会社法とは?目的や主要条文の要点など基本をわかりやすく解説

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会社法とは、2005年の商法改正に伴い新たに誕生した法律を指します。商法に定められていた会社設立・運営のルールが、実態に沿わなくなっていたことが誕生した経緯です。

本記事では、会社法の役割や目的、主要条文などについて詳しく解説します。

会社法とは

会社法とは、会社の設立や組織・運営、管理などについて定めた法律のことです。主な特徴として、以下の点が挙げられます。

・株式会社設立手続きの簡素化
・合同会社(LLC)の誕生、有限会社新設の廃止
・事業承継の円滑化
・類似商号規制の廃止

会社法と関係の深い法律が、商法です。商法が一般法であるのに対し、会社法は特別法として位置付けられています。特別法で定められている領域は特別法を優先し、特別法で定められていない部分に一般法を適用することが法律の原則です。

会社法の役割・目的

会社法の主な役割や目的として、取引相手保護が挙げられます。会社法は、取引上必要な情報を開示させる仕組みを整え、取引相手が適切な判断を下せるような条文が盛り込まれた法律です。

また、法律関係を明確にさせることも役割として挙げられます。たとえば、会社法第828条から第846条は、会社の組織に対して訴えるには一定の期限があることなどを規定した条文です。

そのほか、株主や取引先など会社の利害関係者の利益を保護することも会社法の役割として挙げられます。

会社法の歴史

会社法は、2005年7月に公布され、翌2006年5月に施行(一部条文については2007年施行)された法律です。従来商法に定められていた会社設立・運営のルールが時代に沿わなくなっていたため、商法・有限会社法・商法特例法などの規定をわかりやすく再編成し、会社法が誕生しました。

会社法誕生後も、いくつかの改正が実施されています。たとえば、2014年はコーポレート・ガバナンスの強化や親子会社に関する規律の整備、2019年は株主総会の運営・取締役の職務の執行の一層の適正化などを目的として会社法が改正されました。

会社法の概要・基本内容

会社法を構成する全8編は、以下のとおりです。

・第1編 総則
・第2編 株式会社
・第3編 持分会社
・第4編 社債
・第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付
・第6編 外国会社
・第7編 雑則
・第8編 罰則

ここから、各編の基本内容について簡単に紹介します。

第1編 総則

会社法第1〜24条にわたる「総則」は、基本的な事項について記載した部分です。会社法で使われる用語の定義や会社の商号の決まり、支配人と使用人の権限などについて規定されています。

第2編 株式会社

会社法第25〜574条にわたる「株式会社」は、株式会社に関する決まりについて記載した部分です。主に以下の方法について、規定されています。

・株式会社の設立手順
・株式の取扱い(発行手続きなど)や種類
・新株予約権の取扱い
・株式会社の機関
・株式会社の会計
・株式会社の定款を変更する方法
・株式会社の事業譲渡の扱い
・株式会社の解散・清算の方法

なお、第2編は会社法全979条のうちの半分以上を占めており、最も記述の多い項目です。

第3編 持分会社

会社法第575〜675条にわたる「持分会社」は、持分会社に関する決まりについて記載した部分です。主に以下の方法について、規定されています。

・持分会社の設立手順
・社員の責任や持分譲渡の扱い
・社員の加入や退社の方法
・持分会社の会計
・持分会社の利益を配当する方法
・持分会社の出資の払戻し方法
・持分会社の定款を変更する方法
・持分会社の解散・清算の方法

なお、「社員」とは持分会社の出資者のことです。一般的に「従業員」の意味で使われる「社員」とは異なるため注意しましょう。

第4編 社債

会社法第676〜742条にわたる「社債」は、社債の発行や管理などについて記載した部分です。社債発行にあたって決めること、申込者に通知しなければならないこと、社債譲渡の効力を生じさせる方法などが規定されています。

なお、社債とは会社が設備投資などの資金を調達するために発行する「債券」のことです。債券について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

債券のメリットとは?リスクや種類、株式との違いも紹介

第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付

会社法第743〜816条にわたる「組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付」は、以下に関する手続きを記載した部分です。

・組織変更
・合併(吸収合併・新設合併)
・会社分割(吸収分割・新設分割)
・株式交換
・株式移転
・株式交付

なお、株式交付は2021年に施行された会社法改正において、新たに創設されました。

第6編 外国会社

会社法第817〜823条にわたる「外国会社」は、外国会社が日本国内で取引する際、事業を営む際の決まりが記載されている部分です。外国会社の日本における代表者や禁止事項、財産の清算方法などについて定められています。

なお外国会社とは、外国の法令に準拠して設立された法人などで会社と同種のもの、もしくは類似するものです。外国会社としての登記をするまで、外国会社は日本で取引を継続できません。

