かぶオプコラム
【かぶオプコラム】第7回:もう下落は怖くない!株の売り予約で利益を守るテクニック2
提供元:株式会社シンプレクス・インスティテュート
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【かぶオプコラム】
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第6回:もう下落は怖くない!株の売り予約で利益を守るテクニック1
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「このコラムでは、株式投資をより効率的にしてくれる仕組み『かぶオプ』について連載でお伝えしてゆきます。」
前回第6回では、株価の下落の不安への対処法として、あらかじめプットを買って保険を掛けておくという方法をご紹介いたしました。プットとは、「予め決めた価格で将来モノを売る権利」のことで、例えばある株の行使価格1,000円のプットを買っておけば、取引最終日の株価が800円でも500円でも、いくらであっても、1株あたり1,000円で株を売ることができるというものでした。
プットを買うというのは、万一の事故やケガに備えて掛け捨ての保険に入るのとよく似ています。掛け捨ての保険は、保証期間中に事故やケガなど、補償の対象となる出来事がなければ保険金は支払われません。例えば海外旅行に行く際に、海外旅行保険に加入したものの、何のトラブルも起こらず無事に旅行を終えて帰国したとしましょう。トラブルが何も起きなかったこと自体は喜ばしいことですが、支払った保険料は戻りません。結局、保険料を払って安心を手に入れただけということになります。
株価下落に備えてプットを買った場合も同様で、買ったプットの満期日までの間に大きな下落が起こらなければ、プットの出番はなくプットの代金は戻ってきません。例えば行使価格1,000円のプットを買っておいたけれど、プットの取引最終日の時点で逆に株価が値上がりして1,200円になっていたとしたらどうでしょうか。わざわざ現値よりも低い1,000円で株を売りたいはずもなく、プットの権利を放棄します。そして利益が出ている株をそのまま保有し続けるか、自分の好きなタイミングで株を売却するか、通常通りの取引を継続することになります。
すなわちプットの買い取引とは、取引最終日時点で、行使価格で株を売ることが自分に有利ならば株を売り、不利であれば株を売らなくてもよいという、株の買い手にとって都合のよい権利であり、そのプットを手に入れるために支払うお金はコストになるのです。
■図7-1:プット買いのイメージ(権利放棄)
実際の取引でも、プットを買ったけれども取引最終日にアウト・オブ・ザ・マネー(第5回参照)になってしまい、プットが無駄になってしまうこともあります。
例えば7月に入り日経平均が連騰しているものの、週末には米国の失業率や非農業部門雇用者数の発表を控えており、週明けに下落すれば日経225連動型上場投信(コード1321、以下、日経225ETFと略記)が41,000円を割り込む可能性があると思い、2024年7月5日の時点で7月限行使価格41,000円のプットを38円で買ったとしましょう。(ここで、7月限(なながつぎり)とは、7月11日に取引最終日を迎えることを意味します。)ところが予想は見事に外れ、取引最終日の日経225ETFの終値は43,510円でしたので、プットは役に立たず、プットを買った代金38円が損失となりました。
■図7-2:日経225ETFの価格推移
プットを買うということは、近いうちに対象の株が下落するかもしれないという不安に対して保険を掛けておくようなものです。ですから、不安が的中してプットが役に立つ場合もあれば、不安がはずれて株価が上昇し、プットは無駄になってしまうけれど株からは利益が得られるという場合もあります。
プットを掛け捨ての保険として買うのであれば、必要以上に高額なプットを買う必要はありません。また相場がどんどん上昇していて下落の心配がない時にプットを買う必要もありません。市場下落への保険目的で買う場合のプットの買い代金に関しては、保有株から含み益が出ているときに、その含み益の一部を使って買えるプットを手に入れれば十分です。
また、プットの買いタイミングについては、特定のイベントのためにこの後株価が大幅に下落する可能性があるようなタイミングに限定して取引するのがよいでしょう。例えば決算発表や重要な経済指標が発表される直前がひとつのタイミングとして考えられます。漠然と下落への不安を感じているからといって毎回プットを買っていたのでは、いつでも掛け捨てになって出費がかさむだけですのでご注意ください。
プットを買うという手法を知っているだけで、株式投資を続ける上での安心感はとても高まります。プットの買い取引は、いざという市場下落の時に保有株の利益を守ることができる仕組みです。ぜひこれからの株式投資に活用してみてください。次回は、この「プット」を使って損失限定で暴落をチャンスに変える手法をご紹介します。どうぞお楽しみに。
(株式会社シンプレクス・インスティテュート)
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