとして、登録免許税を抑えられる点が挙げられます。合同会社や株式会社が資本金の額に対して一定割合がかかる(最低6万円もしくは15万円)ことに対し、合名会社は申請件数1件につき6万円です。

一方、社員が会社の債務全体に対して責任を負わなければならないなどのデメリットもあります。

合資会社

合資会社とは、無限責任社員と有限責任社員が混在している持分会社のことです(会社法第576条第3項)。

登録免許税を抑えられる点が、主なメリットとして挙げられます。合名会社と同様に、合資会社設立にかかる登録免許税は、申請件数1件につき6万円です。

一方、合資会社のなかの無限責任社員は、債務全体に責任を負わなければならない点がデメリットです。

合同会社

合同会社とは、社員のすべてが有限責任を負う持分会社のことです(会社法第576条第4項)。

主なメリットして、社員の責任が自分の出資した額に限定される点が挙げられます。ただし、登録免許税が資本金の額に対して0.7%かかる(6万円に満たない場合は申請件数1件につき6万円)ため、合名会社・合資会社よりも登録免許税が高い場合がある点はデメリットです。

なお、株式会社の場合は申請件数1件につき最低でも15万円かかります。また、合同会社は定款認証も不要なため、株式会社と比べると設立コストは安いです。

会社と法人の違い

法人とは、法律に基づき人格(権利・義務の主体になる資格)が与えられた組織や団体のことです。そのため、会社法に基づき法人格が与えられている会社も、法人に含まれます。

法人は、国や地方公共団体のように公的な活動を担う「公法人」と、私的(公共目的以外)な活動を担う「私法人」に分類可能です。また、「私法人」は構成員への利益分配を主な目的とする「営利法人」と、利益分配を目的としない「非営利法人」に分けられます。

会社は、「営利法人」に該当する組織です。

会社以外の法人の種類

会社以外の主な法人の種類として、以下が挙げられます。

・一般社団法人・一般財団法人
・社会福祉法人
・医療法人
・NPO法人

それぞれの特徴を簡単に説明します。

一般社団法人・一般財団法人

一般社団法人や一般財団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された非営利法人のことです。一般社団法人は「人」の集まりであるのに対し、一般財団法人は「財産」の集まりである点が異なります。

一般社団法人の設立にあたっては、2名以上の社員が必要です。一方、一般財団法人を設立するには、設立者が300万円以上の財産を拠出しなければなりません。

社会福祉法人

社会福祉法人とは、社会福祉事業を営むことを目的として、社会福祉法に基づき設立された法人のことです。

社会福祉法人事業には、第1種社会福祉事業(利用者への影響が大きいため、経営安定を通じた利用者保護の必要性が高い事業)と、第2種社会福祉事業(比較的利用者への影響が小さいため、公的規制の必要性が低い事業)があります。第1種社会福祉事業を営めるのは、原則として行政と社会福祉法人のみです。

医療法人

医療法人とは、医療法に基づき、病院・医師が常時勤務する診療所または介護老人保健施設を開設するために設立された法人のことです。

個人病院・クリニックと異なり、医療法人は法律で剰余金の配当が禁止されています。また、設立にあたって登記が必要な点も個人病院やクリニックとの違いです。

なお、医療法人には出資持分のある医療法人・出資持分のない医療法人・出資額限度法人・基金制度を採用した医療法人・特定医療法人といった種類があります。

NPO法人

NPO法人とは、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づき法人格を取得した非営利法人のことです。「NPO」を名乗っている団体でも、NPO法の要件を満たしていなければNPO法人の対象外です。

NPO法人として認められるためには、目的に関する要件・活動に関する要件・組織などに関する要件を満たさなければなりません。また、活動内容がNPO法で定める20種類のいずれかに該当することが必要です。

会社とは営利を目的に設立された組織のこと

会社とは、会社法に基づいて設立された法人のことです。会社法上、設立可能な会社として株式会社・合名会社・合資会社・合同会社があります。

株式会社とそれ以外の3種類の会社(持分会社)の主な違いは、構成員の種類です。株式会社の構成員は「株主」、持分会社の構成員は「社員」と呼ばれています。

株式を発行して資金を調達できる点が、株式会社を設立するメリットです。上場会社の場合、誰でも株式を購入して経営に携われます。

参考:日本公証人連合会「9-4 定款認証」
参考:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
参考:法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」
参考:e-Gov「会社法」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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