第7編 雑則

会社法第824〜959条にわたる「雑則」は、法制度全般にわたる細かな事項が記載されている部分です。主に、以下の項目に関する決まりが規定されています。

・会社の解散命令
・訴訟・非訟
・登記
・公告

なお、非訟とは訴訟以外の裁判事件のことです。また、公告は会社の情報を特定の利害関係者に限らず、幅広く公開することを指します。

第8編 罰則

会社法第960〜979条にわたる「罰則」は、会社に関連する罪の概要や、その罰則などについて記載されている部分です。主に、以下の罪について規定されています。

・特別背任罪
・会社財産を危うくする罪
・虚偽文書行使罪
・贈収賄罪
・虚偽届出の罪

特別背任罪とは、組織運営において重要な役割を任されている人物が自分や第三者のために利益を図り、株式会社に損害を与える目的で任務に背く行為をし、実際に財産上の損害を加えた際に成立する罪です。

会社法の規定がビジネスで関連する主な場面

会社法の規定がビジネスに関連する場面は、主に以下のとおりです。

・株主総会・取締役会を開催する場合
・会社を設立する場合
・M&Aを実施する場合

それぞれ解説します。

株主総会・取締役会を開催する場合

株主総会や取締役会を開催する際、会社法の規定が重要です。

たとえば、会社法第296条第1項には、毎事業年度の終了後一定の時期に、定時株主総会を招集しなければならないことが定められています。また、取締役会を招集する際は、開催の1週間前までに各取締役に対して通知しなければなりません(会社法第368条第1項)。

会社を設立する場合

会社を設立する際も、会社の規定を参考にしなければなりません。会社法第2編の第1章には、設立にあたって必要な手続きが細かく規定されています。

たとえば、会社法第26〜29条は、会社を設立する際に必要な定款の作成方法や、記載すべきことについて記載した条文です。また、会社法第30条には、株式会社が作成した定款の効力を生じさせるために公証人の認証が必要であることが規定されています。

M&Aを実施する場合

会社がM&Aを実施する際も、会社法の規定にしたがって進められます。

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」を略した言葉です。M&Aの主な種類として、以下が挙げられます。

・新設・吸収合併
・新設・吸収分割
・事業譲渡
・株式交換
・株式移転
・第三者割当増資
・株式譲渡

M&A関連の手続きについて規定しているのは、主に会社法の第5編です。たとえば、会社法第5編第2章では、「合併(吸収合併や新設合併)」の手続きや効力について規定されています。

会社法が規定する会社の種類とは

会社法の規定上、設立可能な形態は以下の4種類です。

・株式会社
・合名会社
・合資会社
・合同会社

合名会社・合資会社・合同会社をまとめて、持分会社と表現することがあります。ここから、株式会社と持分会社の概要について、確認していきましょう。

株式会社

会社法第2編に規定がある株式会社とは、株式を発行して資金を調達し、営利目的でモノやサービスを生み出していく会社を指します。

株式会社における「株主」とは、会社に出資して株式を保有する人のことです。株主には、議決権や配当金を受け取る権利などがあります。

株式会社を設立するメリットは、資金を調達しやすい点です。また、一般的に持分会社と比較して信用度が高い傾向にあります。

合名会社・合資会社・合同会社(持分会社)

会社法第3編に規定がある持分会社とは、出資者が「株主」ではなく、「社員」になる会社を指します。一般的に株式会社よりも低いコストで会社を設立できる点が持分会社のメリットです。

持分会社は、以下の基準に従って3種類に分類できます。

・合名会社(すべて無限責任社員)
・合資会社(無限責任社員・有限責任社員が混在)
・合同会社(すべて有限責任社員)

なお、無限責任社員とは会社が抱えるすべての負債に対して責任を負う社員のことです。それに対して、有限責任社員の責任は自らの出資額分に限定されます。

会社法が定める主な株式会社の機関

会社法には、株式会社のさまざまな機関に関する規定があります。代表的な機関の概要や、関連する会社法の条文を以下にまとめました。

・株主総会(第295〜325条):株式会社の最高意思決定機関
・取締役会(第362〜373条):業務執行者(取締役)で構成される機関
・監査役会(第390〜395条):取締役の執行を監査する者(監査役)で構成される機関

なお、取締役会や監査役会は状況によって設置しないケースもありますが、株主総会はすべての株式会社が設置しなければなりません。

会社法とは会社設立や運営を規定した法律

会社法とは、会社の設立や運営・管理などを規定した法律です。第1編から第8編(979条)で構成されており、株式会社・持分会社・社債・組織変更などについての記載があります。

会社法の規定は、株主総会・取締役会を開催する場合、会社を設立する場合など、さまざまな場面で適用する機会のある重要な法律です。また、株主に関する規定も設けられているため、ビジネスだけでなく株式投資の際にも参考にしてください。

参考:経済産業省「会社法の現代化について(平成18年)」
参考:e-Gov「会社法」

ライター:Editor HB
監修者:高橋 尚
監修者の経歴:
都市銀行に約30年間勤務。後半15年間は、課長以上のマネジメント職として、法人営業推進、支店運営、内部管理等を経験。個人向けの投資信託、各種保険商品や、法人向けのデリバティブ商品等の金融商品関連業務の経験も長い。2012年3月ファイナンシャルプランナー1級取得。2016年2月日商簿記2級取得。現在は公益社団法人管理職。

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